皆さんこんにちは。
いよいよ来月には『エターナルマスターズ』がリリースされます。プレビューも公開され始めており、すでに公開されていた《Force of Will》と《不毛の大地》のほかにも、《騙し討ち》や《Karakas》といったエターナルフォーマットで人気を博すカードの数々が再録されます。
さて、今回の記事では【SCG Classics Indianapolis】の結果を見ていきたいと思います。
SCG Classics Indianapolis
~群雄割拠な環境、優勝はInfect~
2016年5月15日
※画像は【StarCityGames.com】より引用させていただきました。 |
1位 Infect
2位 Reanimator
3位 Goblins
4位 Elves
5位 Tinfins
6位 ANT
7位 Miracles
8位 Sultai Delver
トップ8のデッキリストは【こちら】
ClassicsらしくGoblinsやElvesといった部族から、Tinfinsのようなオールインコンボまで様々なアーキタイプが勝ち残っています。MiraclesやSultai Delverといったメジャーなデッキも見られますが、決勝戦はInfectとReanimatorというコンボ同士のマッチアップでした。双方ともコンボデッキであると同時に妨害要素を多数搭載しているため、他のコンボデッキに強いデッキです。
SCG Classics Indianapolis デッキ紹介
「Reanimator」「Goblins」「Elves」「Tinfins」「Sultai Delver」
2 《沼》 1 《島》 3 《Underground Sea》 1 《Badlands》 1 《Volcanic Island》 4 《汚染された三角州》 2 《血染めのぬかるみ》 2 《沸騰する小湖》 -土地 (16)- 1 《不運な研究者》 1 《大修道士、エリシュ・ノーン》 1 《潮吹きの暴君》 4 《グリセルブランド》 1 《墨溜まりのリバイアサン》 1 《エメリアの盾、イオナ》 -クリーチャー (9)- |
4 《渦まく知識》 4 《入念な研究》 4 《納墓》 4 《再活性》 4 《死体発掘》 3 《目くらまし》 3 《イゼットの魔除け》 4 《Force of Will》 1 《動く死体》 4 《水蓮の花びら》 -呪文 (35)- |
3 《実物提示教育》 2 《呪文貫き》 2 《思考囲い》 2 《真髄の針》 1 《灰燼の乗り手》 1 《棺の追放》 1 《紅蓮破》 1 《赤霊破》 1 《虐殺》 1 《Contagion》 -サイドボード (15)- |
《納墓》や《入念な研究》で《グリセルブランド》などの大型クリーチャーを墓地に落とし、《死体発掘》や《再活性》といったスペルで墓地から釣り上げることでクリーチャーの本来のコストを踏み倒す、墓地を利用したコンボデッキ。
相手がどれだけ墓地対策を積んでいるかによって勝率が変動しますが、回ればデッキの相性に関係なく勝利することができるデッキパワーが魅力で、固定ファンも多いデッキです。
妨害スペルを搭載しておりコンボスピードも速いので、他のコンボに強いコンボデッキです。
☆注目ポイント
最近のリストは《死儀礼のシャーマン》や《安らかなる眠り》といった墓地対策や、《相殺》といった置物への対策になる《突然の衰微》のために緑をタッチしたバージョンがよく見られましたが、Robert Cucunatoは《イゼットの魔除け》や《紅蓮破》(もしくは《赤霊破》)のために赤をタッチしています。
《イゼットの魔除け》は《死儀礼のシャーマン》やヘイトベアー対策になると同時に、他のモードが追加の《呪文貫き》や《入念な研究》としても機能する優秀なスペルです。
サイド後は《実物提示教育》を加えることで、墓地に頼らずともクリーチャーを戦場に出すことが可能になります。
《棺の追放》はフラッシュバック付きなので、《納墓》でサーチ可能な墓地対策としてミラーマッチなどでサイドインされます。
3 《山》 1 《Plateau》 1 《Taiga》 3 《血染めのぬかるみ》 3 《樹木茂る山麓》 4 《魂の洞窟》 4 《リシャーダの港》 4 《不毛の大地》 -土地 (23)- 4 《ゴブリンの従僕》 1 《スカークの探鉱者》 4 《ゴブリンの群衆追い》 2 《モグの戦争司令官》 1 《棘鞭使い》 1 《ブリキ通りの悪党》 4 《ゴブリンの女看守》 4 《ゴブリンの戦長》 2 《宝石の手の焼却者》 1 《ゴブリンの名手》 4 《ゴブリンの首謀者》 1 《群衆の親分、クレンコ》 -クリーチャー (29)- |
4 《タール火》 4 《霊気の薬瓶》 -呪文 (8)- |
3 《スレイベンの守護者、サリア》 3 《紅蓮操作》 3 《大祖始の遺産》 2 《封じ込める僧侶》 2 《血染めの月》 2 《真髄の針》 -サイドボード (15)- |
しばらくぶりに上位で見かけるGoblins。レガシー黎明期から存在するアーキタイプで、《ゴブリンの従僕》や《霊気の薬瓶》を利用してゴブリンクリーチャーを高速展開していく動きは変わらず、近年はコンボなど相性の悪いマッチアップの改善のために色を足したリストが多くみられます。
☆注目ポイント
ヘイトベアーである《封じ込める僧侶》と《スレイベンの守護者、サリア》のために白を足しており、これにより苦手なコンボデッキへの耐性が若干上がっています。
《霊気の薬瓶》と《魂の洞窟》の恩恵で、カウンターを気にせずにクリーチャーを展開していけることから青いフェアデッキに強く、《ゴブリンの首謀者》はカードアドバンテージを提供してくれるので単体除去にも耐性があります。
環境の最もポピュラーなデッキの一つのMiraclesが使ってくる《終末》に対しても《ゴブリンの女看守》でライブラリーのボトムに送られた《ゴブリンの首謀者》をサーチしてくることで盤面を再構築できます。
1 《森》 2 《Bayou》 1 《Savannah》 1 《ドライアドの東屋》 4 《樹木茂る山麓》 3 《霧深い雨林》 1 《吹きさらしの荒野》 2 《魂の洞窟》 4 《ガイアの揺籃の地》 1 《ペンデルヘイヴン》 -土地 (20)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《遺産のドルイド》 4 《イラクサの歩哨》 4 《ワイアウッドの共生虫》 3 《クウィリーオン・レインジャー》 1 《樺の知識のレインジャー》 4 《エルフの幻想家》 1 《ガドック・ティーグ》 1 《漁る軟泥》 1 《再利用の賢者》 1 《群れのシャーマン》 1 《レンの地の群れ使い》 1 《孔蹄のビヒモス》 -クリーチャー (30)- |
4 《緑の太陽の頂点》 4 《垣間見る自然》 1 《輪作》 1 《森の知恵》 -呪文 (10)- |
4 《陰謀団式療法》 3 《突然の衰微》 2 《外科的摘出》 2 《思考囲い》 2 《真髄の針》 1 《Karakas》 1 《無のロッド》 -サイドボード (15)- |
ヨーロッパのレガシーエキスパートでElves使いのJulian Knabが作成したリストで、メインから採用された《ガドック・ティーグ》や《魂の洞窟》はMiraclesなどのコントロールを意識した構成です。
スイーパーをメインから搭載したMiraclesは、Elvesにとって相性の悪いマッチアップであると同時に現在のトップメタでもあるため、現状のメタでは肩身の狭い立場にありました。
このデッキより速いコンボデッキも苦手とするため、対策としてサイドにハンデスを6枚採用しています。
《梅澤の十手》に弱いイメージがありますが、回避方法はあります。《梅澤の十手》を装備したクリーチャーに回避能力がないのであれば、エルフクリーチャーでブロックしてから《ワイアウッドの共生虫》によってエルフクリーチャーをバウンスすることで、《梅澤の十手》にカウンターが乗ることを防げます。この回避方法があるため、実際はそこまで相性の悪いマッチにはなりません。
《エルフの幻想家》と《ワイアウッドの共生虫》のアドバンテージにより、Stonebladeを始めとした大半のフェアデッキに対して強いデッキといえます。
☆注目ポイント
このリストで最も特徴的なのは、多くのElvesで見られる《自然の秩序》が一切採用されていないことです。
《孔蹄のビヒモス》をサーチする手段の一つで、Elvesをコンボデッキたらしめるスペルでありましたが、4マナソーサリー、かつ緑のクリーチャーを生贄に捧げる追加コストは決して安いものではありません。コンボに対しては間に合わないことも多く、青いデッキ相手には《呪文貫き》などのソフトカウンターを常に意識しなければなりませんでした。
Elvesはコンボで早期の決着をつけるだけではなく、《エルフの幻想家》+《ワイアウッドの共生虫》によるアドバンテージを活かしたロングゲームのプランや、《死儀礼のシャーマン》+《ワイアウッドの共生虫》によって戦闘をせずにプレッシャーをかけるプランも選択可能なので、この変更には納得です。4枚分のスペースができたことで、今まで苦戦してきたマッチに対して有効なカードを採用できるようになりました。
《ガドック・ティーグ》はこのデッキにとって悪夢そのものである《終末》対策になり、ストーム系のコンボに対しても刺さります。妨害手段であると同時にクロックでもあり、緑のクリーチャーなので《緑の太陽の頂点》でサーチしてくることも可能です。
《群れのシャーマン》は戦闘をすることなく相手のライフを大量に奪うことができるクリーチャーで、《孔蹄のビヒモス》と異なり3マナで運用できる点も魅力です。
エルフクリーチャーを大量に並べてから《孔蹄のビヒモス》をサーチするというコンボのセットアップをせずとも、《死儀礼のシャーマン》やエルフクリーチャーによるビートダウンによって地道にライフを削りつつ《群れのシャーマン》でゲームを決めることが可能になったので、部族アグロとしてのプランも成功しやすくなりました。
《レンの地の群れ使い》は以前は見られなかったクリーチャーですが、5/5というサイズに加えて狼トークンクリーチャーを生み出す能力を持っており、狼クリーチャーに接死を与える能力と併せて一体で戦場を支配することが可能です。《剣を鍬に》には無力ですが、Shardless BUGなどのメインの除去である《突然の衰微》には耐性があります。
メインから採用されている《再利用の賢者》は《虚空の杯》や《相殺》といったこのデッキにとって厄介な様々なエンチャント、アーティファクト対策になります。特に《虚空の杯》のX=1はこのデッキの多くのアクションをシャットアウトしてしまうので対策は必須です。《緑の太陽の頂点》でサーチしてくることも可能なので、メインでは1枚の採用です。
1 《島》 1 《沼》 2 《Tundra》 2 《Underground Sea》 1 《Scrubland》 4 《汚染された三角州》 2 《溢れかえる岸辺》 2 《湿地の干潟》 -土地 (15)- 1 《コーリスの子》 2 《グリセルブランド》 1 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー (4)- |
2 《否定の契約》 4 《渦まく知識》 4 《陰謀団式療法》 4 《暗黒の儀式》 4 《納墓》 4 《思案》 2 《思考囲い》 1 《再活性》 4 《浅すぎる墓穴》 3 《御霊の復讐》 2 《リム=ドゥールの櫃》 1 《苦悶の触手》 4 《水蓮の花びら》 2 《金属モックス》 -呪文 (41)- |
4 《僧院の導師》 4 《神聖の力線》 2 《石鍛冶の神秘家》 2 《虐殺》 1 《真髄の針》 1 《梅澤の十手》 1 《殴打頭蓋》 -サイドボード (15)- |
一般的なReanimatorと異なり、よりコンボスピードに特化したオールイン型で、《暗黒の儀式》などのマナ加速を利用して1ターン目にコンボを決めることも可能です。このタイプのデッキは妨害に非常に弱いというイメージがありますが、このデッキは《否定の契約》やハンデスから無理やりコンボを決める手段を持ち合わせています。
☆注目ポイント
メインこそオールインコンボですが、サイド後はなんとEsper Controlに変形するプランのようです。《僧院の導師》は軽いスペルが多いこのデッキと相性が良く、追加の勝ち手段としては申し分ない性能です。
《石鍛冶の神秘家》+装備品パッケージも多くのフェアデッキに有効で、相手もさすがにこのサイドプランは想定していなかったのではないでしょうか。奇襲性の高さで有利にゲームが進められたことが予想されます。
他のコンボやバーン、ハンデス対策に《神聖の力線》もサイドに採用されており、ヘイトベアー対策の《虐殺》も採用されているのでサイド後もそのままコンボとして振る舞うというプランも有効です。
3 《Tropical Island》 3 《Underground Sea》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《汚染された三角州》 4 《不毛の大地》 -土地 (18)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《タルモゴイフ》 3 《闇の腹心》 1 《真の名の宿敵》 -クリーチャー (16)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 3 《呪文貫き》 3 《もみ消し》 2 《見栄え損ない》 4 《目くらまし》 3 《突然の衰微》 3 《Force of Will》 -呪文 (26)- |
2 《悪意の大梟》 2 《外科的摘出》 2 《思考囲い》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《湿地での被災》 1 《四肢切断》 1 《大渦の脈動》 1 《Force of Will》 1 《夜の戦慄》 1 《真髄の針》 1 《無のロッド》 1 《冬の宝珠》 -サイドボード (15)- |
SultaiカラーのDelverで、ハンデスとカウンター、優秀なクロックによりコンボに強く、《突然の衰微》も搭載されているためにMiraclesに対して最も強いDelver系の一つです。
☆注目ポイント
カードアドバンテージを提供しつつクロックとしても機能する《闇の腹心》は、Miraclesなどのライフを攻めてこないデッキに対して強く、マスト《剣を鍬に》になるので《タルモゴイフ》などの後続が生き残りやすくなります。
反面、Grixis Delverのように軽い除去を多数採用したデッキに対しては出た瞬間に除去されてしまうことが多く、ライフロスも響いてくるため弱いクリーチャーとなります。
メインに1枚だけ採用されている《真の名の宿敵》は装備品で強化するプランこそありませんが、除去耐性の高さから多くのデッキにとって脅威となります。
他のSultai Delverと異なり、メインでは定番の《思考囲い》や《Hymn to Tourach》といったハンデスが不採用で、《ヴェールのリリアナ》も採用が見送られています。
代わりに《もみ消し》が採用されていることから、Temur Delverのようにソフトカウンターと《不毛の大地》を利用してテンポデッキとして振る舞うことが可能です。《死儀礼のシャーマン》のおかげでマナを立てておくのも容易です。
軽い除去である《見栄え損ない》もメインから採用されており、コンボよりもフェアデッキを意識しているようです。
《冬の宝珠》は時折Delver系のサイドボードで見かけるカードで、LandsやMiraclesに刺さります。
■ 総括
SCG Classics Indianapolisの結果から、現在のレガシーはコンボ、コントロール、クリーチャーデッキが同居する群雄割拠の環境といった印象ですが、グランプリやオープンのように規模の大きな大会の結果はまた違ってくることが予想されます。
来月にはアメリカで【グランプリ・コロンバス2016】、ヨーロッパで【グランプリ・プラハ2016】が開催されます。USA Legacy Expressでもこれらの大会結果を紹介していく予定です。
以上、USA Legacy Express vol.104でした。
それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!
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