皆さんこんにちは。
『コンスピラシー』の続編である『コンスピラシー:王位争奪』が先週末にリリースされました。
《護衛募集員》や《聖域の僧院長》といったレガシーでも使えそうなカードも収録されており、《実物提示教育》など『エターナルマスターズ』で再録が見送られたレガシーの定番カードも数種類見られます。
さて、今回の連載では【SCG Classics New Jersey】の入賞デッキを見ていきたいと思います。
SCG Classics New Jersey
~エルドラージが多数入賞~
2016年8月19-21日
※画像は【StarCityGames.com】より引用させていただきました。 |
1位 ANT
2位 Manaless Dredge
3位 Lands
4位 Eldrazi
5位 Temur Delver
6位 Eldrazi
7位 Miracles
8位 Eldrazi
トップ8のデッキリストは【こちら】
Invitationalとの併催イベントだけあって250人以上の参加者を出したSCG Classics New Jersey。
レガシーのエキスパートであるJoe LossettやSCG Invitationalの【プレイヤーインタビュー】でも紹介されていたベテランプレイヤー・Tannon Grace、【グランプリ・シアトル・タコマ2015】で優勝を果たしたJarvis Yuなど、強豪プレイヤーも参戦していました。
強豪プレイヤーが集うInvitationalとの併催イベントは勝率の安定したMiraclesやDelver系など、青いフェアデッキが上位に多数勝ち残る傾向がありますが、今大会では青いデッキは5位入賞のTemur Delverと7位入賞のMiraclesのみと控えめで、アメリカの大きな大会では最近目立った活躍をしていなかったEldraziがトップ8に3名と復権の兆しを見せていました。
SCG Classics New Jersey デッキ紹介
「Manaless Dredge」「Lands」「Eldrazi」
-土地 (0)- 4 《ナルコメーバ》 4 《冥界の影》 3 《ゴルガリの凶漢》 4 《秘蔵の縫合体》 4 《臭い草のインプ》 3 《よろめく殻》 4 《欄干のスパイ》 4 《イチョリッド》 1 《炎の血族の盲信者》 4 《ゴルガリの墓トロール》 4 《通りの悪霊》 1 《憎悪縛りの剥ぎ取り》 4 《変幻影魔》 -クリーチャー (44)- |
4 《陰謀団式療法》 4 《ギタクシア派の調査》 4 《戦慄の復活》 4 《黄泉からの橋》 -呪文 (16)- |
4 《不快な群れ》 4 《Contagion》 4 《精神壊しの罠》 3 《別館の大長》 -サイドボード (15)- |
マナ基盤を一切使用しないためManaless Dredgeと呼ばれているDredgeのバリエーション。その性質上、能動的に墓地を肥やすためにはクリンナップ・ステップに「発掘」カードを捨てるところからスタートする必要があり、このデッキを使う際は手札を8枚からスタートさせるために後手を選択します。
☆注目ポイント
0マナのドローである《ギタクシア派の調査》と《通りの悪霊》はこのデッキの爆発力向上に貢献し、特に相手の手札を確認できる《ギタクシア派の調査》は《陰謀団式療法》で相手のプランをより確実に妨害することを可能にします。
《変幻影魔》は多数の「発掘」カードを捨てることにより能動的に墓地を肥やす手段になり、墓地のカードを追放するのにマナが必要な《漁る軟泥》や《死儀礼のシャーマン》といったカードをある程度までなら対策することもできます。
サイドは妨害スペルでまとめられており、デッキの構成上《精神壊しの罠》や《不快な群れ》といったマナを支払わずに使えるカードが採用されています。
《別館の大長》は相手の初動を遅れさせつつゲームを進めることを可能にします。最序盤の1ターンの差は《陰謀団式療法》で対戦相手の墓地対策を落とせるか否かに関わってくるため、非常に重要な役割を担っています。
1 《森》 2 《Taiga》 1 《新緑の地下墓地》 1 《吹きさらしの荒野》 1 《樹木茂る山麓》 4 《燃え柳の木立ち》 2 《平穏な茂み》 1 《ボジューカの沼》 1 《カラカス》 4 《リシャーダの港》 4 《演劇の舞台》 4 《不毛の大地》 1 《裂け岩の扉》 3 《暗黒の深部》 3 《イス卿の迷路》 1 《Glacial Chasm》 1 《The Tabernacle at Pendrell Vale》 -土地 (35)- -クリーチャー (0)- |
4 《輪作》 4 《ギャンブル》 4 《壌土からの生命》 4 《罰する火》 4 《踏査》 1 《マナ結合》 4 《モックス・ダイアモンド》 -呪文 (25)- |
4 《抵抗の宝球》 3 《クローサの掌握》 3 《虚空の杯》 2 《不屈の追跡者》 1 《すべてを護るもの、母聖樹》 1 《暗黒の深部》 1 《世界を壊すもの》 -サイドボード (15)- |
1 《森》 2 《Taiga》 2 《Tropical Island》 1 《霧深い雨林》 1 《吹きさらしの荒野》 1 《樹木茂る山麓》 3 《燃え柳の木立ち》 2 《トレイリア西部》 1 《ボジューカの沼》 4 《リシャーダの港》 4 《不毛の大地》 3 《演劇の舞台》 1 《アカデミーの廃墟》 3 《イス卿の迷路》 2 《暗黒の深部》 1 《Glacial Chasm》 1 《The Tabernacle at Pendrell Vale》 -土地 (33)- -クリーチャー (0)- |
4 《輪作》 2 《ギャンブル》 4 《壌土からの生命》 3 《罰する火》 2 《直観》 4 《踏査》 4 《モックス・ダイアモンド》 3 《仕組まれた爆薬》 1 《Zuran Orb》 -呪文 (27)- |
4 《クローサの掌握》 4 《抵抗の宝球》 3 《不屈の追跡者》 3 《虚空の杯》 1 《カラカス》 -サイドボード (15)- |
対処されがたい土地カードを軸にして《暗黒の深部》と《演劇の舞台》のコンボによる勝ち手段と、《壌土からの生命》と《罰する火》エンジンで相手の生物を制限するプリズンデッキ的な要素を持ち合わせたデッキです。
その性質上Death and TaxesやEldraziなどのクリーチャーデッキに対して無類の強さを発揮し、土地というカウンターで対処できないカードを軸にした戦略なので青いデッキに対しても相性の良い戦略となります。クリーチャーコントロールや土地破壊の影響が薄い一方で、このデッキよりも速いANTやBelcherといったコンボデッキとの相性は悪くなります。
☆注目ポイント
Matthew Dilksのリストは《不屈の追跡者》と《世界を壊すもの》が追加の勝ち手段としてサイドに採用されています。
《不屈の追跡者》は墓地に依存せずにカードアドバンテージを稼ぐことを可能にし、相手も単体除去をサイドアウトしていることが多いので生き残る可能性も高めです。置物に対する回答を探しつつ《不屈の追跡者》自身が次第に脅威となります。《世界を壊すもの》はコストこそ重いもののキャストするだけで置物や土地を割れるので、Miraclesなどのマッチアップで重宝します。どちらのカードも《安らかなる眠り》や《血染めの月》といったヘイトカードに対する対抗策となります。
Philippe Legerのリストは《直観》や《アカデミーの廃墟》、《トレイリア西部》のために青をタッチしたバージョンで、《仕組まれた爆薬》を《アカデミーの廃墟》で使い回すことも可能です。メインから《相殺》に対処ができるようになっている分、Miraclesに強くなっています。
《直観》は《壌土からの生命》とコンボパーツの《暗黒の深部》と《演劇の舞台》や《罰する火》+《壌土からの生命》+《燃え柳の木立ち》、《仕組まれた爆薬》+《アカデミーの廃墟》+《壌土からの生命》といったコンボカードを一度にサーチしてこれるため、フレキシブルなサーチスペルとして機能します。これこそが青をタッチしたバージョンのアドバンテージのひとつです。勿論マナ加速としてキーとなる《踏査》や、サイド後は置物対策の《クローサの掌握》などを3枚サーチすることによってそれらのカードを確実に手に入れる《Demonic Tutor》のような使い方も可能です。
《Zuran Orb》はアグロデッキに対して《仕組まれた爆薬》+ 《アカデミーの廃墟》のロックが決まるまでに時間を稼ぎ、BurnやDelver系の《発展の代価》対策にもなります。
2 《荒地》 4 《魂の洞窟》 4 《古えの墳墓》 4 《裏切り者の都》 4 《エルドラージの寺院》 4 《不毛の大地》 3 《ウギンの目》 -土地 (25)- 4 《果てしなきもの》 4 《エルドラージのミミック》 4 《作り変えるもの》 4 《難題の予見者》 4 《現実を砕くもの》 1 《終末を招くもの》 -クリーチャー (21)- |
3 《四肢切断》 3 《歪める嘆き》 4 《虚空の杯》 2 《アメジストのとげ》 2 《梅澤の十手》 -呪文 (14)- |
4 《虚空の力線》 3 《次元の歪曲》 2 《終末を招くもの》 2 《真髄の針》 2 《アメジストのとげ》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 1 《四肢切断》 -サイドボード (15)- |
今大会では3名のトップ8入賞者を輩出するなど復権の兆しを見せたEldrazi。《古えの墳墓》や《裏切り者の都》といった2マナランドから1ターン目に《虚空の杯》をX=1で設置することで多くの戦略をスローダウンさせ、その隙にエルドラージクリーチャーでクロックをかけるプリズンアグロデッキです。現環境のベストデッキの一つであるMiraclesにも強いデッキです。
☆注目ポイント
マナ加速の《猿人の指導霊》が不採用になっており、プリズンパーツの《アメジストのとげ》の枚数が抑えられています。その分《四肢切断》や《歪める嘆き》がメインから多数採用されているなど、爆発力よりも汎用性を優先しています。
《血染めの月》に抵抗するため、基本地形である《荒地》が2枚採用されています。
メインとサイドで合計3枚採用されている《終末を招くもの》は《ウギンの目》や2マナランドを多数積んだこのデッキにとっても重めのコストですが、ティム能力は《若き紅蓮術士》《悪意の大梟》《スレイベンの守護者、サリア》などの厄介な小型クリーチャーを除去し、《罠の橋》や《Moat》対策にもなります。
攻撃参加を抑止する起動型能力もSneak and Showのファッテイを止めたりと活躍の機会が多く、ドローの起動型能力も使えるのでMiraclesなどの遅いデッキとのマッチアップにも強いクリーチャーです。
このデッキが苦手とするLandsに対抗する手段として、墓地対策の《虚空の力線》や各種土地の起動型能力を止める《真髄の針》といったカードにサイドのスペースの多くが割かれています。追加の《四肢切断》に加え《次元の歪曲》も採られているなど、Death and Taxesのようなクリーチャーデッキとのマッチアップにも備えています。
■ ボーナストピック: 『コンスピラシー:王位争奪』カードレビュー
レガシーの強豪プレイヤーにインタビューを行う動画コンテンツ、【MTG Training Grounds Legacy’s Allure】の制作者で、自身もレガシーオープンで入賞経験のある強豪プレイヤー・Zachary Kochに『コンスピラシー:王位争奪』に収録されている中からレガシーでも使われそうなカードについてお話を聞くことが出できました。
――ボーナストピックに協力してくれてありがとう。『コンスピラシー:王位争奪』が発売されて《護衛募集員》や《聖域の僧院長》のように使われそうなカードが見られるけどどう思う?
Zachary: 《護衛募集員》と《聖域の僧院長》はDeath and Taxesに採用されそうだね。《護衛募集員》は良さそうだけど、あまり入れすぎるとデッキが少し遅くなりそうだからそこは気を付けたほうがよさそうだね。《聖域の僧院長》は多分メインとサイドに一枚ずつ入りそう。確かに書いてあることは強いけど対戦相手を選ぶかな。
――《護衛募集員》はDeath and Taxesに採用するとしたら何枚ぐらいが適正だと思う?
Zachary: 多分2枚かな。白単色のDeath and Taxesは《月の大魔術師》のような決定的なカードがないから4積みにする価値は下がるかもしれないね。他には《トレストの使者、レオヴォルド》がShardless Sultaiで使われそうだね。
――相手にとってはほぼマスト除去で、除去されてもカードが引ける分アドバンテージになるから試してみる価値はありそうだね。インタビューに答えてくれてありがとう!
『コンスピラシー:王位争奪』の新カードである《護衛募集員》と《聖域の僧院長》はDeath and Taxesの新戦力として期待できそうです。3マナ域が渋滞気味ですが、今後どのように調整されていくのでしょうか。
■ 総括
先週末は【グランプリ・インディアナポリス2016】のためSCG Tourはお休みで、残念ながら『コンスピラシー:王位争奪』の加入したレガシーの結果を見ることが叶いませんでしたが、《護衛募集員》と《聖域の僧院長》という新戦力を獲得した【Death and Taxes】が晴れる屋レガシー杯で入賞を果たしていることからも期待できそうです。
以上、USA Legacy Express vol.111でした。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!
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