皆さんこんにちは。
この2週間は【GPT千葉】や【第7期レガシー神挑戦者決定戦】などレガシーのイベントが充実していましたね。
気になる禁止改定は今回もノーチェンジでした。直近でGP規模の大きなレガシーの大会もなく、SCG Classicsなどの結果から考えても予想通りの結果と言えるでしょう。
さて、今回の連載では【SCG Classics Orlando】、【GPT千葉】、【第7期レガシー神挑戦者決定戦】の入賞デッキをご紹介していきたいと思います。
SCG Classics Orlando トップ8
~アグロデッキが多数入賞。Maverickが久々の栄冠~
2016年9月17-18日
※画像は【StarCityGames.com】より引用させていただきました。 |
1位 Maverick
2位 Eldrazi
3位 Eldrazi
4位 Miracles
5位 Mono Red Sneak Attack
6位 Grixis Delver
7位 Affinity
8位 ANT
トップ8のデッキリストは【こちら】
MiraclesやDelverのようにコントロールやアグロコントロール、コンボが多いレガシーですが、今大会ではEldraziやMaverickといったクリーチャーデッキが多数、上位で見られました。特にMaverickは、時々上位で見かけることはありましたが優勝は暫くぶりです。定番のMiracles、Grixis Delver、ANTも入賞を収めており、SCG Classicsらしく混沌としたメタのようです。
SCG Classics Orlando デッキ紹介
「Maverick」「Affinity」
2 《森》 1 《平地》 1 《沼》 1 《Bayou》 1 《Savannah》 1 《Scrubland》 1 《ドライアドの東屋》 4 《吹きさらしの荒野》 3 《新緑の地下墓地》 1 《湿地の干潟》 1 《地平線の梢》 1 《カラカス》 1 《ガイアの揺籃の地》 4 《不毛の大地》 -土地 (23)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《ルーンの母》 1 《貴族の教主》 4 《スレイベンの守護者、サリア》 2 《石鍛冶の神秘家》 2 《クァーサルの群れ魔道士》 1 《漁る軟泥》 1 《ガドック・ティーグ》 4 《聖遺の騎士》 3 《異端聖戦士、サリア》 -クリーチャー (26)- |
4 《剣を鍬に》 4 《緑の太陽の頂点》 1 《森の知恵》 1 《梅澤の十手》 1 《火と氷の剣》 -呪文 (11)- |
3 《思考囲い》 2 《エーテル宣誓会の法学者》 2 《突然の衰微》 2 《盲信的迫害》 2 《窒息》 1 《ガドック・ティーグ》 1 《再利用の賢者》 1 《毒の濁流》 1 《情け知らずのガラク》 -サイドボード (15)- |
久々に優勝を飾ったMaverick。Abzanカラーのミッドレンジデッキで、Death and Taxesと同様に《スレイベンの守護者、サリア》などのヘイトベアーで相手の行動を縛りつつクロックをかける戦略をとっています。《緑の太陽の頂点》がある分だけ対応力が増しており、フィニッシャーの《聖遺の騎士》や、コントロールやコンボのキーとなる多くのスペルをシャットアウトする《ガドック・ティーグ》にアクセスできるところも強みです。
☆注目ポイント
《異端聖戦士、サリア》は特殊地形に頼った多くのデッキにとって脅威となります。Miraclesを初めとした青いデッキに対してはサイドの《窒息》との組み合わせが強力です。またクリーチャーがタップ状態で出るため、《遺産のドルイド》や《樺の知識のレインジャー》の起動能力で一気に展開することが難しくなるので、Elvesとのマッチアップでも有効なクリーチャーとなります。
装備品のチョイスは通常、環境の代表的な除去スペルの《剣を鍬に》からクリーチャーを守れる上にクリーチャーを回収しつつライフゲインしてダメージレースでも優位に立てる《光と影の剣》が採用されていることが多いですが、Joshは《火と氷の剣》を選択しています。《真の名の宿敵》や《若き紅蓮術士》のエレメンタルトークンによって止まらず、追加のダメージによってクロックを上昇させることが可能で、カードドローでアドバンテージも得られます。
サイドの《盲信的迫害》と 《毒の濁流》はこのデッキが苦手とするマッチアップのElvesや《真の名の宿敵》対策で、クリーチャーデッキに《毒の濁流》というのは違和感があるかもしれませんが、マイナス修正の調節が可能なので自軍のクリーチャーを巻き込むことも少なくなります。
2 《空僻地》 4 《教議会の座席》 3 《囁きの大霊堂》 4 《ダークスティールの城塞》 2 《古えの墳墓》 -土地 (15)- 4 《羽ばたき飛行機械》 2 《メムナイト》 4 《信号の邪魔者》 4 《大霊堂のスカージ》 4 《電結の荒廃者》 2 《エーテル宣誓会の法学者》 4 《刻まれた勇者》 3 《エーテリウムの達人》 -クリーチャー (27)- |
4 《物読み》 4 《オパールのモックス》 4 《バネ葉の太鼓》 4 《頭蓋囲い》 2 《ボーラスの工作員、テゼレット》 -呪文 (18)- |
2 《呪文貫き》 2 《思考囲い》 2 《古えの遺恨》 2 《血染めの月》 2 《虚空の力線》 2 《真髄の針》 1 《鞭打ち炎》 1 《墓掘りの檻》 1 《ボーラスの工作員、テゼレット》 -サイドボード (15)- |
モダンでもお馴染みのAffinityのレガシー版。モダンでは禁止カードに指定されている《教議会の座席》をはじめとした色マナの出るアーティファクト・土地が使える分、爆発力が増しています。Affinity本来の戦略である横並べのビートダウン以外にも、《ボーラスの工作員、テゼレット》がフィニッシャーとして採用されており、ロングゲームにも強くフェアデッキに対して強い構成です。
☆注目ポイント
強力なフィニッシャーである《ボーラスの工作員、テゼレット》を可能な限り速く展開するために《古えの墳墓》が採用されています。《オパールのモックス》や《バネ葉の太鼓》などのマナ加速を利用することで、うまく回れば2ターン目《ボーラスの工作員、テゼレット》プレイから「+1」能力起動、そして3ターン目には「-4」能力起動という展開も可能で、たとえ除去されたとしても相手もターンを費やしており「+1」能力でアドバンテージが取れています。
除去耐性の高い《刻まれた勇者》はレガシーでも強力で、単体除去が中心なので除去されにくく、主な対処法はMiraclesの《終末》や黒系のミッドレンジに採用されている《毒の濁流》、《ヴェールのリリアナ》ぐらいです。
特殊地形が多数採用されているのにもかかわらずサイドには《血染めの月》が採られています。Affinityの側は《オパールのモックス》や《バネ葉の太鼓》を駆使することで色マナを確保することが可能で、Landsなどのデッキに対しては相手の方が被害が大きくなることが多いので、運用は難しそうですが試してみる価値はありそうです。また、覚えておきたいことの一つとして「カードタイプは失わない」ので、《血染めの月》の影響下においてもアーティファクト・土地はアーティファクトとしてカウントされます。
GPT千葉
~青いデッキが多数入賞。決勝戦は強豪同士のマッチアップ~
2016年9月17日
1位 Grixis Delver
2位 Miracles
3位 Jeskai Delver
4位 ANT
5位 Deathblade
6位 Miracles
7位 Miracles
8位 Infect
トップ8のデッキリストは【こちら】
青いデッキが多数入賞を収める中、決勝戦はGrixis Delver対Miraclesと、現在のレガシーのトップメタ対決となったGPT 千葉。プレイヤーもDelverのエキスパートの土屋選手やレガシー神の川北選手といった強豪プレイヤーが見られ、レベルの高い大会であったことが窺えます。
GPT千葉 デッキ紹介
「Jeskai Delver」
4 《Tundra》 4 《Volcanic Island》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《汚染された三角州》 1 《乾燥台地》 3 《不毛の大地》 -土地 (20)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《石鍛冶の神秘家》 2 《瞬唱の魔道士》 3 《真の名の宿敵》 -クリーチャー (13)- |
4 《渦まく知識》 4 《稲妻》 4 《思案》 3 《呪文貫き》 3 《剣を鍬に》 3 《目くらまし》 4 《意志の力》 1 《火と氷の剣》 1 《殴打頭蓋》 -呪文 (27)- |
2 《ヴェンディリオン三人衆》 2 《狼狽の嵐》 2 《紅蓮破》 2 《安らかなる眠り》 1 《エーテル宣誓会の法学者》 1 《硫黄の精霊》 1 《赤霊破》 1 《対抗呪文》 1 《摩耗+損耗》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《梅澤の十手》 -サイドボード (15)- |
最近のレガシーではJeskaiカラーのフェアデッキといえばMiraclesですが、《真の名の宿敵》がリリースされた2013年の冬ごろからしばらくは、その除去耐性と回避能力の高さ、そして装備品との相性も良かったことから《石鍛冶の神秘家》を使ったDelverのバリエーションであるJeskai Delverが人気でした。赤と白の効率的な除去に恵まれ、装備品の恩恵でロングゲーム強く、安定したデッキです。今年殿堂入りを果たしたアメリカのプロOwen TurtenwaldがGP Washington DC2013使用し見事に優勝を収めたという実績があります。
☆注目ポイント
Temur Delverなどと比べるとクロックのスピードは劣りますが、反面《石鍛冶の神秘家》と《瞬唱の魔道士》という2種類のカードアドバンテージ獲得手段によりロングゲームに強いのが特徴です。《剣を鍬に》と《稲妻》いう2種類の効率的な除去が使えるので、Death and TaxesやElvesといった他のDelver系が苦戦するデッキに強くなりますが、それらの除去の効果が薄いコンボやMiraclesには、クロックが遅い分不利が付きます。
『コンスピラシー:王位争奪』によって強化されたDeath and Taxesを意識していたのか、サイドには《硫黄の精霊》も見られます。
第7期レガシー神挑戦者決定戦
~Omni-tellを操る平木選手がレガシー神への挑戦権を獲得~
2016年9月19日
1位 Omni-tell
2位 Eldrazi
3位 Omni-tell
4位 Maverick
5位 UR Delver
6位 Merfolk
7位 Shrdless BUG
8位 Death and Taxes
トップ8のデッキリストは【こちら】
レガシーの大規模な大会では珍しく、プレイオフにMiraclesが不在でした。『コンスピラシー:王位争奪』から新戦力を獲得したDeath and Taxesや比較的最近のセットに収録されていたカードの恩恵を受けたOmni-tellとUR Delver、SCG Classicsでも優勝を収めるなど復権の兆しを見せているMaverickなど、様々なアーキタイプが見られます。
第7期レガシー神挑戦者決定戦 デッキ紹介
「Omni-tell」「UR Delver」
4 《島》 2 《Volcanic Island》 1 《Tropical Island》 4 《汚染された三角州》 4 《溢れかえる岸辺》 2 《古えの墳墓》 2 《裏切り者の都》 1 《すべてを護るもの、母聖樹》 -土地 (20)- 2 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー (2)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《定業》 4 《呪文貫き》 2 《ギタクシア派の調査》 4 《パズルの欠片》 3 《狡猾な願い》 1 《直観》 4 《実物提示教育》 4 《意志の力》 4 《全知》 -呪文 (38)- |
2 《赤霊破》 2 《防御の光網》 1 《すべてを護るもの、母聖樹》 1 《もみ消し》 1 《外科的摘出》 1 《有毒の蘇生》 1 《狼狽の嵐》 1 《クローサの掌握》 1 《エラダムリーの呼び声》 1 《古えの遺恨》 1 《突然のショック》 1 《紅蓮地獄》 1 《コジレックの帰還》 -サイドボード (15)- |
《実物提示教育》から《全知》を出し《引き裂かれし永劫、エムラクール》をキャストして勝利するコンボデッキ。《狡猾な願い》から状況に合わせて様々なインスタントスペルをサーチしてこれるため、対応力があります。《赤霊破》や除去のために赤を、置物対策の《クローサの掌握》や《古えの遺恨》のフラッシュバックコストのために緑を足しており、Death and Taxesなどのヘイトベアーを多数採用したデッキに対しても耐性があります。
☆注目ポイント
禁止された《時を越えた探索》に代わるドロースペルとして《パズルの欠片》が採用されています。デッキの半分以上がインスタントかソーサリーのこのデッキでは大抵スペル2枚を手札に加えることが可能で、《実物提示教育》や《狡猾な願い》といったキーカードやコンボをバックアップするカウンターも手に入りやすくなります。流石に《時を越えた探索》程のパワーはありませんが、手札破壊などで妨害されてもリカバーが可能で安定感があります。
《スレイベンの守護者、サリア》をはじめとした妨害要素を持つクロックを多数展開してくるDeath and Taxesがポピュラーな環境なので、《紅蓮地獄》などの除去は必須です。
Eldraziなどのデッキがメインから採用し一マナのキャントリップスペルをシャットアウトする《虚空の杯》に対処するために、《クローサの掌握》や《古えの遺恨》もサイドに採られています。《古えの遺恨》はフラッシュバックスペルなので《パズルの欠片》とのシナジーもあります。
赤と緑を足したことにより《すべてを護るもの、母聖樹》、2マナランドの他にも《Volcanic Island》と《Tropical Island》などデッキ内の特殊地形が多くなり、特殊地形対策に強いという青単色の本来のアドバンテージが薄くなりましたが、その分ヘイトベアーや置物に触りやすく、コンボが決めやすくなっています。
2 《島》 2 《山》 3 《Volcanic Island》 4 《沸騰する小湖》 3 《溢れかえる岸辺》 2 《血染めのぬかるみ》 -土地 (16)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《僧院の速槍》 3 《嵐追いの魔道士》 2 《騒乱の歓楽者》 -クリーチャー (13)- |
4 《ギタクシア派の調査》 4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《稲妻の連鎖》 4 《稲妻》 1 《定業》 4 《目くらまし》 2 《発展の代価》 4 《意志の力》 -呪文 (31)- |
2 《外科的摘出》 2 《紅蓮破》 2 《粉々》 2 《血染めの月》 1 《渋面の溶岩使い》 1 《硫黄の精霊》 1 《狼狽の嵐》 1 《呪文貫き》 1 《四肢切断》 1 《硫黄の渦》 1 《無のロッド》 -サイドボード (15)- |
『異界月』から加入した《騒乱の歓楽者》入りのUR Delver。《発展の代価》や 《稲妻の連鎖》など、火力を多めに積んだバーン寄りのスタイルで、《若き紅蓮術士》よりも《嵐追いの魔道士》が優先されていることからも、速度を重視した構成であることが分かります。
☆注目ポイント
《騒乱の歓楽者》はカウントされる墓地のスペルはインスタントとソーサリーのみですが、デッキ内のソーサリー、インスタントの枚数が多いこのデッキではコストの軽減もしやすく、最大で「2マナ3/4果敢+ドロー3」という驚異のコストパフォーマンスとなり、あの《宝船の巡航》を彷彿とさせます。「探査」と異なり墓地のカードを追放させる必要がないので、2枚目も展開しやすいのが強みです。このタイプのデッキの弱点である中盤以降の息切れ防止になり、果敢も生かしやすくなっています。
サイドには《硫黄の精霊》が忍ばせてあり、人気のDeath and Taxesや《僧院の導師》対策もしっかりしています。
■ 総括
『コンスピラシー:王位争奪』からの新戦力によって強化されたDeath and Taxesは神挑戦者決定戦でも人気のあるアーキタイプだったようで、プレイオフにも勝ち残るなど前評判通りの強さを見せました。対策として《硫黄の精霊》をサイドに忍ばせたデッキも多く見られました。惜しくもプレイオフ進出は逃しましたが、《トレストの使者、レオヴォルド》を採用したSultai系のデッキも【トップ16】で見られました。
今週末には新セットの『カラデシュ』がリリースされます。全体的にカードパワーが調整されており現時点では環境に大きな影響を与えそうなカードは見られないものの、JundやDragon Stompy、Painterなどに入りそうな《反逆の先導者、チャンドラ》、無色スペルをわずか一マナでカウンターする《儀礼的拒否》、Infectの新戦力として期待できそうな《顕在的防御》などが見られます。今後の環境で活躍できるのか要注目です。
以上USA Legacy Express vol.113でした。
それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!
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