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みなさんこんにちは。
先週末にアメリカペンシルベニア州、Philadelphiaでレガシーオープンが開催され参加者700人以上と大盛況の内に幕を閉じました。
さて、今回の記事では【SCGO Philadelphia】の入賞デッキの情報を皆さんにお届けしていきたいと思います。
SCGO Philadelphia
~レガシーでもエルドラージが大暴れ~
2016年2月28日
※画像は【StarCityGames.com】より引用させていただきました。 |
1位 Grixis Delver
2位 Colorless Eldrazi
3位 Infect
4位 Grixis Delver
5位 Miracles
6位 Lands
7位 UR Delver
8位 Colorless Eldrazi
トップ8のデッキは【こちら】
現在、モダンの環境を圧倒的な強さで支配しているEldraziはレガシーでも2日目最大勢力でプレイオフに2名、トップ16まで見渡してみると4名と、優勝こそは逃したもののレガシーでも十分に通用するデッキパワーであることが証明されました。
他には定番のMiracles、Grixis Delver、Infect、Landsといったデッキが見られます。ANTやSneak and Showといったコンボは見られず、フェアデッキとフェアデッキに強いデッキというメタのようです。
Interview With Gerry Thompson
SCGのプレミアライターでデッキビルダーでもあるGerryは毎回おもしろいテクで我々を楽しませてくれます。今大会ではColorless Eldraziを持ち込み惜しくも優勝は逃したものの、準優勝という好成績を残しています。今回の記事のためにフェイスブックでお話を聞くことが出来ました。
4 《古えの墳墓》 4 《魂の洞窟》 4 《裏切り者の都》 4 《エルドラージの寺院》 4 《不毛の大地》 1 《Karakas》 3 《ウギンの目》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(25)- 4 《エルドラージのミミック》 1 《終末を招くもの》 4 《果てしなきもの》 4 《作り変えるもの》 4 《現実を砕くもの》 4 《難題の予見者》 -クリーチャー(21)- |
3 《四肢切断》 1 《歪める嘆き》 4 《虚空の杯》 2 《モックス・ダイアモンド》 4 《アメジストのとげ》 -呪文(14)- |
3 《フェアリーの忌み者》 3 《歪める嘆き》 2 《全ては塵》 2 《真髄の針》 2 《抵抗の宝球》 2 《梅澤の十手》 1 《四肢切断》 -サイドボード(15)- |
Colorless Eldraziを選択した経緯
Gerry: 最近モダンを調整していてEldraziは好きなデッキで楽しくプレイしている。《古えの墳墓》と《裏切り者の都》のおかげでデッキはレガシーでも通用すると思った。
レガシーはしばらくやっていなかったから、例えばShardless Sultaiのようなデッキを現在のメタに合わせたチューンを施すのは難しいと思い今大会では楽しめそうなデッキをプレイすることにした。
--現環境のトップメタ(Delver、Miracles、ANT)とのマッチアップはどうだった?
Gerry: 特にテストらしいテストはしていなかったから僕のリストの出来はあまり良いと言えなかったけど、ANT、Miracles、Delverには強いと思うよ。今回の最大のミスはLandsに対しての備えが十分でなかったことだね。Landsはこのデッキにとっては難しいマッチアップになるからね。
--そのLandsに対してはどんなカードが有効だと思う?
Gerry: 《真髄の針》と《Karakas》をもっと入れようと考えている。《幽霊街》も使えそうだね。Landsには《踏査》や《マナ結合》がなければ《暗黒の深部》からのマリット・レイジを対策すれば勝てる。
--Miraclesに対して強いと思う理由は?
Gerry: Eldraziはクロックが速く妨害要素も豊富にある。《魂の洞窟》もあって《不毛の大地》などでマナを制限されないからMiraclesには強いと思う。《虚空の杯》は特に強い妨害手段でスイーパーの《終末》に対しても《歪める嘆き》がある。
--今回もインタビューに協力してくれてありがとう。最近は上位を見渡してもMiraclesやANTといった定番のデッキばかりだったから新しいデッキが見れて良かった。
モダンではもう既にトップメタデッキとして環境を支配しているEldraziはレガシーでも活躍しているようです。環境最強のデッキの一つとされているMiraclesに対しても互角以上に渡り合えるポテンシャルを持つデッキで今後の活躍が楽しみです。
SCGO Philadelphia デッキ紹介
「Grixis Delver」「Lands」「Infect」「Miracles」
3 《Volcanic Island》 2 《Underground Sea》 1 《Tropical Island》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《汚染された三角州》 4 《不毛の大地》 -土地(18)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《秘密を掘り下げる者》 3 《若き紅蓮術士》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 2 《グルマグのアンコウ》 -クリーチャー(14)- |
4 《渦まく知識》 4 《目くらまし》 4 《ギタクシア派の調査》 4 《稲妻》 4 《思案》 2 《陰謀団式療法》 1 《二股の稲妻》 1 《呪文貫き》 4 《Force of Will》 -呪文(28)- |
2 《悪意の大梟》 2 《紅蓮破》 2 《外科的摘出》 2 《苦い真理》 1 《渋面の溶岩使い》 1 《陰謀団式療法》 1 《暗黒破》 1 《古えの遺恨》 1 《四肢切断》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《真髄の針》 -サイドボード(15)- |
【SCGO Worcester 2015】でもGrixis Delverで優勝経験のある強豪プレイヤーのNoah Walker。今大会でも初日全勝という好成績からプレイオフ進出を果たしこのデッキにとって最悪のマッチアップの一つであるLandsに勝利し、準決勝でTom Ross、決勝でGerry Thompsonに勝利し見事に優勝を果たしました。
☆注目ポイント
「探査」ドローが禁止になっても変わらず上位に留まり続けるGrixis Delver。禁止改定後のリストは《もみ消し》やソフトカウンターを採用するなどテンポ寄りの構成にシフトしていきましたが、Noahのリストは《もみ消し》が《陰謀団式療法》2枚と《ヴェンディリオン三人衆》1枚、《呪文貫き》1枚に差し替えられています。
《陰謀団式療法》は《若き紅蓮術士》の能力と相性が良く、クロックを展開しつつ相手のプランを妨害します。Temur Delverと異なり《死儀礼のシャーマン》や 《グルマグのアンコウ》といったクリーチャーの恩恵でロングゲームにも強く、序盤に《もみ消し》や《不毛の大地》で相手のマナを縛る必要性が薄くこの変更には納得です。
ハンデスをメインから採用することでコンボにも強くなっています。サイド後はドロースペルの《苦い真理》によりMiraclesのようなコントロールデッキとも互角以上に渡り合えます。
《悪意の大梟》はDelver系では見かけないクリーチャーですが、今大会で大活躍したEldraziのクリーチャーたちと相打ちを取ることが可能で、なおかつキャントリップ付きなのでアドバンテージが取れるため、消耗戦になり易いサイド後のゲームに強いクリーチャーです。墓地対策の《外科的摘出》はこのデッキの苦手とするLandsのLoamエンジンを妨害するためキーカードとなります。
1 《森》 3 《Taiga》 1 《Bayou》 2 《霧深い雨林》 2 《新緑の地下墓地》 1 《吹きさらしの荒野》 1 《樹木茂る山麓》 2 《平穏な茂み》 1 《ボジューカの沼》 4 《リシャーダの港》 4 《演劇の舞台》 4 《不毛の大地》 3 《暗黒の深部》 3 《Maze of Ith》 1 《Glacial Chasm》 1 《The Tabernacle at Pendrell Vale》 -土地(34)- -クリーチャー(0)- |
4 《輪作》 4 《ギャンブル》 4 《壌土からの生命》 3 《突然の衰微》 4 《踏査》 3 《溶鉄の渦》 4 《モックス・ダイアモンド》 -呪文(26)- |
4 《思考囲い》 3 《闇の腹心》 2 《クローサの掌握》 2 《抵抗の宝球》 1 《暗黒の深部》 1 《強迫》 1 《古えの遺恨》 1 《精神壊しの罠》 -サイドボード(15)- |
David Longは昨年開催されたレガシーオープンでもLandsで2度プレイオフに進出を果たしている強豪プレイヤーです。フェアデッキに強いデッキとして最近ではGPでも優勝、今大会ではEldraziの次に最も多くの二日目進出者を輩出しています。
☆注目ポイント
このデッキの定番である《燃え柳の木立ち》と《罰する火》は不採用で、マリット・レイジトークン以外の勝利手段として《溶鉄の渦》がメインから3枚積まれています。
David Longは現環境のトップメタのMiraclesに対抗するために《突然の衰微》をメインから採用しています。《マナ結合》が抜けたことで爆発力は落ちますがDelver系のクロックに対しても有効です。サイドには追加のアドバンテージ獲得手段でクロックにもなる 《闇の腹心》やハンデスが採られており、コンボやMiraclesを強く意識しています。
このように以前から相性の悪かったデッキとのマッチアップは改善されましたが、《突然の衰微》があるとはいえ再利用可能な除去であるPunishingエンジンが抜けたことにより得意だったクリーチャーデッキとの相性が若干悪くなってしまったようで、準々決勝でGrixis Delverに敗れています。
1 《森》 4 《Tropical Island》 1 《ドライアドの東屋》 4 《霧深い雨林》 4 《新緑の地下墓地》 1 《ペンデルヘイヴン》 4 《墨蛾の生息地》 1 《不毛の大地》 -土地(20)- 4 《ぎらつかせのエルフ》 4 《貴族の教主》 4 《荒廃の工作員》 -クリーチャー(12)- |
4 《渦まく知識》 3 《ギタクシア派の調査》 2 《Berserk》 2 《呪文貫き》 1 《輪作》 1 《緑の太陽の頂点》 1 《思案》 3 《目くらまし》 2 《巨森の蔦》 4 《激励》 3 《Force of Will》 1 《強大化》 1 《森の知恵》 -呪文(28)- |
2 《水没》 1 《ボジューカの沼》 1 《Karakas》 1 《不毛の大地》 1 《屍百足》 1 《ヴィリジアンの堕落者》 1 《輪作》 1 《狼狽の嵐》 1 《水流破》 1 《外科的摘出》 1 《四肢切断》 1 《クローサの掌握》 1 《Force of Will》 1 《原基の印章》 -サイドボード(15)- |
昨年の10月の禁止改定直後に開催された【SCGO St. Louis 2015】のチャンピオンでInfectのエキスパートのTom Rossは今大会にもInfectを持ち込み、惜しくも優勝は逃したもののトップ4という好成績を残しています。
Infectクリーチャーによる毒カウンターの蓄積で相手を倒すデッキで、最速で2ターン目に勝つことが出来るコンボデッキです。相手の除去や妨害を《巨森の蔦》やカウンターで弾いて無理やり攻撃を通します。
☆注目ポイント
《海賊の魔除け》が3枚目の《ギタクシア派の調査》に差し替えられている以外はSCGO St. Louisのときとほぼ同じリストです。デッキを掘り進みつつ相手のハンドを見ることが出来る《ギタクシア派の調査》はこのデッキでは特に重要です。
《Berserk》はこのデッキにとって最も重要なパンプスぺルで、《激励》など、他のパンプスぺルと組み合わせることで真価を発揮します。トランプルを与えるのでチャンプブロックを許さず、デメリットを利用して除去としても使えます。
サイドは《呪文滑り》と《自然の要求》が抜け、《原基の印章》と《四肢切断》が採用されています。
《四肢切断》はEldraziに採用されているクリーチャーを除去できるので今後も必須となりそうな除去スペルです。《原基の印章》は《自然の要求》のような小回りは効きませんが、先に設置しておけるため《相殺》や《血染めの月》へのけん制になります。
《不毛の大地》は《The Tabernacle at Pendrell Vale》や《燃え柳の木立ち》といったこのデッキにとって厄介な土地を割るのに使われ、主にLands相手にキーとなります。
《Karakas》はSneak and Showとのマッチアップでは勿論のこと、《スレイベンの守護者、サリア》やブロッカーとして出てくる《ヴェンディリオン三人衆》をバウンスしたりと多くのマッチアップで活躍します。
4 《島》 2 《平地》 2 《Tundra》 2 《Volcanic Island》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《沸騰する小湖》 1 《乾燥台地》 1 《魂の洞窟》 2 《Karakas》 -土地(22)- 3 《瞬唱の魔道士》 3 《ヴェンディリオン三人衆》 2 《造物の学者、ヴェンセール》 -クリーチャー(8)- |
4 《渦まく知識》 3 《剣を鍬に》 2 《思案》 1 《議会の採決》 1 《天使への願い》 4 《Force of Will》 4 《終末》 4 《相殺》 4 《師範の占い独楽》 3 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(31)- |
3 《狼狽の嵐》 2 《安らかなる眠り》 1 《魂の洞窟》 1 《イゼットの静電術師》 1 《悟りの教示者》 1 《紅蓮破》 1 《赤霊破》 1 《摩耗+損耗》 1 《浄化の印章》 1 《基本に帰れ》 1 《Moat》 1 《真髄の針》 -サイドボード(15)- |
MiraclesのエキスパートのJoe Lossettは今大会では惜しくもトップ8は逃しましたが、トップ16フィニッシュと相変わらず安定した成績を残しています。毎回他のMiraclesのリストではあまり見られない彼独特のアプローチが見られます。
☆注目ポイント
多めに採用された伝説のクリーチャーと《Karakas》のコンボ、そして、それらを確実に通すための《魂の洞窟》はミラーマッチやSneak and Showなどに強くMiraclesのバリエーションとして定着しています。その代り《思案》などの軽いスペルが他のリストよりも少なめなため、最近のMiraclesでよく目にする《僧院の導師》の採用は見送られています。
サイドに忍ばせてある《Moat》は今大会で活躍していたEldrazi対策として密かに注目をされているカードです。Colorless Eldraziのクリーチャーは地上クリーチャーが中心なのでこの白いエンチャントによって攻撃がピタリと止まります。しかし、モダンと同様にEldrazi側も白などを足すことによって置物対策を投入してくることも予想されるので今後のメタ次第になりそうです。《悟りの教示者》によるシルバーバレット戦略も採られており置物対策の《浄化の印章》もサーチしてこれます。
総括
禁止改定後環境の多様性は戻りつつあったもののMiraclesの強さが目立ち環境の停滞が懸念されていましたが、『ゲートウォッチの誓い』がレガシーの環境に与えた影響は大きく、モダンの環境を支配しているEldraziはレガシーでも一線級で活躍できるデッキだということが今大会で証明されました。
マナ加速からの《虚空の杯》や《アメジストのとげ》は多くのデッキを機能不全に陥らせ、クロックも速く、《四肢切断》や《歪める嘆き》といった色マナを必要としないスペルの恩恵で無色とは思えないほどフレキシブルな動きを見せます。果たしてMiraclesやDelverのように上位で度々見かけるデッキとなるのか今後の動向にも注目です。
以上USA Legacy Express vol.98でした。
それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!
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