皆さんこんにちは。
先々週末にはアメリカで【グランプリ・コロンバス2016】、チェコで【グランプリ・プラハ2016】が開催され、各地からレガシー好きが集まり大きな盛り上がりを見せました。
レガシーは《渦まく知識》や《意志の力》といった青いカードを使ったデッキが半分以上を占めているのにもかかわらず様々なアーキタイプが存在しており、日本でもレガシーのグランプリが開催されるなど人気のフォーマットです。
今回の記事では、【グランプリ・コロンバス2016】と【グランプリ・プラハ2016】の結果を見ていきたいと思います。
グランプリ・コロンバス2016
~トップ8の半数がMiracles~
2016年6月18-19日
※画像は【Magic: the Gathering 英語公式ウェブサイト】より引用させていただきました。 |
1位 Infect
2位 Miracles
3位 Grixis Delver
4位 Miracles
5位 Miracles
6位 Reanimator
7位 Lands
8位 Miracles
トップ8のデッキリストは【こちら】
【グランプリ・コロンバス2016】はプレイオフの半数がMiraclesと、優勝は逃したもののDelver系、Shardless に次いで【高い二日目進出率】だったことからも今大会の勝ち組デッキと言えます。
SCG Tourなど大きなレガシーの大会で結果を残し続けていたEldraziは思ったほど振るわず、7位入賞のLandsを除いたすべてのトップ8デッキが《渦まく知識》や《意志の力》を採用したデッキという結果となりました。
ローテーションの存在しないレガシーらしく、レガシーのSCG TourでMiraclesで結果を残し続けているJoe Losset、Grixis DelverマスターのNoar Walker、昨年開催されたGP Seattle-TacomaでLandsを使いこなして優勝を収めていたJarvis Yuといった、各々のデッキに対する理解度の高いプレイヤーが中心です。
グランプリ・コロンバス2016 デッキ紹介
「Infect」「Miracles」「Miracles」
1 《森》 4 《Tropical Island》 4 《霧深い雨林》 4 《吹きさらしの荒野》 1 《ペンデルヘイヴン》 4 《墨蛾の生息地》 1 《不毛の大地》 -土地 (19)- 4 《ぎらつかせのエルフ》 4 《貴族の教主》 4 《荒廃の工作員》 -クリーチャー (12)- |
4 《渦まく知識》 3 《ギタクシア派の調査》 3 《巨森の蔦》 2 《Berserk》 2 《輪作》 2 《呪文貫き》 4 《目くらまし》 4 《激励》 3 《意志の力》 1 《強大化》 1 《森の知恵》 -呪文 (29)- |
3 《狼狽の嵐》 2 《自然の要求》 2 《クローサの掌握》 2 《水没》 1 《ボジューカの沼》 1 《不毛の大地》 1 《呪文滑り》 1 《ヴィリジアンの堕落者》 1 《意志の力》 1 《墓掘りの檻》 -サイドボード (15)- |
16歳という若さでグランプリ優勝という快挙を成し遂げたClay Spicklemire。【グランプリ・ロサンゼルス2016】でも13歳のプレイヤーのEthan Brownが準優勝を収めており、プロツアーやGPで結果を残し続けてプラチナレベルにまで登りつめたOliver Tiuも18歳と、アメリカでは多くの若手プレイヤーが活躍しています。
今大会でClay Spicklemireが使用したデッキはInfectでした。Infectはここ数年になってレガシーで見られるようになったデッキで、SCG Tourの強豪プレイヤーであるTom Rossが使用し結果を残したことで広く知れ渡りました。
「感染」持ちクリーチャーをパンプスぺルによって強化して勝利するアグロコンボデッキで、青のドロースペルとカウンターでバックアップしていきます。
レガシーらしく効率的なスペルでまとめられており、Delver系のようなアグロコントロールのように振る舞うことも瞬殺コンボのように振る舞うことも可能で、このデッキに対する対戦難易度の高さも勝因のひとつです。
☆注目ポイント
《激励》はマナを支払うことなくクリーチャーを強化できるカードで、《Berserk》と組み合わせて《ぎらつかせのエルフ》といった「感染」持ちのクリーチャーのパワーを10にまで強化することでゲーム最序盤に勝利を狙うことも可能にします。点数で見たマナコストは3なので、このデッキの多くのスペルをシャットアウトする《虚空の杯》の「X=1」にも引っかからず、このデッキのキーとなるスペルです。
また、強化スペルが強力なので、毒カウンターによる勝利だけでなく、《貴族の教主》のアタックによる通常のダメージでの勝利も十分に狙っていけます。
相手の状況を確認しつつドローを進めることができる《ギタクシア派の調査》は2~3ターン以内に決着を付けることが理想のこのデッキにとっては特に重要で、軽いスペルの連打で墓地を肥やせるので《強大化》の「探査」もしやすくなります。
《輪作》はこのデッキの勝ち手段の一つである《墨蛾の生息地》の他にも、《不毛の大地》や墓地対策の《ボジューカの沼》といった状況に応じた土地をサーチしてくることが可能で、《ペンデルヘイヴン》をサーチすることでパンプスぺルのようにも使えます。
《輪作》をプレイする理想のタイミングは相手が《不毛の大地》などでこちらの特殊地形を対象にしたときです。《不毛の大地》の起動にレスポンスして《輪作》をキャストし、対象にされた土地をサクリファイスして新しい土地を探してくることで、実質《もみ消し》と同様の効果になるので、是非覚えておきたいプレイングです。
《渦まく知識》や《ギタクシア派の調査》といったドロースペルの恩恵で、《強大化》《Berserk》《森の知恵》といった重要なスペルながらコストや限定的な効果のためにあまり枚数を引きたくないカードを1~2枚にまで減らすことを可能にします。
ドローの質を上げつつカードアドバンテージを稼ぐことを可能にする《森の知恵》は、ライフを積極的に攻めてこないMiraclesとのマッチアップで特に有効です。《Berserk》をはじめとする強化スペルや《巨森の蔦》のような保護スペルなど、特定のスペルを探しにいけるので、他のマッチでも活躍します。
4 《島》 2 《平地》 2 《Tundra》 2 《Volcanic Island》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《沸騰する小湖》 1 《乾燥台地》 1 《魂の洞窟》 2 《カラカス》 -土地 (22)- 3 《瞬唱の魔道士》 3 《ヴェンディリオン三人衆》 2 《造物の学者、ヴェンセール》 -クリーチャー (8)- |
4 《渦まく知識》 3 《思案》 3 《剣を鍬に》 2 《天使への願い》 4 《意志の力》 4 《終末》 4 《相殺》 4 《師範の占い独楽》 2 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文 (30)- |
2 《狼狽の嵐》 2 《赤霊破》 2 《安らかなる眠り》 2 《基本に帰れ》 2 《Moat》 1 《紅蓮破》 1 《剣を鍬に》 1 《摩耗+損耗》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《真髄の針》 -サイドボード (15)- |
MiraclesのエキスパートであるJoe LossettはSCG Tourで結果を残し続けている強豪プレイヤーで、惜しくも優勝は逃しましたが準優勝という好成績を残し、彼の実力はグランプリでも通用することが証明されました。
Miraclesを使い込んでいるだけあり、多めに採用された《造物の学者、ヴェンセール》、《ヴェンディリオン三人衆》といった伝説のクリーチャーや2枚採用された《カラカス》など、特徴的なリストに仕上がっています。
☆注目ポイント
《造物の学者、ヴェンセール》と《ヴェンディリオン三人衆》と合計5枚採用された伝説のクリーチャーを活かすために、2枚目の《カラカス》が採られています。これらの伝説のクリーチャーたちが《魂の洞窟》でWizardを指定することでカウンターされなくなる上に《カラカス》でバウンスできるために除去されにくいので、ミラーマッチやShardlessといった他の青いデッキに対して強い構成と言えます。
サイドボードには追加の除去として4枚目の《剣を鍬に》や、アンチ特殊地形の《基本に帰れ》、 《虚空の杯》対策の《仕組まれた爆薬》と《摩耗+損耗》、そして地上クリーチャーによるアタックをシャットアウトする《Moat》など、Eldrazi対策が多めに積まれています。特に《Moat》は今大会入賞を収めた4名の内3名が採用していることからも、Eldraziをはじめとしたクリーチャーデッキ対策として重要なカードだったようです。
Eldraziは最もポピュラーな無色ベースにしたリストが《漸増爆弾》などの一部のカードを除いてエンチャント対策が薄く、《Moat》は現在で最も有効な対抗手段です。特にJoe Lossetのリストは地上クリーチャーが止まっている隙に飛行持ちの《ヴェンディリオン三人衆》や天使トークンで攻めることが可能です。
4 《島》 2 《平地》 2 《Tundra》 2 《Volcanic Island》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《沸騰する小湖》 1 《乾燥台地》 -土地 (19)- 3 《瞬唱の魔道士》 4 《僧院の導師》 -クリーチャー (7)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《剣を鍬に》 1 《定業》 2 《予報》 1 《対抗呪文》 4 《意志の力》 4 《終末》 4 《相殺》 2 《仕組まれた爆薬》 4 《師範の占い独楽》 -呪文 (34)- |
4 《紅蓮破》 2 《狼狽の嵐》 2 《摩耗+損耗》 2 《血染めの月》 1 《山》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《呪文貫き》 1 《外科的摘出》 1 《天使への願い》 -サイドボード (15)- |
Wilson Hunterのリストは一般的なMiraclesのリストと異なり、《僧院の導師》をフル搭載したややアグロ寄りの構成で、代わりに《精神を刻む者、ジェイス》が不採用となっており、過去に存在した【CounterTopGoyf】を彷彿とさせます。さしずめ「CounterTopMentor」といったところでしょうか。
☆注目ポイント
じっくりコントロールしつつ《天使への願い》や《精神を刻む者、ジェイス》で勝利を目指す他のMiraclesとは異なり、《僧院の導師》を展開してから効率的なドロースペルで自軍を強化しつつ、それらをカウンターや除去でバックアップしていくスタイルで、このデッキの《相殺》と《師範の占い独楽》は相手をロックする手段よりもクロックを除去から守る役割を果たします。
《精神を刻む者、ジェイス》が不採用な分、《思案》や《予報》など軽いドロースペルや《瞬唱の魔道士》によってアドバンテージを取っていきます。これらの軽いドロースペルは先ほどの《僧院の導師》との相性も良好で小回りが利くので、高コストの「奇跡」スペルを引きすぎてしまうといったフラストレーションも少なくなります。
《思案》をはじめ1マナのスペルを多く取っている分《虚空の杯》「X=1」に弱くなっているため、メインから《仕組まれた爆薬》が2枚採用されています。《虚空の杯》以外にもDelverなど他のアグロにも効果的で、ミラーマッチでも相手のフィニッシャーである《天使への願い》を牽制したり《相殺》対策になるので、無駄になりにくいカードです。
グランプリ・プラハ2016
~ストームがヨーロッパのグランプリを制する~
2016年6月18-19日
※画像は【Magic: the Gathering 英語公式ウェブサイト】より引用させていただきました。 |
1位 ANT
2位 Miracles
3位 Death and Taxes
4位 Grixis Delver
5位 Omni Sneak Show
6位 Shardless Sultai
7位 Temur Delver
8位 Grixis Delver
トップ8のデッキリストは【こちら】
Eldraziは最も【高い二日目進出率】を出しましたが、他方で最も優秀な成績を収めたのがトップ16と最終的には振るわず、【グランプリ・コロンバス2016】と同様に対策が厳しかったようです。Miracles祭りだったアメリカとは対照的にヨーロッパではMiraclesはEldraziに次ぐ高い二日目進出率にもかかわらずプレイオフにはわずか一名でしたが、その最終成績はアメリカと同様に準優勝でした。
また、Delver系がプレイオフに3名の入賞者を輩出しました。二日目進出デッキ分布ではバリエーション毎に細かく分類されていましたが、Grixis、Sultai、Temur、UR Delverを全てDelver系としてまとめれば今大会で最も多い二日目進出者を出しています。
最終的に優勝を収めたのはANTで、相性が決して良いとは言えないDeath and TaxesとMiraclesに勝利しての優勝です。
グランプリ・プラハ2016 デッキ紹介
「ANT」「Death and Taxes」「Omni Sneak Show」「Temur Delver」
1 《島》 1 《沼》 2 《Underground Sea》 1 《Bayou》 1 《Tropical Island》 1 《Volcanic Island》 4 《霧深い雨林》 4 《汚染された三角州》 -土地 (15)- -クリーチャー (0)- |
4 《渦まく知識》 4 《陰謀団の儀式》 4 《暗黒の儀式》 4 《ギタクシア派の調査》 4 《思案》 3 《陰謀団式療法》 3 《強迫》 1 《定業》 1 《汚物の雨》 4 《冥府の教示者》 2 《炎の中の過去》 1 《苦悶の触手》 1 《むかつき》 4 《ライオンの瞳のダイアモンド》 4 《水蓮の花びら》 1 《師範の占い独楽》 -呪文 (45)- |
4 《突然の衰微》 2 《狼狽の嵐》 2 《残響する真実》 2 《クローサの掌握》 2 《苦悶の触手》 1 《ザンティッドの大群》 1 《巣穴からの総出》 1 《師範の占い独楽》 -サイドボード (15)- |
マジック史上最も壊れたメカニズムの1つとされている「ストーム」を利用した、レガシーを代表するコンボデッキです。
軽いキャントリップスペル、マナ増幅スペル、ハンデスを多数キャストすることで「ストーム」を稼ぎ、最終的に《苦悶の触手》のドレインか《巣穴からの総出》によって生み出された大量のゴブリントークンで勝利します。
デッキが複雑なので使いこなすのには高いプレイスキルが要求されますが、ドロースペルに加えてハンデスによる妨害を搭載しているので、本来コンボデッキが苦手とする青いデッキに対してもある程度耐性があるのが強みです。
☆注目ポイント
最近のリストでよく見られた《闇の誓願》が不採用で、代わりにドローの質を高める《師範の占い独楽》とコンボ発動のキーとなる追加の《炎の中の過去》が採用されています。
《師範の占い独楽》はサイドにも採られており、ハンデスをはじめとした妨害スペルに耐性を付けています。
《突然の衰微》《残響する真実》《クローサの掌握》と《相殺》や《虚空の杯》といった置物対策にも力を入れており、特に《突然の衰微》と《残響する真実》は各種ヘイトベアーや《秘密を掘り下げる者》などのクロック対策も兼ねます。
《狼狽の嵐》は最近のリストのサイドボードでよく見られるようになったテクニックで、主にミラーマッチやSneak and Show、Reanimate、Infectなど、他のコンボに対する妨害手段として採用されています。
多くのコンボデッキはサイド後にクリーチャーなど追加の勝ち手段を投入することで除去を減らした相手の意表を突く戦略を取っていますが、Rodrigoのリストはクリーチャーは青対策のシステムクリーチャーである《ザンティッドの大群》が一枚のみで、サイド後も相手の対策や妨害に対抗しつつコンボを決める戦略となっているようです。
9 《平地》 1 《魂の洞窟》 1 《地平線の梢》 3 《カラカス》 4 《リシャーダの港》 4 《不毛の大地》 1 《ミシュラの工廠》 -土地 (23)- 3 《ルーンの母》 4 《ファイレクシアの破棄者》 4 《石鍛冶の神秘家》 4 《スレイベンの守護者、サリア》 2 《セラの報復者》 1 《迷宮の霊魂》 4 《ちらつき鬼火》 2 《ミラディンの十字軍》 1 《放逐する僧侶》 1 《オレスコスの王、ブリマーズ》 -クリーチャー (26)- |
4 《剣を鍬に》 4 《霊気の薬瓶》 1 《梅澤の十手》 1 《火と氷の剣》 1 《殴打頭蓋》 -呪文 (11)- |
2 《封じ込める僧侶》 2 《エーテル宣誓会の法学者》 2 《流刑への道》 2 《議会の採決》 2 《安らかなる眠り》 2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 1 《大変動》 1 《真髄の針》 1 《大祖始の遺産》 -サイドボード (15)- |
ヨーロッパのレガシーマスターのThomas Enevoldsenは【グランプリ・ストラスブルグ2013】でも優勝経験のある強豪プレイヤーで、Death and Taxesを得意とします。今大会でも彼は初日を9-0という成績でスタートし、見事にトップ8入賞を収めました。
相手の行動を制限しつつ《スレイベンの守護者、サリア》を初めとしたヘイトベアーや《石鍛冶の神秘家》+装備品でビートダウンしていくデッキで、流行りのEldraziに対しても軽い除去や装備品、相手のマナベースを壊す《不毛の大地》があるので有利に立ち回れます。
《魂の洞窟》と《霊気の薬瓶》の恩恵で青いデッキにも強く、《霊気の薬瓶》はクリーチャーをインスタントタイミングで出すことを可能にするのでソーサリースピードのスイーパーにもある程度耐性があり、巧く立ち回ることでMiracles等とも互角以上に戦えます。
☆注目ポイント
《スレイベンの守護者、サリア》は相手の行動に制限を加えるこのデッキを代表するヘイトベアーです。ANTはこのクリーチャーが戦場に存在するだけでコンボを決めるのが困難になりますし、軽いキャントリップスペルでデッキを回すDelver系もこのクリーチャーを苦手とします。
《ファイレクシアの破棄者》は《騙し討ち》や《師範の占い独楽》といったカードを止めつつクロックをかけます。
Thomas Enevoldsenは《変位エルドラージ》や《コロンドールのマンガラ》といったトリッキーな要素を排除し、《オレスコスの王、ブリマーズ》や、Shardlessなどの《タルモゴイフ》を使ったデッキに強い《ミラディンの十字軍》といった単体でカードパワーの高いクリーチャーと、除去として機能する 《放逐する僧侶》が優先されています。
《迷宮の霊魂》は《霊気の薬瓶》から《渦まく知識》にレスポンスして出すことでアドバンテージを稼ぐことができます。また《ちらつき鬼火》は《虚空の杯》や《果てしなきもの》対策にもなるほか、《霊気の薬瓶》から相手の除去にレスポンスで出すことでクリーチャーを除去から守ることもできます。
《石鍛冶の神秘家》は小粒なクリーチャーの多いこのデッキの打点を強化する装備品をサーチし、特に《殴打頭蓋》はEldraziにとって対処が難しく攻守にわたって活躍します。
サイドの《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》は最近になって見られるようになったテクニックで、MiraclesやShardlessなどの青いフェアデッキとのマッチアップで強さを発揮します。クリーチャーを強化する「-4」能力は《ゴルガリの魔除け》などのカードに耐性が付きます。
妨害要素が豊富なDeath and Taxesは様々なデッキが集まるレガシーというフォーマットでも満遍なく戦える上に、『エターナルマスターズ』から《不毛の大地》や《カラカス》が再録されたことでデッキも組みやすくなりましたので、これからレガシーを始めたいという方にもお勧めできるデッキです。
3 《島》 1 《山》 3 《Volcanic Island》 4 《沸騰する小湖》 1 《溢れかえる岸辺》 1 《霧深い雨林》 1 《汚染された三角州》 3 《古えの墳墓》 2 《裏切り者の都》 -土地 (19)- 3 《グリセルブランド》 3 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー (6)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 3 《呪文貫き》 2 《定業》 3 《狡猾な願い》 1 《衝動》 4 《実物提示教育》 1 《直観》 4 《意志の力》 3 《騙し討ち》 3 《全知》 3 《水蓮の花びら》 -呪文 (35)- |
3 《血染めの月》 1 《すべてを護るもの、母聖樹》 1 《狼狽の嵐》 1 《紅蓮破》 1 《外科的摘出》 1 《紅蓮地獄》 1 《蟻の解き放ち》 1 《直観》 1 《コジレックの帰還》 1 《急流》 1 《裂け目の突破》 1 《火想者の予見》 1 《防御の光網》 -サイドボード (15)- |
先ほど紹介したANTと並んでレガシーを代表するコンボデッキの一つである《実物提示教育》デッキ。
《騙し討ち》を利用して《引き裂かれし永劫、エムラクール》や《グリセルブランド》のコストを踏み倒して戦場に出すSneak and Showと《実物提示教育》から《全知》を出してコンボを決めるOmni-tellが代表的ですが、今回入賞を収めたNiels MolleのリストはSneak and ShowとOmni-tellをハイブリットしたバージョンです。
☆注目ポイント
一般的なSneak and Showと異なり《騙し討ち》からのコンボ以外にも《全知》からのコンボのバックアップがあるので、《真髄の針》や《ファイレクシアの破棄者》による妨害に対して耐性があります。
《狡猾な願い》から《直観》をサーチしてそこから《実物提示教育》をサーチし《全知》を戦場に出すまでは一般的なOmni-tellと変わりませんが、このリストでは《全知》から《グリセルブランド》をコストを支払わずにプレイすることで、ドローして《狡猾な願い》まで繋げることが可能です。
《全知》が置かれた後は《狡猾な願い》から《火想者の予見》をサーチできるので、《渦まく知識》と《衝動》、《狡猾な願い》を手札に加え、最終的に《蟻の解き放ち》による無限ダメージで勝利します。
3 《Tropical Island》 3 《Volcanic Island》 2 《溢れかえる岸辺》 2 《霧深い雨林》 2 《沸騰する小湖》 2 《樹木茂る山麓》 4 《不毛の大地》 -土地 (18)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《タルモゴイフ》 1 《真の名の宿敵》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 2 《わめき騒ぐマンドリル》 -クリーチャー (12)- |
4 《渦まく知識》 4 《稲妻》 4 《思案》 4 《もみ消し》 2 《呪文嵌め》 1 《二股の稲妻》 1 《呪文貫き》 4 《目くらまし》 1 《火+氷》 1 《四肢切断》 4 《意志の力》 -呪文 (30)- |
2 《狼狽の嵐》 2 《発展の代価》 2 《乱暴+転落》 2 《水没》 1 《外科的摘出》 1 《硫黄の精霊》 1 《紅蓮破》 1 《赤霊破》 1 《古えの遺恨》 1 《クローサの掌握》 1 《墓掘りの檻》 -サイドボード (15)- |
Delver系の中でも最も古い型であるTemur Delver。《相殺》や《虚空の杯》に対抗するために長年このデッキを支えてきた1マナのクリーチャーである《敏捷なマングース》が抜けて、代わりに 《わめき騒ぐマンドリル》と 《真の名の宿敵》、《ヴェンディリオン三人衆》が採用されています。
最近ではGrixis、Sultaiなど様々なバリエーションが登場していますが、DelverといえばTemurというプレイヤーも多く、《もみ消し》、土地破壊、ソフトカウンターとDelver系の中でも最もテンポ戦略にフォーカスしたスタイルはマッチアップに関係なく圧倒的に勝利することも可能にすることから、根強い人気のあるアーキタイプです。
☆注目ポイント
「探査」クリーチャーや3マナ域のクリーチャーを採用することにより、《相殺》や《虚空の杯》に耐性が付いています。これらのクリーチャーは単体でも十分な強さです。
《呪文嵌め》は《相殺》や《虚空の杯》「X=1」、《タルモゴイフ》《石鍛冶の神秘家》など環境には対象が多く存在し、それらのカードはこのデッキにとって脅威となるので納得の採用です。
サイドの 《発展の代価》はLands、Eldrazi、Shardlesといった特殊地形に頼ったデッキに対して刺さるので、不利な状況でも逆転するチャンスが生まれます。
総括
【アメリカ】と【ヨーロッパ】、2つのグランプリにおける2日目進出デッキ分布によると、青いデッキが圧倒的に高い進出率で、コントロール(Miracles)、ミッドレンジ(Shardless)、Grixis Delver(アグロ)の3つのタイプの《渦まく知識》デッキの後に、EldraziやDeath and Taxes、そしてANTといったコンボが続いています。
人気が出ることが予想されていたEldraziはMiraclesのサイドのアンチ特殊地形や《Moat》、Eldraziに強い要素を多く搭載したShardlessやDeath and Taxesといった対策が厳しく勝ちきれなかったようです。
来月に開催される予定のSCGO Worcesterでは、安定して上位入賞を続けるMiraclesやDelver系が勝ち続けるのか、それともEldraziがカムバックを果たすのでしょうか?
以上USA Legacy Express vol.106でした。
それではUSA Legacy Express vol.107でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!
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