皆さん新年あけましておめでとうございます。
今年もスタンダード、モダン、レガシーのSCGOやグランプリなどで結果を残したデッキの情報をお届けしていく予定なので、よろしくお願いいたします。
『イクサランの相克』のカードリストが公開され、来週末にはいよいよリリースされるので今回の連載では、『イクサランの相克』からの新カードのレビューとそれらを含めた新デッキをご紹介していきたいと思います。
『イクサランの相克』カードレビュー
『イクサランの相克』には、再録されたモダンやレガシーのMerfolkでお馴染みの《銀エラの達人》を含めた優秀なマーフォーク・クリーチャーが多数公開されています。
《オラーズカの暴君、クメーナ》は伝説であることがネックとなりますが、《墓所破り》を彷彿させるドロー能力や回避能力、全体強化といった横に並ぶマーフォークの部族戦略にフィットしており、タフネスが4と固めなのでブロッカーとしても機能します。
再録された《銀エラの達人》はカードアドバンテージが取れる優秀なクロックで、レガシーやモダンのMerfolkと同様に2マナ域の主力として活躍しそうです。
《翡翠光のレインジャー》は「探検」を2回誘発させ、土地が2枚捲れれば2枚ドローでアドバンテージを稼ぎつつクロックを展開することが可能です。「+1/+1」カウンターが2つ乗る可能性があるため、《巻きつき蛇》ともシナジーがあり、部族テーマ以外のデッキにも入り得る優秀なクリーチャーです。
新たに収録された《マーフォークの霧縛り》は青緑のロードです。このカード以外にも優秀な緑のマーフォーククリーチャーが存在するため、スタンダードのMerfolkは緑青でほぼ確定でしょう。モダンなど下のフォーマットでも使われそうです。
基本的には《取り消し》と同等のカードで、ほかのカウンターとの効率性と比較すると劣るところがありデッキも選びますが、《残骸の漂着》をわずか1マナでカウンターできるのは大きいのでMerfolkに1-2枚入りそうです。
プロツアー『イクサラン』で活躍していたVampireも、『イクサランの相克』からの新戦力に期待できそうです。「昇殿」能力の条件を満たすのは難しそうですが、1マナパワー2のクリーチャーである《空渡りの野心家》は、Vampireのクロックの強化に貢献します。
《軍団の副官》は《マーフォークの霧縛り》と同様の2色ロードクリーチャーで、2マナ2/2アンセム効果は白単色から白黒に移行する十分な理由になります。前環境では白単色でしたが、《手付かずの領土》もあるので部族デッキを組む際はマナ基盤の面でも恵まれています。
全体強化である《光輝の運命》はVampireやトークン戦略などで活躍します。このカードを採用するデッキは必然的に横に並べる戦略になるので「昇殿」の条件も満たしやすくなります。
《ネクラタル》や《火炎舌のカヴー》と同様に、クリーチャー除去のETB能力持ちのクリーチャー。《スカラベの神》や《熱烈の神ハゾレト》に対して効果が望めないのは欠点ですが、クリーチャーデッキが大半を占めるスタンダード環境ではアドバンテージの取れるクリーチャーとして活躍が期待できます。
6マナ6/6接死というスペックで上手くセットアップすることができれば、相手側のみ一方的に除去するクリーチャー。フィニッシャー級のクリーチャーですが起動能力の関係上初手に来ても使い道があり、マナが余る中盤以降は相手のクリーチャーにPreyカウンターを乗せてキャストすることでアドバンテージを取りにいけます。コントロールデッキやミッドレンジの新戦力になりそうです。
2マナ1/1とサイズは見劣りしますが、攻撃することで誘発する能力は中盤以降余ったマナを有効活用する手段になり、トークンを生みだすので「昇殿」の条件を自身で満たすことも可能で赤単の新戦力として期待できそうです。
《クァーサルの群れ魔道士》を彷彿させるクリーチャーでクロックとなりつつ置物対策になるので腐りづらく、特に《光輝の運命》などエンチャントが増えるようならメインから採用可能なカードになりそうです。
既存のデッキでは、赤単を含めた様々なデッキで使われそうなポテンシャルを持つクリーチャー。普通に2マナ2/1先制攻撃として2ターン目にキャストしても悪くないクリーチャーでマナが余る中盤以降は、特にクリーチャーデッキ同士のマッチアップで相手の除去を再利用できれば《ネクラタル》のようにアドバンテージを取ることが可能になります。
手札の恐竜・カードを公開することで追加コストの無色1マナを軽減することが可能なので、恐竜クリーチャーを多数採用したデッキでは《不屈の自然》と同様に機能します。新環境では恐竜クリーチャーを採用したランプデッキも見られるかもしれません。
『イクサランの相克』加入後のスタンダードデッキ
現環境のトップメタであるエネルギー系と赤単は現時点でほぼ完成されており、一部を除いて『イクサランの相克』からの収穫も少なそうなため、今回の連載ではほかのデッキを見ていきたいと思います。
UG Merfolk
『イクサランの相克』には多数の優秀なマーフォーク・クリーチャーが存在し、新環境では青緑Merfolkは有力な戦略の一つとなりそうです。
6 《森》
4 《植物の聖域》
4 《手付かずの領土》
2 《森林地の小川》
-土地(22)- 4 《霧まといの川守り》
4 《クメーナの語り部》
4 《金属ミミック》
4 《マーフォークの枝渡り》
4 《銀エラの達人》
4 《深根の精鋭》
4 《マーフォークの霧縛り》
2 《翡翠光のレインジャー》
2 《オラーズカの暴君、クメーナ》
-クリーチャー(32)-
《深根の精鋭》は元の2マナ域と比べると見劣りするスペックですが、2ターン目に展開することができればロードの強化も含めると3/3、4/4ほどのサイズにまで成長が期待できそうです。回避能力持ちとはいえ《霧まといの川守り》は1マナ1/1と現在のクリーチャーの強さの基準では極めて平凡ですが、部族シナジーを得られる関係で採用されそうです。
再録された《銀エラの達人》とイクサランで登場した《マーフォークの枝渡り》、そして『イクサランの相克』から加入予定のロードである《マーフォークの霧縛り》など優秀な2マナ域が揃っています。アグロデッキですがアドバンテージを得られるカードも多く、マナ基盤も部族デッキは《手付かずの領土》が使えるのが強みです。
WB Vampire
マーフォークと同様に『イクサランの相克』では優秀な吸血鬼クリーチャーが数種類見られます。
4 《沼》
4 《秘密の中庭》
4 《シェフェトの砂丘》
4 《手付かずの領土》
-土地(22)- 4 《薄暮まといの空渡り》
4 《空渡りの野心家》
4 《アダントの先兵》
4 《軍団の副官》
4 《金属ミミック》
4 《軍団の征服者》
2 《薄暮の使徒、マーブレン・フェイン》
-クリーチャー(26)-
プロツアー『イクサラン』でもMono White Vampireというデッキが活躍しましたが、『イクサランの相克』から登場予定の2マナロードの《軍団の副官》や新たな1マナ域の《空渡りの野心家》によって新環境では《オケチラの碑》とのシナジーを利用したトークン戦略のバリエーションのみでなく、白黒の部族アグロ戦略に特化したスタイルも見られそうです。《手付かずの領土》は部族デッキにとっては安定して色マナを調達できるのでマナ基盤の安定性の向上に貢献します。
Abzan Tokens
『イクサランの相克』からの新メカニズムである「昇殿」は、横に並べる戦略と相性が良く既存のデッキではAbzan Tokensに注目が集まります。
「昇殿」の条件を満たすことでモダンのBW Tokensで採用されている《無形の美徳》と似た能力を得る全体強化エンチャントの《光輝の運命》はAbzan Tokensにフィットしています。トークンの生産力を倍加させる《選定された行進》の恩恵で他のデッキよりも承認を得やすくなります。
Dinosaurs
2 《平地》
2 《山》
3 《まばらな木立ち》
2 《隠れた茂み》
4 《根縛りの岩山》
4 《ハシェプのオアシス》
2 《陽花弁の木立ち》
1 《感動的な眺望所》
1 《ラムナプの遺跡》
1 《シェフェトの砂丘》
-土地(26)- 4 《切り裂き顎の猛竜》
2 《レギサウルスの頭目》
2 《殺戮の暴君》
3 《覚醒の太陽の化身》
1 《原初の飢え、ガルタ》
-クリーチャー(12)-
《雷群れの渡り》を含めたマナ加速により土地を伸ばし、高コストの恐竜クリーチャーを高速展開して相手を圧倒します。マナランプ戦略もカードが揃ってきたので新環境では見られるかもしれません。
総括
今週末には『イクサランの相克』のプレリリースが開催され、来週末にはいよいよスタンダードでリーガルとなります。
そして来週末にはSCGO Dallasが開催されます。スタンダード、モダン、レガシーのチーム構築戦で開催され、新環境のスタンダード最初の大きなイベントなのでスタンダードファンの方は要注目です。
以上USA Standard Express vol. 113でした。
それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!