みなさんこんにちは。
今回でめでたく100回目の連載を迎えることができました。連載を始めた当時はまさかここまで長く続けられるとは思いませんでしたが、編集スタッフ、インタビューに協力してくれたプレイヤー、そして何よりも読者のみなさんに支えられて今日まで続けることができました。
今後もアメリカの大会情報を中心に入賞プレイヤーのインタビューなどをお届けしていきたいと思います。
さて、今回の記事では【SCG Classics Indianapolis】と【BIGMAGIC Sunday Legacy】、【第6期レガシー神挑戦者決定戦】の入賞デッキリストをご覧いただきます。
SCG Classics Indianapolis
~Miraclesが再び栄冠~
2016年3月20日
※画像は【StarCityGames.com】より引用させていただきました。 |
1位 Miracles
2位 Abzan
3位 Burn
4位 Death and Taxes
5位 Infect
6位 Miracles
7位 Grixis Delver
8位 Omni-tell
トップ8のデッキリストは【こちら】
【SCGO Philadelphia】以来注目を集めているEldraziは今大会ではトップ16に2名見られるのみで、トップ8には残れませんでした。今大会のプレイオフでは8位のOmni-Tellと5位のInfect以外のコンボは見られずフェアデッキが中心に位置し、最終的にMiraclesが優勝を掴んでいます。
Death and TaxesやAbzanなどのクリーチャーを展開しつつ相手のクリーチャーを除去していくアグロコントロールデッキも復権の兆しを見せています。
SCG Classics Indianapolis デッキ紹介
「Stoneblade」
1 《森》 1 《平地》 1 《沼》 3 《Bayou》 2 《Savannah》 1 《Scrubland》 4 《新緑の地下墓地》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《不毛の大地》 1 《Karakas》 -土地 (22)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《石鍛冶の神秘家》 4 《闇の腹心》 4 《タルモゴイフ》 1 《聖遺の騎士》 -クリーチャー (17)- |
4 《剣を鍬に》 4 《思考囲い》 3 《突然の衰微》 3 《未練ある魂》 1 《苦い真理》 1 《森の知恵》 1 《梅澤の十手》 1 《火と氷の剣》 1 《殴打頭蓋》 2 《ヴェールのリリアナ》 -呪文 (21)- |
2 《封じ込める僧侶》 2 《エーテル宣誓会の法学者》 2 《萎れ葉のしもべ》 2 《盲信的迫害》 2 《窒息》 1 《ガドック・ティーグ》 1 《漁る軟泥》 1 《墓掘りの檻》 1 《真髄の針》 1 《突然の衰微》 -サイドボード (15)- |
AbzanカラーのStonebladeです。除去も豊富でハンデス、ヘイトベアーと揃っているためコンボにもある程度まで戦える構成です。
《虚空の杯》の影響も受けにくく、必要ならば《突然の衰微》で破壊することも可能なことからEldraziのプリズン戦略にも耐性があり、装備品パッケージのおかげでクリーチャーデッキにも強いデッキです。
☆注目ポイント
《闇の腹心》や《森の知恵》、《苦い真理》などのカードアドバンテージ獲得手段が豊富で、《ヴェールのリリアナ》や《未練ある魂》は3マナのスペルが少ないMiraclesの《相殺》+《師範の占い独楽》で対処されにくく、トークンを複数生み出す《未練ある魂》は回避能力を持つクリーチャーが少ないEldraziとのマッチアップで時間を稼ぎます。装備品とも相性がよく、単体除去が中心のSultaiなどにも強いスペルです。
サイドの《窒息》はMiraclesなどの青いデッキが多いレガシーでは効くデッキも多く、クロックを対処するために相手がタップアウトした隙にこのエンチャントを貼れば相手をロックすることができます。
《エーテル宣誓会の法学者》《封じ込める僧侶》《ガドック・ティーグ》とヘイトベアーも多数積まれており、コンボ対策に力を入れています。特に《ガドック・ティーグ》はMiraclesの奇跡スペルも封じることができます。
同型やShardlessなど《ヴェールのリリアナ》や《Hymn to Tourach》を使うデッキも意識していたようで、手札破壊に耐性のある《萎れ葉のしもべ》の姿も見られます。
《盲信的迫害》は自軍のクリーチャーを強化しつつ《若き紅蓮術士》のエレメンタルトークンなどを一掃します。小型のクリーチャーを多く展開するElvesやDeath and Taxesにも有効です。
BIGMAGIC Sunday Legacy
~Delverが貫録の勝利~
2016年3月20日
※画像は【bigweb】より引用させていただきました。 |
1位 Grixis Delver
2位 Sneak and Show
3位 Grixis Delver
4位 Shardless BUG
5位 Lands
6位 Goblin Stompy
7位 Lands
8位 12 Post
トップ8のデッキリストは【こちら】
【デッキ分布】によれば【SCGO Philadelphia】以来各地で結果を残し続けている新鋭EldraziはMiraclesに次いで人気があったアーキタイプだったようです。
しかし、両デッキともにプレイオフでは姿が見えず、今大会で第三勢力であったGrixis DelverやShardless、Lands、Sneak and Showなどが勝ち残りました。Miraclesに対して相性がいい12 Postも見られます。
BIGMAGIC Sunday Legacy デッキ紹介
「12 Post」
1 《Karakas》 4 《雲上の座》 4 《微光地》 3 《古えの墳墓》 2 《演劇の舞台》 1 《魂の洞窟》 1 《埋没した廃墟》 1 《黄塵地帯》 4 《ヴェズーヴァ》 3 《Maze of Ith》 3 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 1 《ウギンの目》 1 《The Tabernacle at Pendrell Vale》 -土地 (29)- 1 《難題の予見者》 3 《ワームとぐろエンジン》 1 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》 1 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー (6)- |
3 《歪める嘆き》 2 《全ては塵》 4 《探検の地図》 4 《真髄の針》 4 《厳かなモノリス》 2 《Candelabra of Tawnos》 1 《世界のるつぼ》 1 《交易所》 2 《ニンの杖》 1 《精神隷属器》 1 《精霊龍、ウギン》 -呪文 (25)- |
4 《虚空の力線》 4 《抵抗の宝球》 3 《磁石のゴーレム》 2 《難題の予見者》 1 《罠の橋》 1 《漸増爆弾》 -サイドボード (15)- |
現環境のトップメタで今大会でも一番人気だったMiraclesに対して滅法強く、『ゲートウォッチの誓い』からの収穫も多く注目を集めているデッキです。
トップ8にMiraclesが不在で、代わりにSneak and Show、Lands、Delver系といったデッキが中心だったのはこのデッキにとっては不運でしたが、Miraclesは人気のあるデッキなので今後もメタ次第では上位で見かけるデッキとなりそうです。
☆注目ポイント
《歪める嘆き》《難題の予見者》といった無色の妨害要素の加入により、最近は無色の型も使われるようになってきています。
《Maze of Ith》や《The Tabernacle at Pendrell Vale》といった土地が除去の薄さを補える上に、《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》の能力を利用することで本来はマナの出ない土地からもマナを捻出できるようになります。
また、《不毛の大地》や《騙し討ち》、《師範の占い独楽》などを対策するために、メインから《真髄の針》をフル搭載しています。
マナ加速に《厳かなモノリス》が採用されており、Postが壊されたり《血染めの月》などを張られてもある程度まではデッキが回るように調整されています。
サイドには追加のクリーチャーやコンボ対策の《抵抗の宝球》、クリーチャーデッキ、特に最近人気のEldraziに効果のある《罠の橋》などが見られます。
第6期レガシー神挑戦者決定戦
~レガシーの新鋭、無色エルドラージが優勝~
2016年3月27日
1位 Colorless Eldrazi
2位 Sneak and Show
3位 Jund
4位 UR Delver
5位 Merfolk
6位 Jund
7位 Lands
8位 Splinter Twin
トップ8のデッキリストは【こちら】
参加者300人と大盛況で強豪プレイヤーも多く参加していた【第6期レガシー神挑戦者決定戦】。
【BIGMAGIC Sunday Legacy】と同様に、トップ8には現環境のトップメタであるMiraclesは見られず、Miraclesに強いとされているJundとLands、新鋭で話題のEldraziやレガシーでは珍しい双子コンボも見られました。
優勝を収め神への挑戦権をゲットしたのはEldraziで、その強さは本物であることが証明されました。
第6期レガシー神挑戦者決定戦 デッキ紹介
「Colorless Eldrazi」「Splinter Twin」
1 《Karakas》 4 《古えの墳墓》 4 《エルドラージの寺院》 4 《不毛の大地》 3 《魂の洞窟》 3 《裏切り者の都》 3 《ウギンの目》 2 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地 (24)- 4 《果てしなきもの》 4 《エルドラージのミミック》 4 《作り変えるもの》 2 《猿人の指導霊》 4 《難題の予見者》 4 《現実を砕くもの》 1 《終末を招くもの》 -クリーチャー (23)- |
3 《歪める嘆き》 1 《四肢切断》 4 《虚空の杯》 3 《アメジストのとげ》 2 《梅澤の十手》 -呪文 (13)- |
4 《虚空の力線》 3 《抵抗の宝球》 3 《Helm of Obedience》 2 《フェアリーの忌み者》 2 《漸増爆弾》 1 《歪める嘆き》 -サイドボード (15)- |
【SCGO Philadelphia】以来各地のレガシーの大会でコンスタントに結果を残していたEldraziは今大会で優勝を飾り、そのポテンシャルの高さを見せつけました。
マナ加速からエルドラージ・クリーチャーで攻めつつ、《虚空の杯》などで相手の行動を制限するプリズン要素も採用したアグロデッキですが、登場して間もないこともありデッキとしてはまだまだ完成されておらず、使用者によってリストにもバラつきがあります。
☆注目ポイント
基本的にクリーチャーデッキなのでLandsなどのクリーチャー戦略やマナ基盤をシャットアウトすることに長けたデッキを苦手としますが、《終末》などをカウンターできる《歪める嘆き》、《思案》や《渦まく知識》といったドロースペルや《剣を鍬に》をシャットアウトする《虚空の杯》、カウンターを無視してクロックを展開することを可能にする《魂の洞窟》のおかげでMiraclesには強い構成です。
コンボに対しても《虚空の杯》や《アメジストのとげ》、サイドの《抵抗の宝球》があるので、Belcherのように1ターン目から仕掛けてくるようなコンボでない限りはいい勝負ができます。
今大会で見事に優勝を収めた加茂 里樹選手のリストは、サイドに《虚空の力線》+《Helm of Obedience》のコンボを採っています。異なる軸から攻めることで、追加のクリーチャー除去などの対策をサイドインしてきた相手の意表を突きます。
《虚空の力線》はこのデッキが苦手とするLandsの《壌土からの生命》エンジン対策になり、《虚空の力線》+《Helm of Obedience》のコンボは対策の少ないLandsに対して高い効果が望めます。メインも《歪める嘆き》の増量、マナ加速として《猿人の指導霊》の採用、《梅澤の十手》のメイン採用と細かいところに調整が施されています。
2 《島》 1 《山》 4 《Volcanic Island》 1 《Taiga》 4 《霧深い雨林》 4 《沸騰する小湖》 1 《滝の断崖》 4 《古えの墳墓》 -土地 (21)- 3 《ヴリンの神童、ジェイス》 4 《詐欺師の総督》 3 《やっかい児》 1 《鏡割りのキキジキ》 -クリーチャー (11)- |
3 《衝動》 3 《イゼットの魔除け》 1 《直観》 4 《Force of Will》 2 《誤った指図》 4 《血染めの月》 4 《欠片の双子》 4 《虚空の杯》 3 《金属モックス》 -呪文 (28)- |
3 《紅蓮地獄》 2 《フェアリーの忌み者》 2 《硫黄の精霊》 2 《ヴェンディリオン三人衆》 2 《クローサの掌握》 1 《否定の契約》 1 《古えの遺恨》 1 《残響する真実》 1 《罠の橋》 -サイドボード (15)- |
今大会の【デッキテク】にも挙げられています。
モダンでは禁止カードに指定されるまで定番のデッキとして活躍していた《欠片の双子》+《詐欺師の総督》(もしくは《やっかい児》)で無限にアタッカーを生産して勝つコンボデッキで、レガシーではより強力な妨害、保護スペルによるバックアップが可能になっています。
プリズン要素も持ち合わせており、マナ加速から《虚空の杯》や《血染めの月》によって相手の行動を著しく制限させることで、相手によってはコンボに頼らずとも勝利することができます。
マナ加速によって1ターン目から《血染めの月》を出すことができるため、インタビューによればEldraziやDelver系、Shardlessに強く、除去が多いMiraclesを苦手とするようです。
☆注目ポイント
モダンの双子はコンボ以外でも《瞬唱の魔道士》や《稲妻》によってテンポデッキのように振る舞うことも可能でしたが、《Force of Will》や《誤った指図》などの保護スペルが強力なため、小笠原 翔選手のリストはほぼ《欠片の双子》コンボオールインのようです。
《虚空の杯》をX=1で出すことが多いため、相性を考えて《渦まく知識》や《思案》といった1マナのライブラリー操作よりも2マナの《衝動》が優先されています。
《イゼットの魔除け》はドロースペルとしても、除去、カウンターとしても使えるフレキシブルなスペルです。
スタンダードで最高のカードとして活躍している《ヴリンの神童、ジェイス》はレガシーではたまに見かける程度ですが、軽いマナコストで展開する際の隙の少なさが魅力です。インタビューでも挙げられていましたが、-3能力で《Force of Will》を再利用可能な状態にすることでコンボのバックアップをするというプレイングが強力で、代用コストを支払うことも可能です。
Miracles、Sneak and Show、Delverといった定番のデッキもいいですが普段と違うデッキも使ってみるのも楽しいので是非試してみることをお勧めします。
■ Interview With Zachary Koch
USA Legacy Express 100回記念に、筆者の友人であり【SCGO Indianapolis 2015】【SCGO Worcester 2015】でトップ8入賞、そのほかにもIQなどでコンスタントに上位入賞を収めている強豪プレイヤー・Zachary Kochにインタビューをすることができました。
※画像は【StarCityGames.com】より引用させていただきました。 |
コンテンツについて
――【MTG Training Grounds】のコンテンツでレガシーの有名プレイヤーへのインタビュー(【Legacy’s Allure】)を始めた経緯は?
Zachary: SCGのVSビデオのように各レガシーのデッキの対戦動画を作成したいと考えたのが始まりだった。月一のレガシーの大会、Legacy Tour HuntsvilleをHuntsville(Alabama)で開催するようになって、レガシーに普段から触っていないプレイヤーも見られるようになり、どんなデッキを使ったらいいのか、レガシーとはどんなフォーマットなのかを知ってもらうためにSCGのVSビデオのように各レガシーのデッキの対戦動画などをアップしたコンテンツであるMTG Training Groundsを始めるに至った。
Legacy’s Allureはレガシーの有名プレイヤーに使用デッキについてポッドキャスト形式でインタビューをするコンテンツで、レガシーのトップメタとされるデッキはどういったものなのかを紹介していく。
――動画を見てみたけど、普段からレガシーというフォーマットに触れていないプレイヤーでも分かりやすくて、有名プレイヤーのデッキについての解説は競技プレイヤーにとっても参考になるからとても見応えのあるコンテンツだね。
Zachary: 今後は中級者以上のプレイヤー向けの内容も考えている。例えば相手がどんなデッキを使っているかの見分け方や、効率的な《渦まく知識》の使い方とかね。
――それは楽しみだね。ところでLegacy Tour Huntsvilleは毎月何人ぐらい集まるの?
Zachary: 先月は33人のプレイヤーが参加した。今月も開催される予定だけど40人を超えるといいね。
――SCG IQでもなくローカルのイベントで33人は凄いね。
レガシーについて
――レガシーの魅力とは?
Zachary: 僕がレガシーを好きな理由はいくつかあるけど、一番にレガシーはローテーションがなくて好きなデッキをマスターするまで使い続けられるところかな。
僕は30歳になって仕事も忙しくなり、スタンダードのように変化の激しいフォーマットに時間を割くのが難しくなってきているから、変化の緩やかなレガシーが一番合っている。
それとレガシーはカードパワーの高いカードが多く、学習レベルの高いフォーマットで新しいカードによって各デッキの強さが変動することがあっても、特定のデッキが死滅することは稀だ。どんなデッキにも勝つチャンスがある面白さもこのフォーマットをプレイし続ける理由だね。
――たしかにレガシーはスタンダードのようにローテーションを気にせず、モダンのように定期的な禁止改定による変動もないいから、あまり時間のない社会人プレイヤーにとってもフレンドリーなフォーマットだね。
デッキについて
ZacharyはInfectを使い続けているプレイヤーで、今までもSCGOやIQで何度も入賞を収めており、SCGO Philadelphiaでもトップ16入賞を果たしています。
1 《森》 4 《Tropical Island》 4 《霧深い雨林》 2 《吹きさらしの荒野》 2 《樹木茂る山麓》 1 《ペンデルヘイヴン》 4 《墨蛾の生息地》 1 《不毛の大地》 -土地 (19)- 4 《貴族の教主》 4 《ぎらつかせのエルフ》 4 《荒廃の工作員》 1 《ヴィリジアンの堕落者》 -クリーチャー (13)- |
4 《渦まく知識》 3 《ギタクシア派の調査》 3 《巨森の蔦》 2 《Berserk》 1 《緑の太陽の頂点》 1 《思案》 1 《呪文貫き》 3 《目くらまし》 4 《激励》 4 《Force of Will》 1 《強大化》 1 《森の知恵》 -呪文 (28)- |
3 《剣を鍬に》 3 《安らかなる眠り》 1 《森を護る者》 1 《ヴィリジアンの堕落者》 1 《墓掘りの檻》 1 《真髄の針》 1 《狼狽の嵐》 1 《原基の印章》 1 《テフェリーの反応》 1 《クローサの掌握》 1 《Savannah》 -サイドボード (15)- |
Infectというデッキについて
Zachary: Infectはコンボとテンポを組み合わせたようなデッキで、Delver系のように軽いクロックと軽いライブラリー操作、カウンター、そして除去の代わりに感染クリーチャーのパワーとタフネスを上げる強化スペルが搭載されている。
このデッキは対戦相手に毒カウンターを10与えればいいので、強化スペルの威力は通常の倍となる。レガシーには《激励》や《Berserk》といった強力な強化スペルが存在するため、このデッキは2~3ターン目に相手を瞬殺することも可能だ。このコンボ要素こそが他のテンポデッキとの違いだ。
Infectをプレイする理由
Zachary: まず緑青というのが僕の好きな色の組み合わせで、緑の優秀なクリーチャーと青のドロースペル、カウンターの組み合わせが好きな理由だ。
レガシーのデッキは色々と試してみたけどInfectが一番手に馴染んだ。運がよかったのもあるけど大会でも勝つことができたから使い続けることに決めた。
Infectは絶望的なマッチアップが少なく、ドロースペルのおかげで積極的にマリガンもしていけるデッキだ。例えばLandsはDelver系やShardlessのようなデッキに対しては無類の強さを発揮するけど、ANTのようなコンボとの相性はメインではお世辞にもいいとは言えないし、サイド後の相性もあまり改善されない。僕はそういったデッキよりも相性のいいマッチで60-40、悪いマッチでも40-60のデッキを好む。
――どういったデッキがInfectにとって相性のいいマッチアップと悪いマッチアップになるの?
Zachary: Infectはプレイング次第でどのマッチアップでも戦えるデッキだけどその中でも相性のいいマッチアップは除去が少ないDeath and TaxesやElvesかな。デッキの弱点はGrixis Delverのように軽い除去とハンデス、クロックと揃ったデッキでJundも同様に相性の悪いマッチになるね。
Infectのクリーチャーは単体では小粒で弱く、カウンターや強化スペルでのバックアップが必要だけど、それらをハンデスで妨害されると厳しい。
――軽いクロックに《稲妻》と《思考囲い》系の組み合わせはシナジーを重視するデッキにとってはキツそうだね。単体で苦手なカードとはある?
Zachary: 一番苦手なのが《魂の裏切りの夜》かな。これを割るまでゲームに勝つことができなくなる。幸いこのエンチャントはサイドボードにたまに忍ばせてある程度だけどね。
よく見るカードでは《毒の濁流》だね。《梅澤の十手》や《血染めの月》も相手にしたくないカードになるね。
――マナベースや《墨蛾の生息地》をシャットアウトする《血染めの月》はたしかに厄介なカードになりそうだね。Eldraziとのマッチアップはどう?
Zachary: Eldraziは悪くないマッチアップだね。《虚空の杯》を置かれても《激励》のような1マナ以外の強化スペルもあるし《墨蛾の生息地》もある。それと個人的に《ヴィリジアンの堕落者》は今はメインに入れてもいいと思えるくらい強いと思っている。 必要なら《緑の太陽の頂点》から探してきて《虚空の杯》や《梅澤の十手》のような厄介な置物を壊せるからね。
――Infectって繊細なプレイングが要求される印象があるけど、使う場合に基本的なテクや気をつけたい点は?
Zachary: まずInfectは状況に応じてコンボデッキにもなりアグロにもなる。各マッチにおける役割を見失うとそれが負けに繋がるから、ここはしっかり覚えておいたほうがいい。基本的に、相手がマナに余裕がない(タップアウト、もしくは1マナしか空いていない状態)のときはコンボデッキとして振る舞い、早い段階で仕掛ける。この状況では相手の行動も限られているから《呪文貫き》や《Force of Will》1枚分くらいのバックアップで十分なことも多く、状況的にも有利なことが多い。先に延ばせば延ばすほど対戦相手に十分な猶予を与えることになるからね。
相手のマナに余裕があり、除去や妨害スペルを構えているような状況では《墨蛾の生息地》やクリーチャー単体でコツコツと毒カウンターを与えていき、相手に動かざる得ない状況を作り出す。カウンターや強化スペルが不足している場合はクリーチャーを多数展開する必要も出てくる。スイーパーで流されるリスクがあるけど、クリーチャーを一体ずつ出して除去されるよりも勝率の高いプランだ。
――なるほど。デッキについての詳しい解説ありがとう。今回はインタビューに協力してくれてありがとう。最後に一言もらえるかな。
Zachary: レガシーはとても楽しいフォーマットで、より多くの人にプレイしてもらいたい。動画の制作も楽しく、コンテンツへのフィードバックも楽しみだ。何よりもマジックが今より人気が出て、多くの人に楽しんでもらえることが一番だね。
総括
Eldraziの登場はレガシーに大きな影響を与えました。メタが変化したことによりMiraclesは以前ほど結果は出せていませんが、今までのように環境に対応していくことで再び上位で見かけることになりそうです。
Eldraziへの対策としては《不毛の大地》が挙げられます。2マナランド、《ウギンの目》などに頼ったマナベースを攻撃することでペースを乱していきます。
デッキとしては土地破壊しつつクロックを展開するDelver系、土地を縛りつつ《演劇の舞台》+《暗黒の深部》のコンボを狙うLandsなどが挙げられます。
他には、今回の記事でも挙げた《欠片の双子》のように《虚空の杯》などのプリズン戦略による影響が薄いデッキを使うという選択肢もあります。Zachとのインタビューでも挙げられていましたが、Infectも1マナのスペルが封じられたとしても《激励》や 《強大化》による強化スペルがあり、必要ならば《緑の太陽の頂点》からの《ヴィリジアンの堕落者》で《虚空の杯》を割ることができるので、Eldraziとは相性のいい部類に入ります。
Eldraziはクリーチャーでビートダウンしていくデッキで、現在のところ置物対策が薄いので《罠の橋》も有効な対策となります。様々なデッキのメイン、サイドで見られます。
今後は対策やミラーマッチも増えることによってEldraziも環境の変化に対応していくことが考えられます。レガシーでもTier1として留まり続けるのか、どのように進化していくのか今後の動向にも注目です。
以上、USA Legacy Express vol.100でした。冒頭でもお伝えした通り、色々な人たちの協力と、いつもこの記事を読んでくださるみなさんのおかげで100回目を無事に迎えることができました。この記事を読んでレガシーというフォーマットに興味を持ってくれたり、レガシーをもっと楽しんでくれる方が増えれば幸いです。
今後もアメリカの大会を中心にレガシーの情報、入賞プレイヤーのインタビューなどをお届けしてしていきますので、これからもよろしくお願いいたします!
それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!
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