USA Legacy Express vol.99 -SCG Super IQ Columbia etc.-

Kenta Hiroki


(スマートフォンの方は【こちら】)


 みなさんこんにちは。

 今週末には【BM Sunday Legacy】が開催されます。久々の日本国内の大規模なレガシーのイベントですが、みなさんは参加されますか?

 さて、今回の記事では【SCG Super IQ Columbia】とアメリカ各地で行われた【SCG Invitational Qualifier】の入賞デッキを見ていきたいと思います。



SCG Super IQ Columbia トップ8
~レガシーでも猛威を振るうEldrazi~


2016年2月28日

1位 Colorless Eldrazi
2位 Jeskai Stoneblade
3位 Death and Taxes
4位 Death and Taxes
5位 Belcher
6位 Infect
7位 Elves
8位 Death and Taxes

トップ8のデッキリストは【こちら】

 Super IQは通常のInvitational Qualifierよりも賞金が高額で、規模もSCGOと併催して開催されているSCG Classicsに匹敵します。【SCGO Philadelphia】で結果を残したことにより注目を集めていたEldraziは今大会でもその強さを見せつけ、見事に優勝を収めています。

 最近あまり見られなくなっていたDeath and Taxesがトップ8に3名も輩出していたのも印象的です。



SCG Super IQ Columbia デッキ紹介

「Colorless Eldrazi」「Jeskai Stoneblade」「Death and Taxes」



Eddie Whiteside「Colorless Eldrazi」
SCG Super IQ Columbia(1位)

4 《魂の洞窟》
4 《古えの墳墓》
4 《裏切り者の都》
4 《エルドラージの寺院》
4 《不毛の大地》
1 《水晶鉱脈》
4 《ウギンの目》

-土地(25)-

4 《果てしなきもの》
4 《エルドラージのミミック》
1 《ファイレクシアの破棄者》
4 《作り変えるもの》
4 《難題の予見者》
4 《現実を砕くもの》
3 《終末を招くもの》

-クリーチャー(24)-
3 《歪める嘆き》
4 《虚空の杯》
4 《アメジストのとげ》

-呪文(11)-
4 《トーモッドの墓所》
3 《幽霊街》
3 《漸増爆弾》
2 《真髄の針》
2 《抵抗の宝球》
1 《歪める嘆き》

-サイドボード(15)-
hareruya



 【SCGO Philadelphia】でも優勝まであと一歩というパフォーマンスを見せたEldrazi。先週末に開催された【スタンダード神挑戦者決定戦】でも優勝を収めているほか、モダンのGPの上位を支配するなど、フォーマットを問わず活躍しているアーキタイプです。


☆注目ポイント

 モダンでは青白や赤緑といったバリエーションが見られますが、レガシーでは無色が主流のようです。2マナランド16枚体制ということもあり、動きも非常に安定しており1ターン目から《虚空の杯》《アメジストのとげ》を張ることで相手の行動を著しく制限します。それらに加えて《難題の予見者》でスペルをベースにしたコンボに対してはかなり有利にゲームが進みます。

 しかし、今後ミラーマッチが増えるようなら《虚空の杯》《アメジストのとげ》は効果が薄くなるためサイドに落とされる可能性もあります。


古えの墳墓難題の予見者虚空の杯


 《歪める嘆き》はメインから搭載されています。《魂の洞窟》や除去耐性のある《現実を砕くもの》などの存在で現環境のベストデッキの一つであるMiraclesに対しても強いデッキです。

 サイドには《幽霊街》が3枚も見られるなど、このデッキにとって相性の悪いマッチアップであるLandsを意識しているようです。《幽霊街》はミラーマッチでも相手の 《ウギンの目》などマナベースを攻めることができるので今後は少なくともサイドではよく見られそうなカードになりそうです。


歪める嘆き現実を砕くもの幽霊街





Chris Conklin「Jeskai Stoneblade」
SCG Super IQ Columbia(2位)

2 《島》
1 《山》
1 《平地》
3 《Tundra》
3 《Volcanic Island》
4 《溢れかえる岸辺》
3 《沸騰する小湖》
1 《乾燥台地》
1 《Karakas》
2 《不毛の大地》

-土地(21)-

2 《渋面の溶岩使い》
4 《石鍛冶の神秘家》
2 《瞬唱の魔道士》
2 《真の名の宿敵》
1 《ヴェンディリオン三人衆》

-クリーチャー(11)-
4 《渦まく知識》
4 《稲妻》
4 《思案》
3 《剣を鍬に》
2 《呪文貫き》
1 《対抗呪文》
1 《議会の採決》
4 《Force of Will》
1 《梅澤の十手》
1 《火と氷の剣》
1 《殴打頭蓋》
2 《精神を刻む者、ジェイス》

-呪文(28)-
2 《翻弄する魔道士》
2 《狼狽の嵐》
2 《安らかなる眠り》
1 《封じ込める僧侶》
1 《紅蓮破》
1 《赤霊破》
1 《外科的摘出》
1 《剣を鍬に》
1 《スフィンクスの啓示》
1 《摩耗+損耗》
1 《至高の評決》
1 《真髄の針》

-サイドボード(15)-
hareruya



 JeskaiカラーのコントロールというとMiraclesが主流ですが、今大会準優勝を収めたChris Conklinのリストは懐かしい形の青白タッチ赤のStonebladeです。《石鍛冶の神秘家》+装備品のパッケージと除去耐性が高く装備品と相性のいい《真の名の宿敵》、そして《精神を刻む者、ジェイス》が主な勝ち手段で、軽い優秀な除去とカウンターでコントロールしていきます。


☆注目ポイント

 除去スペルとして《稲妻》《剣を鍬に》の2種類の1マナスペルに《議会の採決》、カウンターも定番の《対抗呪文》《Force of Will》の他にも《呪文貫き》までもメインから採用されており、幅広い戦略に対応ができるように構築されています。

 軽いスペルを多めに採ることで《瞬唱の魔道士》も活かしやすくなっています。 《渋面の溶岩使い》もメインから採用されているあたり、全体的にフェアデッキを意識しているようです。


石鍛冶の神秘家稲妻剣を鍬に


 《不毛の大地》も入っていますが、Delver系のように相手のマナを縛るよりも、《燃え柳の木立ち》など厄介な特殊地形対策に使われます。

 サイドには各種コンボ対策、追加の妨害、除去の他にもレガシーでは珍しい《スフィンクスの啓示》も見られます。マナは掛かりますがShardless SultaiやJundといったハンデスを多用してくるデッキに対してゲーム中盤以降にアドバンテージを取り返すことを可能にします。


不毛の大地スフィンクスの啓示





Jon Anderson「Death and Taxes」
SCG Super IQ Columbia(4位)

8 《平地》
2 《地平線の梢》
1 《魂の洞窟》
3 《Karakas》
1 《トロウケアの敷石》
4 《リシャーダの港》
4 《不毛の大地》

-土地(23)-

4 《ルーンの母》
4 《ファイレクシアの破棄者》
4 《石鍛冶の神秘家》
4 《スレイベンの守護者、サリア》
3 《セラの報復者》
4 《ちらつき鬼火》
2 《ミラディンの十字軍》
1 《エイヴンの思考検閲者》

-クリーチャー(26)-
4 《剣を鍬に》
4 《霊気の薬瓶》
1 《梅澤の十手》
1 《火と氷の剣》
1 《殴打頭蓋》

-呪文(11)-
3 《エーテル宣誓会の法学者》
2 《萎れ葉のしもべ》
2 《歪める嘆き》
2 《議会の採決》
2 《安らかなる眠り》
1 《封じ込める僧侶》
1 《コロンドールのマンガラ》
1 《墓掘りの檻》
1 《真髄の針》

-サイドボード(15)-
hareruya



 今大会で最も多くの入賞者を輩出したDeath and Taxes。単色なためデッキの動きも安定しており、非青デッキの中では比較的人気のあるアーキタイプです。《霊気の薬瓶》からマナを支払わずにクロックを展開することができるため、最近Eldraziなどでよく使われている《虚空の杯》《アメジストのとげ》といったプリズン戦略にも耐性があり、メタ的にもいいポジションです。


☆注目ポイント

 《ファイレクシアの破棄者》《スレイベンの守護者、サリア》といった各種ヘイトベアー、サイドに3枚と多めに採用された《エーテル宣誓会の法学者》の存在で非青デッキの中ではコンボに対して相性の良いデッキとなっています。

 先ほども解説したように《霊気の薬瓶》のおかげでプリズン戦略やマナ否定戦略にも耐性があります。最近は3マナ域のクリーチャーでは《ヴリンの翼馬》が見られましたがJon Andersonのリストは《ミラディンの十字軍》が採用されています。「探査」ドロー禁止後の環境ではSultai系のデッキが増加傾向にあり《突然の衰微》のような除去に耐性があるため安定したクロックとして活躍が期待できます。


スレイベンの守護者、サリアエーテル宣誓会の法学者霊気の薬瓶


 無色マナを出す《リシャーダの港》《不毛の大地》のおかげで《歪める嘆き》を無理なく運用することができるため、より幅広い対応が可能になりました。スイーパーをカウンターする《歪める嘆き》が採用されているからかMiraclesに対する切り札になる《大変動》は不採用です。《実物提示教育》《冥府の教示者》など多くのコンボデッキのキーカードもソーサリーなため《歪める嘆き》で妨害することができます。

 《安らかなる眠り》はReanimatorやDredge、Landsのように墓地をリソースとして活用するデッキに対してだけでなくSultaiなどが使う《死儀礼のシャーマン》《タルモゴイフ》を機能不全に陥らせたり、ANTの《炎の中の過去》ルートを妨害したりと多くのデッキとのマッチでサイドインされます。


リシャーダの港歪める嘆き安らかなる眠り




SCG Invitational Qualifier 各地の入賞デッキ

「Painter」「UR Control」



Andrew Wright「Painter」
SCG Invitational Qualifier Dalton(4位)

7 《山》
4 《乾燥台地》
4 《古えの墳墓》
4 《裏切り者の都》

-土地(19)-

2 《ゴブリンの溶接工》
4 《絵描きの召使い》
2 《ファイレクシアの破棄者》
4 《帝国の徴募兵》
2 《月の大魔術師》
2 《猿人の指導霊》
1 《特務魔道士ヤヤ・バラード》

-クリーチャー(17)-
4 《紅蓮破》
3 《赤霊破》
4 《血染めの月》
3 《水蓮の花びら》
3 《師範の占い独楽》
4 《丸砥石》
2 《罠の橋》
1 《槌のコス》

-呪文(24)-
4 《アメジストのとげ》
3 《炎の稲妻》
3 《トーモッドの墓所》
2 《紅蓮操作》
1 《難問の鎮め屋》
1 《躁の蛮人》
1 《罠の橋》

-サイドボード(15)-
hareruya



 《絵描きの召使い》《丸砥石》のコンボによって相手のライブラリーを空にしてライブラリーアウトによる瞬殺が主な勝ち手段でメインから搭載している《血染めの月》《月の大魔術師》特殊地形に頼ったデッキをシャットアウトする手段も持ち合わせています。《帝国の徴募兵》によるチューター能力はデッキの安定性に一役買っています。


☆注目ポイント

 コンボパーツである《絵描きの召使い》の色を追加する能力は《ウギンの目》の能力を無力化させるため、最近増加傾向にあるEldraziをナチュラルに対策することを可能にします。

 《罠の橋》もクリーチャーによるビートダウンを主力とするEldraziに対して有効な対抗手段となります。コンボ以外にも2マナランドと《水蓮の花びら》から1ターン目に《血染めの月》を張ることで特殊地形に頼った多くのデッキをロックできるというプリズン要素もあり、サイドには《アメジストのとげ》もフル搭載されており相手の動きを縛る要素が豊富です。


絵描きの召使い丸砥石血染めの月





Matthew Brown「UR Control」
SCG Invitational Qualifier Lexington(2位)

5 《島》
2 《山》
2 《Volcanic Island》
4 《霧深い雨林》
4 《沸騰する小湖》
1 《樹木茂る山麓》

-土地(18)-

2 《渋面の溶岩使い》
4 《瞬唱の魔道士》
4 《若き紅蓮術士》
4 《真の名の宿敵》
2 《ヴェンディリオン三人衆》

-クリーチャー(16)-
4 《渦まく知識》
4 《稲妻》
4 《思案》
3 《呪文嵌め》
2 《噴出の稲妻》
2 《対抗呪文》
2 《衝動》
4 《Force of Will》
1 《師範の占い独楽》

-呪文(26)-
3 《被覆》
3 《紅蓮破》
3 《粉々》
2 《狼狽の嵐》
2 《外科的摘出》
1 《焙り焼き》
1 《真髄の針》

-サイドボード(15)-
hareruya



 レガシーのコントロールと言えばMiraclesが挙げられますが、Matthew Brownは青赤の2色のコントロールを持ち込みSCG Invitational Qualifier Lexingtonで準優勝という好成績を収めています。


☆注目ポイント

 全体的に軽いスペルとクロックでまとめられていますが、除去耐性が高い《真の名の宿敵》がフィニッシャーとして採用されています。3マナと高めのコストなため《相殺》《虚空の杯》のロックにも耐性があります。

 《渦まく知識》の追加のライブラリー操作に《思案》ではなく《衝動》《師範の占い独楽》なのも興味深いアプローチです。1マナのスペルに偏らせないことで《虚空の杯》をケアしています。採用されている多くのクリーチャーも《渋面の溶岩使い》《瞬唱の魔道士》《若き紅蓮術士》などカードアドバンテージを意識しています。


真の名の宿敵衝動瞬唱の魔道士


 Death and Taxesの項でも挙げたようにレガシーの多くのコンボデッキのキーカードはソーサリースペルが多いため、サイドには《被覆》が3枚と多めに積まれています。

 最近流行りのEldraziなど多くのデッキが《虚空の杯》を採用しているため、《粉々》も3枚採られています。


被覆粉々




総括

 Eldraziはレガシーの新たなアーキタイプとして定着しつつあるようです。それに伴いプリズン戦略に耐性のあるDeath and Taxesなども復権の兆しを見せます。Eldraziも今後はミラーマッチに備えてモダンのように色を足したバージョンも見られるかもしれません。今週末の【BM Sunday Legacy】が楽しみですね。

 以上USA Legacy Express vol.99でした。次回の記事では【BM Sunday Legacy】とSCG Classics Indianapolisの結果を中心にカバーしていく予定です。

 それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!



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