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みなさんこんにちは。
【第5期レガシー神決定戦】が終了しましたが、みなさんは観戦しましたか?川北選手は挑戦者である土屋選手がMiraclesかShardless Sultaiをメタったデッキを持ち込むことを想定し、奇襲とも言えるReanimatorを選択して見事に神の座の防衛を果たしました。
相手の持ち込むデッキを想像しそれに対する対策を練る、または相手の意表を突くという【心理戦の面白さ】は神決定戦ならではです。
さて、今回の記事では【Eternal Festival Tokyo 2015】と【SCG Classics Charlotte】の結果を見ていきたいと思います。
Eternal Festival Tokyo 2015
~関東の冬のレガシーの祭典を制したのはMono Red Painter~
2015年12月27日
※画像は【『Eternal Festival Tokyo 2015』 カバレージページ】より引用させていただきました。 |
2位 Miracles
3位 Elves
4位 ANT
5位 Miracles
6位 Merfolk
7位 Shardless Sultai
8位 Bant Aggro
トップ8のデッキは【こちら】
Eternal Festival Tokyoは年に一度開催される大規模なレガシーのイベントで、賞品も豪華で毎年多くの参加者を集めています。
上位はMiracles、ANT、Shardless BUGといった定番のデッキからElves、Merfolkといった部族デッキ、特徴的な構成のBantや今大会見事に優勝を収めたMono Red Painterと、「探査」ドローが禁止になり多様性を取り戻したレガシーらしい結果となりました。
Eternal Festival Tokyo 2015 デッキ紹介
「Mono Red Painter」「Miracles」「Bant Aggro」
9 《山》 2 《沸騰する小湖》 2 《乾燥台地》 4 《古えの墳墓》 3 《裏切り者の都》 -土地(20)- 1 《ゴブリンの溶接工》 4 《絵描きの召使い》 1 《ファイレクシアの破棄者》 4 《帝国の徴募兵》 4 《猿人の指導霊》 2 《月の大魔術師》 1 《特務魔道士ヤヤ・バラード》 1 《ゴブリンの熟練扇動者》 -クリーチャー(18)- |
4 《紅蓮破》 2 《赤霊破》 2 《死亡+退場》 4 《血染めの月》 4 《丸砥石》 3 《師範の占い独楽》 2 《罠の橋》 1 《紅蓮の達人チャンドラ》 -呪文(22)- |
3 《アメジストのとげ》 2 《トーモッドの墓所》 2 《漸増爆弾》 1 《ゴブリンの溶接工》 1 《ファイレクシアの破棄者》 1 《ヴィーアシーノの異端者》 1 《月の大魔術師》 1 《外科的摘出》 1 《赤霊破》 1 《三なる宝球》 1 《罠の橋》 -サイドボード(15)- |
今大会見事に優勝を収めた大石選手は、【BMO Sunday Legacy】でも入賞経験のある強豪プレイヤーです。
彼の愛用している赤単色のPainterは《絵描きの召使い》と《丸砥石》のコンボで相手のライブラリーを空にしてライブラリーアウトによる勝利を目指すコンボデッキです。単色なのを生かしメインから《血染めの月》を搭載しているため、BUGなど特殊地形に頼ったデッキに対して強いデッキです。
☆注目ポイント
青系のコンボと異なり《渦まく知識》のようなドロースペルを採っていませんが、《帝国の徴募兵》はコンボパーツの《絵描きの召使い》をサーチできるので安定してコンボが決められます。
コンボを対策されても《ゴブリンの熟練扇動者》によるビートダウンプランもあり、《罠の橋》で時間を稼ぎつつ《紅蓮の達人チャンドラ》でアドバンテージを稼いでいくといったコントロールデッキのように振る舞うことも可能です。《紅蓮の達人チャンドラ》は初期忠誠度の高さもあって除去されにくく、《師範の占い独楽》とのシナジーがあるのが魅力です。
《死亡+退場》はあまり見かけないカードですが、赤単色にとっては対処が難しい《タルモゴイフ》や《グルマグのアンコウ》といった高タフネスのクリーチャーをバウンスしたり、小型クリーチャーを処理したりとフレキシブルな除去スペルとして扱えます。
プリズン要素もあり、メインから《月の大魔術師》と《血染めの月》が搭載されています。マナ加速から1ターン目に《血染めの月》を置くことが可能です。BUGをはじめレガシーには特殊地形に頼ったデッキが多く、相手によっては《血染めの月》を解決させるだけでゲームが終わります。クリーチャーなので除去されやすいものの、《月の大魔術師》は《帝国の徴募兵》でサーチ可能です。
4 《島》 2 《平地》 3 《Tundra》 2 《Volcanic Island》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《汚染された三角州》 2 《乾燥台地》 1 《Karakas》 -土地(22)- 2 《瞬唱の魔道士》 2 《ヴェンディリオン三人衆》 -クリーチャー(4)- |
4 《渦まく知識》 3 《思案》 3 《剣を鍬に》 1 《赤霊破》 1 《呪文嵌め》 1 《対抗呪文》 2 《天使への願い》 1 《議会の採決》 1 《至高の評決》 3 《Force of Will》 3 《終末》 4 《相殺》 4 《師範の占い独楽》 3 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(34)- |
3 《狼狽の嵐》 2 《封じ込める僧侶》 2 《僧院の導師》 2 《紅蓮破》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《摩耗+損耗》 1 《対抗呪文》 1 《至高の評決》 1 《Force of Will》 -サイドボード(15)- |
ほぼ毎回上位で見かけるMiracles。レガシーでも最も強力な組み合わせの一つである《師範の占い独楽》と《相殺》を擁し、《師範の占い独楽》・《思案》・《渦まく知識》といったライブラリー操作によって毎回安定したゲームが期待でき、環境に特に不利と言えるマッチアップが少ないのが人気の理由です。
☆注目ポイント
アメリカでは《天使への願い》を減らして《僧院の導師》をメインから採用した型が主流ですが、今大会のファイナリストの青柳選手は《天使への願い》をメインに、《僧院の導師》をサイドに採用した伝統的なリストです。【The Last Sun 2015】で準優勝した斉藤 伸夫さんが制作したリストで本人による【デッキ解説記事】も挙がっています。
《天使への願い》はコンボに対しては重く無駄牌になりやすいカードになりますが、Shardless BUGやJundなどに対してはカードアドバンテージの面で差を付けられている状態でも逆転することを可能にします。
《僧院の導師》はメインでも十分に強いカードになりますが、このデッキの強みの一つは相手の除去をメイン戦で腐らせることなので、相手の除去スペルを有効牌に代えてしまうリスクがあり、除去が減らされる可能性の高いサイド後の方が強さを発揮しやすくなります。
他のリストは《終末》をメインから4枚採用していることが多いですが、青柳選手のリストは4枚目の《終末》の代わりに《至高の評決》が1枚採用されています。カウンターされることなく確実にスイープすることが可能で、特にDelverとのマッチアップで重要なカードとなります。青いカードなので最悪《Force of Will》のコストにもなります。
コンボデッキを意識しているようでサイドには《狼狽の嵐》が3枚と多めに採られています。最近では特にANTやSneak and Showといったコンボデッキを見られるようになったのでサイドボードにはぜひとも採用しておきたいカードです。Sneak and Showに対してはサイドに2枚採られている《封じ込める僧侶》も劇的な効果が期待できます。クロックにもなりほかのデッキ (Dredge、Elves、Reanimateなど) にも強い受けの広いカードなのでお勧めの1枚です。
2 《島》 2 《平地》 1 《森》 2 《Tropical Island》 2 《Tundra》 1 《Underground Sea》 1 《Savannah》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《霧深い雨林》 1 《沸騰する小湖》 1 《Karakas》 1 《魂の洞窟》 -土地(22)- 3 《死儀礼のシャーマン》 2 《貴族の教主》 4 《タルモゴイフ》 3 《石鍛冶の神秘家》 4 《真の名の宿敵》 2 《ヴェンディリオン三人衆》 -クリーチャー(18)- |
4 《渦まく知識》 4 《剣を鍬に》 1 《突然の衰微》 2 《バントの魔除け》 2 《Force of Will》 1 《梅澤の十手》 1 《火と氷の剣》 1 《殴打頭蓋》 2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 2 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(20)- |
3 《封じ込める僧侶》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《真髄の針》 1 《太陽の槍》 1 《流刑への道》 1 《被覆》 1 《森の知恵》 1 《梅澤の十手》 1 《突然の衰微》 1 《金輪際》 1 《悪夢の織り手、アショク》 1 《クローサの掌握》 1 《精神壊しの罠》 -サイドボード(15)- |
時折見かけるBantカラーのStoneblade。《真の名の宿敵》やPWを《死儀礼のシャーマン》や《貴族の教主》といったマナ加速から展開していくため、テンポ面で優れフェアデッキに対して強いデッキですが、妨害要素が少なめなためメインでのコンボとのマッチは苦戦を強いられそうです。
☆注目ポイント
2種類目のPWに《遍歴の騎士、エルズペス》ではなく《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》が選択されているのが印象的です。《遍歴の騎士、エルズペス》のようにトークンを出すことで自身を守ることが可能で、トークンも2/2なのでクロックとしても期待できます。クリーチャーを強化しつつ回避能力を与える《遍歴の騎士、エルズペス》のような奇襲性はありませんが、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》の全体強化能力は中盤以降のマナクリーチャーをクロックとして活用するのに役立ちます。
《バントの魔除け》は久々に見るカードですが、3マナと少し重いコストさえ許容できれば汎用性の高いスペルで、主にフェアデッキとのマッチで活躍が期待できます。
サイドにも特徴的なカードチョイスが見られます。
《悪夢の織り手、アショク》の「-X」能力はShardless BUGやJundとのマッチアップで相手のクリーチャー、特に《タルモゴイフ》を奪うことでアドバンテージを稼ぐことができるのでロングゲームになりやすいミッドレンジ同士のマッチアップで特に強さを発揮します。
Miraclesのようなコントロールに対しても「+2」能力でライブラリーを削りつつ奥義のプレッシャーをかけられ、追加のクロックとしてサイドインしてきているであろう《僧院の導師》などを奪うことも可能なので、追加の勝ち手段としてサイドインされそうです。
コンボ対策にクロックにもなり軽い《翻弄する魔道士》ではなく、1マナ重い《金輪際》が選択されています。クリーチャーではないのでSneak and Showなどに対しては《紅蓮地獄》などで除去されない点は魅力ですが、相手の展開速度によっては間に合わないこともあります。このカードのポテンシャルが発揮されるのはMiraclesとのマッチアップです。
主にスイーパーである《終末》を禁止に指定することが多いものの、《翻弄する魔道士》では《剣を鍬に》など他の除去で簡単に対処されてしまいます。それに対してエンチャントである《金輪際》は対策されづらく、3マナという少し重いコストもMiraclesとのマッチアップではそれほど気にならないでしょう。
SCG Classics Charlotte
~MiraclesとANTがコンスタントな強さを見せる~
2016年1月10日
※画像は【StarCityGames.com】より引用させていただきました。 |
2位 ANT
3位 UR Delver
4位 Aluren
5位 Grixis Delver
6位 Lands
7位 Temur Delver
8位 Sneak and Show
トップ8デッキは【こちら】
Premier IQからClassicsに代わってもメタに大きな変化がなくMiracles (コントロール) 、ANT、Sneak and Show (コンボ) 、Delver系 (テンポ) という図式にLands、Alurenなどその他のデッキが混ざっています。優勝はMiraclesで、エタフェスでもThe Last Sun 2015でも準優勝と安定したパフォーマンスを見せます。
SCG Classics Charlotte デッキ紹介
「Aluren」「UR Delver」
2 《森》 1 《島》 1 《沼》 1 《Tropical Island》 1 《Bayou》 1 《Underground Sea》 1 《Savannah》 1 《Taiga》 1 《繁殖池》 4 《霧深い雨林》 3 《新緑の地下墓地》 2 《汚染された三角州》 1 《ヴォルラスの要塞》 -土地(20)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《悪意の大梟》 2 《絵描きの召使い》 1 《洞窟のハーピー》 1 《夢で忍び寄るもの》 4 《帝国の徴募兵》 1 《永遠の証人》 1 《再利用の賢者》 1 《粗石の魔道士》 1 《寄生的な大梟》 -クリーチャー(20)- |
4 《陰謀団式療法》 3 《思考囲い》 3 《渦まく知識》 2 《突然の衰微》 2 《直観》 1 《森の知恵》 4 《魔の魅惑》 1 《丸砥石》 -呪文(20)- |
2 《ファイレクシアの破棄者》 2 《白鳥の歌》 1 《平和の番人》 1 《神々の神盾》 1 《骨砕き》 1 《落葉の道三》 1 《苦痛の公使》 1 《無慈悲な処刑人》 1 《弁論の幻霊》 1 《花の絨毯》 1 《墓掘りの檻》 1 《ゴルガリの魔除け》 1 《クローサの掌握》 -サイドボード(15)- |
Alurenは数こそはあまり多くないものの固定ファンが多く、長い間レガシーのコンボデッキの一つとして活躍し続けています。最近はSultai Midrangeとのハイブリットが結果を残していますが今大会入賞を収めたWalter EmmittのリストはなんとPainterコンボとのハイブリットです。
☆注目ポイント
このデッキの《帝国の徴募兵》は《魔の魅惑》とのコンボのためのクリーチャーだけでなく《絵描きの召使い》もサーチしてこれます。また《絵描きの召使い》のコンボパーツである 《丸砥石》を探せる 《粗石の魔道士》もサーチ可能です。
青いカードの枚数が少ないため《Force of Will》の採用は見送られています。代わりの妨害手段は《陰謀団式療法》と《思考囲い》です。
サイドには青対策の《落葉の道三》、コンボ対策の《弁論の幻霊》、クリーチャーデッキ対策の《平和の番人》など様々なクリーチャーが見られ、その多くは《帝国の徴募兵》によってサーチしてくることが可能です。
なぜか《渦まく知識》の枚数が3枚ですが、コンボデッキであるこのデッキにとってはキーカードを引きやすくするドロースペルは必須でシャッフル手段も多く採られているので4枚採用することをお勧めします。
2 《島》 2 《山》 4 《Volcanic Island》 4 《沸騰する小湖》 3 《霧深い雨林》 3 《血染めのぬかるみ》 -土地(18)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《僧院の速槍》 2 《ゴブリンの先達》 1 《渋面の溶岩使い》 4 《瞬唱の魔道士》 -クリーチャー(15)- |
4 《ギタクシア派の調査》 4 《渦まく知識》 4 《Chain Lightning》 4 《稲妻》 2 《思案》 2 《呪文貫き》 1 《二股の稲妻》 2 《発展の代価》 4 《Force of Will》 -呪文(27)- |
3 《外科的摘出》 2 《蒸気の絡みつき》 2 《狼狽の嵐》 2 《粉々》 2 《硫黄の渦》 1 《渋面の溶岩使い》 1 《紅蓮破》 1 《発展の代価》 1 《極上の炎技》 -サイドボード(15)- |
レガシーのDelverと言えば《不毛の大地》や《もみ消し》で相手のマナを縛りつつ、軽い優秀なクロックをソフトカウンターでバックアップしていく戦略が主流ですが、Phillip Lorrenの青赤2色のDelverは《ゴブリンの先達》や 《僧院の速槍》といった速攻クリーチャーを採用するなどより前のめりな構成です。2色なので《血染めの月》など特殊地形ヘイトにも耐性があります。
☆注目ポイント
「探査」ドロー禁止前のUR Delverを彷彿とさせますが、「探査」ドロースペルの不在により中盤以降に息切れの恐れがあります。そのため、ロングゲームを想定してカードアドバンテージ獲得手段として《瞬唱の魔道士》が採用されています。
《稲妻》の他にも《Chain Lightning》・《二股の稲妻》・《発展の代価》と火力が多めでバーンデッキとDelverのハイブリットにも見えます。
サイドボードのカードは果敢を活かすために全体的に軽いスペルでまとめられています。《蒸気の絡みつき》は《タルモゴイフ》など高タフネスクリーチャーをバウンスしつつ本体にも1点入るのでこのデッキの方向性にマッチしたスペルです。《極上の炎技》はカウンターを気にせずに最後の数点を削ることを可能にし、特にMiraclesとのマッチで強さを発揮する火力です。
総括
MiraclesやANTの強さが目立っていますが、これらのデッキは使用難易度も高いため使用者のスキルによるところも大きく、結果を見渡してみてもANTのエキスパートのCaleb Schererや、MiraclesでGP京都でも10位という好成績を残している青柳選手といった強豪プレイヤーの名前が見られます。
現在のレガシーはトップメタのデッキも存在しつつPainterやAlurenのようなローグデッキも結果を残していることからも《時を越えた探索》禁止前と比べると多様性のある環境のようです。
以上USA Legacy Express vol.95でした。
それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!
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