皆さんこんにちは。
いよいよ待ちに待った『エターナルマスターズ』がリリースされますが、皆さんの望んでいたカードは収録されていましたか?
《不毛の大地》や《Force of Will》を始めとしたレガシーを代表するカードが多数収録されています。これにより以前よりもレガシーに参入しやすくなると同時に、足りないパーツを集めやすくなりそうです。
さて、今回の記事では【SCG Classics Atlanta】の入賞デッキを見ていきます。
SCG Classics Atlanta
~非青デッキが大活躍。優勝はDeath and Taxes~
2016年6月5日
※画像は【StarCityGames.com】より引用させていただきました。 |
1位 Death and Taxes
2位 Miracles
3位 Grixis Tezzeret
4位 Shardless Sultai
5位 Eldrazi
6位 Eldrazi
7位 Elves
8位 Belcher
トップ8のデッキリストは【こちら】
MiraclesやDelverといった青いデッキが中心というイメージのあるレガシーですが、最近はEldraziなどの非青デッキが結果を残しています。SCGO Atlantaと併催して開催されたSCG Classics AtlantaでもEldraziやDeath and Taxesなどが結果を残していました。
それに伴い、1ターンキルコンボのBelcherのように青いデッキに弱いとされていたコンボデッキも結果を残し始めています。
SCG Classics Atlanta デッキ紹介
「Death and Taxes」「Grixis Tezzeret」「Shardless Sultai」「Eldrazi」
11 《平地》 2 《Karakas》 4 《リシャーダの港》 4 《不毛の大地》 2 《ミシュラの工廠》 -土地 (23)- 4 《ルーンの母》 4 《ファイレクシアの破棄者》 4 《石鍛冶の神秘家》 4 《スレイベンの守護者、サリア》 4 《変位エルドラージ》 3 《ちらつき鬼火》 2 《コロンドールのマンガラ》 1 《ヴリンの翼馬》 -クリーチャー (26)- |
4 《剣を鍬に》 4 《霊気の薬瓶》 1 《梅澤の十手》 1 《火と氷の剣》 1 《殴打頭蓋》 -呪文 (11)- |
2 《封じ込める僧侶》 2 《古参兵の武具師》 2 《エーテル宣誓会の法学者》 2 《流刑への道》 1 《大変動》 1 《安らかなる眠り》 1 《神聖の力線》 1 《暖気》 1 《墓掘りの檻》 1 《真髄の針》 1 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -サイドボード (15)- |
白単色のアグロコントロールデッキ。残念ながら『エターナルマスターズ』では《リシャーダの港》の再録は見送られましたが、《不毛の大地》や《Karakas》の再録により以前よりもデッキが組みやすくなりそうです。
ヘイトベアーや装備品により、Belcherなど一部の高速コンボを除いたコンボには強く、Delverなど青いフェアデッキに対しても互角以上に戦えるデッキです。最近結果を残しているEldraziにも強いので、現在のメタでは中々いいポジションにあると言えます。
☆注目ポイント
このデッキの新たな3マナ域のクリーチャーとして、《変位エルドラージ》がフル搭載されています。除去耐性がないことがネックとなりますが、起動型能力により《石鍛冶の神秘家》の誘発型能力を使いまわしたり、《コロンドールのマンガラ》とのシナジーもあります。無色マナも《ミシュラの工廠》《リシャーダの港》《不毛の大地》の3種類の土地から出せます。
《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》は時折サイドで見かけるプレインズウォーカーで、4マナなので《突然の衰微》が効かないことは利点となります。ShardlessやMiraclesといった青いデッキとのマッチアップで強さを発揮しそうです。Eldraziを意識しているようで、追加の除去として《流刑への道》も見られます。
2 《島》 1 《沼》 2 《Underground Sea》 1 《Badlands》 1 《Volcanic Island》 4 《汚染された三角州》 2 《忍び寄るタール坑》 1 《裏切り者の都》 1 《ダークウォーターの地下墓地》 4 《古えの墳墓》 4 《不毛の大地》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地 (24)- 4 《悪意の大梟》 -クリーチャー (4)- |
2 《Transmute Artifact》 2 《毒の濁流》 4 《虚空の杯》 4 《モックス・ダイアモンド》 1 《仕組まれた爆薬》 2 《ディミーアの印鑑》 2 《威圧のタリスマン》 1 《弱者の剣》 1 《飛行機械の鋳造所》 4 《罠の橋》 1 《世界のるつぼ》 1 《三なる宝球》 1 《交易所》 2 《ダク・フェイデン》 4 《ボーラスの工作員、テゼレット》 -呪文 (32)- |
4 《虚空の力線》 2 《呪文滑り》 2 《紅蓮地獄》 2 《コラガンの命令》 1 《概念泥棒》 1 《The Abyss》 1 《Forcefield》 1 《Helm of Obedience》 1 《殴打頭蓋》 -サイドボード (15)- |
多数のアーティファクトと、それらを活かす《ダク・フェイデン》《ボーラスの工作員、テゼレット》の2種類のプレインズウォーカーで構成されたコントロールデッキ。
《飛行機械の鋳造所》コンボや《虚空の杯》《罠の橋》など相手の行動を制限させるプリズン要素も多数採用されており、フェアデッキを意識した構成です。妨害要素が少ないので、Belcherなどの高速コンボに対しては不利がつきます。
☆注目ポイント
メインからフル搭載された《悪意の大梟》や全体除去の《毒の濁流》、生物による攻勢を抑える《罠の橋》、《飛行機械の鋳造所》+《弱者の剣》コンボの搭載と、エルドラージを始めとしたクリーチャーデッキ全般に対して非常に強い構成となっています。
プレインズウォーカーの《ダク・フェイデン》と《ボーラスの工作員、テゼレット》は必要なアーティファクトやコンボパーツを探すと同時に、勝ち手段にもなります。
サイドには追加の勝ち手段として《Helm of Obedience》が採用されています。このデッキはアーティファクトをサーチする手段に長けており、墓地対策である《虚空の力線》とコンボになるのでスペースを割く価値があります。
《The Abyss》《Forcefield》といった珍しいカードも見られます。これらはクリーチャーによるダメージで勝利を目指すデッキへの、追加の対抗手段となります。特にEldraziのように単体で強力なクリーチャーで攻めてくるデッキに対して有効です。
1 《森》 1 《沼》 3 《Underground Sea》 2 《Bayou》 2 《Tropical Island》 4 《新緑の地下墓地》 3 《汚染された三角州》 1 《霧深い雨林》 1 《忍び寄るタール坑》 4 《不毛の大地》 -土地 (22)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《タルモゴイフ》 3 《悪意の大梟》 4 《断片無き工作員》 -クリーチャー (15)- |
4 《祖先の幻視》 4 《渦まく知識》 4 《突然の衰微》 2 《Hymn to Tourach》 1 《大渦の脈動》 1 《毒の濁流》 4 《Force of Will》 2 《ヴェールのリリアナ》 1 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文 (23)- |
3 《思考囲い》 2 《仕組まれた疫病》 1 《外科的摘出》 1 《悪魔の布告》 1 《ゴルガリの魔除け》 1 《壌土からの生命》 1 《クローサの掌握》 1 《夜の戦慄》 1 《森の知恵》 1 《墓掘りの檻》 1 《真髄の針》 1 《無のロッド》 -サイドボード (15)- |
《悪意の大梟》《断片無き工作員》《死儀礼のシャーマン》《Force of Will》 《精神を刻む者、ジェイス》《不毛の大地》といった多くのパーツが『エターナルマスターズ』から再録されることになり、以前よりもデッキを組むためのパーツが集めやすくなりそうなShardless Sultai。
デッキパワーが高く、《断片無き工作員》から「続唱」される《祖先の幻視》や《Hymn to Tourach》によるアドバンテージによって、環境の多くのフェアデッキを圧倒します。Miraclesと相性がいいデッキの一つで、今週末に開催されるグランプリ・コロンバス2016とグランプリ・プラハ2016でも人気が出そうなアーキタイプです。
☆注目ポイント
《悪意の大梟》はアドバンテージを得ながら、エルドラージクリーチャーや《タルモゴイフ》などと相打ちが取れる優秀なクリーチャーで、クリーチャーデッキの増加に伴い枚数が増量される傾向にあります。《毒の濁流》がメインから採用されていることからも、コンボよりもクリーチャーデッキを意識していることは明らかです。
マナ基盤では《忍び寄るタール坑》の枚数が削られ代わりに《不毛の大地》がフル搭載されています。Delverなどのテンポデッキと異なり、ソフトカウンターや《もみ消し》との組み合わせにより相手の行動を制限させる要素は持ち合わせていないため、このデッキの《不毛の大地》は相手の厄介な特殊地形対策として運用されます。
サイドの《無のロッド》はMiraclesの《師範の占い独楽》を始め、アーティファクトでのマナ加速を利用するコンボデッキを含めた多くのマッチでサイドインされます。《墓掘りの檻》もDredgeやReanimatorだけに留まらず、ANTの《炎の中の過去》ルートやElvesの《緑の太陽の頂点》対策になるため、多くのマッチでサイドインされます。
《夜の戦慄》《仕組まれた疫病》《ゴルガリの魔除け》の各種全体除去は、単体除去が中心のこのデッキにとって厄介な相手となる、小型のクリーチャーを並べてくるDeath and TaxesやElvesといったデッキ対策として機能します。
コンボに対しては追加のハンデスが有効ですが、できれば《秘儀の研究室》も欲しいところです。《秘儀の研究室》は用途こそ狭いカードですが、コンボ側はキャントリップで手札を整えつつコンボを狙うといったプレイングが困難となり、マッチアップに与える影響が大きいカードです。
Shardless Sultaiには『エターナルマスターズ』から再録されるカードが多く含まれており、デッキパワーが高くプレイングも他のデッキと比べると比較的簡単なので、レガシー初心者にもおすすめできるデッキの一つです。
2 《Karakas》 4 《魂の洞窟》 4 《裏切り者の都》 4 《古えの墳墓》 4 《エルドラージの寺院》 4 《不毛の大地》 3 《ウギンの目》 -土地 (25)- 4 《果てしなきもの》 4 《エルドラージのミミック》 4 《作り変えるもの》 4 《難題の予見者》 4 《現実を砕くもの》 2 《終末を招くもの》 -クリーチャー (22)- |
1 《歪める嘆き》 2 《四肢切断》 4 《虚空の杯》 4 《アメジストのとげ》 2 《梅澤の十手》 -呪文 (13)- |
2 《真髄の針》 2 《冬の宝珠》 3 《灰燼の乗り手》 4 《虚空の力線》 1 《四肢切断》 3 《歪める嘆き》 -サイドボード (15)- |
今や環境のアグロデッキの定番として、大会では必ずといっていいほど見かけるようになったエルドラージ。《魂の洞窟》の恩恵でカウンターにも引っかからず、青のキャントリップスペルや《剣を鍬に》といった1マナの除去をシャットアウトする《虚空の杯》もあり、青いフェアデッキに強いデッキです。
カウンターを採用していないのでBelcherのような高速コンボには弱くなりますが、遅めのコンボなら《虚空の杯》や《アメジストのとげ》でコンボの発動を遅らせることが可能です。また、メインでは《Karakas》以外にマリット・レイジトークンに対処する手段がなく、《不毛の大地》などのマナ基盤を破壊する手段に長け、クリーチャーコントロールにも優れたLandsも相性の悪いマッチとなります。
☆注目ポイント
クリーチャーデッキにとって厄介な《終末》や、コンボデッキのキーとなる《実物提示教育》《冥府の教示者》といったソーサリースペルをカウンター可能な《歪める嘆き》はメインから無理なく採用できます。
《四肢切断》はこのデッキにとって数少ない除去スペルで、ブロッカーとして立ちはだかる《タルモゴイフ》、ブロッカーのトークンを生み出す《若き紅蓮術士》や《僧院の導師》への対策になります。
サイドには墓地対策、置物対策や追加の《歪める嘆き》が中心ですが、一部見慣れないカードも採用されています。
《冬の宝珠》はMiracles、Landsといったコントロールデッキの土地をロックすることで行動を著しく制限させます。
《灰燼の乗り手》は《実物提示教育》への専用サイドです。
デッキのパーツが《裏切り者の都》など一部を除いて比較的最近のカードが中心で、《不毛の大地》と《Karakas》が『エターナルマスターズ』から再録されることが確定しているので、レガシーでも最も敷居が低いデッキの一つとなりそうです。
■ 大会レポート
先週末に筆者の住むアメリカ、ミシガン州のショップである【BC Comix】で開催された、賞品総額1000ドルのレガシーの競技大会が開催されました。グランプリ・コロンバス2016の開催が近いこともあり、参加者も50人近く集まりました。筆者も愛用のMiraclesで参加してきました。
4 《島》 2 《平地》 3 《Tundra》 2 《Volcanic Island》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《沸騰する小湖》 2 《乾燥台地》 1 《Karakas》 -土地 (22)- 2 《瞬唱の魔道士》 2 《ヴェンディリオン三人衆》 -クリーチャー (4)- |
4 《渦まく知識》 3 《思案》 3 《剣を鍬に》 1 《呪文嵌め》 1 《対抗呪文》 2 《天使への願い》 1 《議会の採決》 3 《Force of Will》 4 《終末》 4 《相殺》 1 《仕組まれた爆薬》 4 《師範の占い独楽》 3 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文 (34)- |
2 《僧院の導師》 2 《狼狽の嵐》 2 《紅蓮破》 2 《摩耗+損耗》 1 《封じ込める僧侶》 1 《赤霊破》 1 《対抗呪文》 1 《Force of Will》 1 《安らかなる眠り》 1 《基本に帰れ》 1 《血染めの月》 -サイドボード (15)- |
グランプリ・東京2016と併催して開催されていた「ジョニーのお店協賛 日本レガシー選手権2016 Spring」で優勝を収めていた【タカノ シゲキ選手のリスト】を、一部のカードを入れ替えて使用しました。
青いデッキだけではなくJund、Death and Taxes、Elves、エルドラージもそれなりにいたので《紅蓮破》をメインからサイドに落として、追加の《虚空の杯》対策にもなる《仕組まれた爆薬》をメインに採用することにしました。
サイドは特殊地形対策に《基本に帰れ》をもう1枚追加で採用したかったのですが、在庫がなかったため《血染めの月》にて代用しました。
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 1 | Eldrazi | 0-2 |
Round 2 | Hightide | 2-0 |
Round 3 | Miracles | 2-0 |
Round 4 | BG Loam Depths | 2-0 |
Round 5 | Miracles | 2-0 |
Round 6 | Eldrazi | ID |
初戦で当たったエルドラージに圧敗しましたが、その後は運よく勝ち続けて、ラウンド1で負けたのにも関わらずタイブレーカーにも恵まれ、最終戦はIDすることができました。
トップ8は筆者(Miracles)の他にEldraziが2名、Goblin Stompy、UR Delver、Miracles、Death and Taxes、Merfolkといった並びで、青いデッキと非青デッキが混ざったSCG Classicsと似た結果となりました。青いデッキやDeath and Taxes、そしてトップ8まで勝ち残った半数のデッキ(Merfolk、エルドラージ、Goblin Stompy)が《虚空の杯》を採用していたので、遅めのコンボデッキにとっては難しいメタだったようです。
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
QF | Goblin Stompy | 2-0 |
SF | UR Delver | 2-1 |
Final | Eldrazi(スイス最終戦でIDしたプレイヤー) | 1-2 |
決勝戦はエルドラージに敗れて惜しくも優勝は逃しましたが、好きなフォーマットで準優勝という結果を残すことができました。また、副賞として今冬開催予定となりますBC Comix主催の賞金総額3000ドルの招待制イベントの参加権も獲得したので、総じて充実した週末でした。
■ 使ってみた感想
メインの《呪文嵌め》は、アメリカで流行っているリストでは採用数が少なかったために読まれにくく、ミラーマッチで相手の《相殺》をカウンターしたり《虚空の杯》X=1をカウンターしたりと、ほぼ全てのマッチで活躍しました。
予想通りエルドラージとの相性があまりよくなかったので、対策を増やす必要があると感じました。エルドラージは基本的にクリーチャーで攻めてくるデッキなので、そういった戦略全般に効く《罠の橋》が有力です。SCG ClassicsやInvitational予選で結果を残しているリストの中には、対策として飛行クリーチャー以外の攻撃を制限する《Moat》が採用されているリストも見かけます。
■ 総括
SCGの大会ではエルドラージやDeath and Taxes、Elvesなどの非青デッキが結果を残し続けており、それに伴いBelcherなどの高速コンボも復権してきています。グランプリ・コロンバス2016やグランプリ・プラハ2016ではまた違ってきそうですが、値段的にも組みやすくデッキパワーも高いエルドラージは人気が出そうなアーキタイプです。久々となるレガシーのグランプリなので楽しみです。
以上、USA Legacy Express vol.105でした。
次回の記事ではGP ColumbusやGP Pragueの結果をカバーしていく予定です。
それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!
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