みなさんこんにちは。
先週末は【The Last Sun 2016 予選(レガシー)】や【BIG MAGIC Sunday Legacy】が開催されるなど、レガシー的にも充実した週末でしたね。
さて、今回の連載では【SCG Classics Baltimore】に【The Last Sun 2016予選(レガシー)】、そして【BIG MAGIC Sunday Legacy】の入賞デッキを見ていきたいと思います。
SCG Classics Baltimore
~Grixis Delverが安定の優勝。Stonebladeも久々の入賞~
2016年7月30-31日
※画像は【StarCityGames.com】より引用させていただきました。 |
1位 Grixis Delver
2位 Bant Deathblade
3位 ANT
4位 Death and Taxes
5位 Death and Taxes
6位 Sultai Delver
7位 Esper Stoneblade
8位 Miracles
トップ8のデッキリストは【こちら】
SCGO Baltimoreと併催して開催された【SCG Classics Baltimore】のプレイオフは、3位入賞のANTを除いてフェアデッキで占められていました。
優勝は安定した成績を残し続けているGrixis Delverでしたが、準優勝を収めたBant Deathbladeや7位入賞のEsper Stonebladeといった青い《石鍛冶の神秘家》デッキが久々に入賞を収めています。Death and Taxesも含めるとプレイオフの半数が《石鍛冶の神秘家》デッキになります。
SCG Classics Baltimore デッキ紹介
「Grixis Delver」「Bant Deathblade」「Esper Stoneblade」「Death and Taxes」
3 《Underground Sea》 2 《Volcanic Island》 1 《Tropical Island》 3 《溢れかえる岸辺》 3 《汚染された三角州》 2 《沸騰する小湖》 4 《不毛の大地》 -土地 (18)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《秘密を掘り下げる者》 2 《瞬唱の魔道士》 4 《グルマグのアンコウ》 -クリーチャー (14)- |
4 《渦まく知識》 4 《稲妻》 4 《思考掃き》 4 《思案》 3 《呪文貫き》 1 《四肢切断》 4 《目くらまし》 4 《意志の力》 -呪文 (28)- |
3 《外科的摘出》 2 《狼狽の嵐》 2 《二股の稲妻》 2 《思考囲い》 2 《突然の衰微》 2 《苦い真理》 2 《真髄の針》 -サイドボード (15)- |
【SCGO Worcester】でも【特徴的なレシピ】で結果を残していたBen Friedmanは、今大会ではアップデート版の4C Delverで見事に優勝を飾りました。
他のレシピよりもロングゲームを意識した構成で、Miraclesなどのコントロール相手にも互角以上のゲームができるように調整されているようです。
☆注目ポイント
Benのリストで最も特徴的な点は《瞬唱の魔道士》が採用されていることです。マナはかかるものの除去や妨害スペルの水増しにもなり、他のDelver系よりも中盤以降のゲームでアドバンテージを稼ぎやすくします。
《苦い真理》がサイドに採られていることからも、他のDelverデッキよりもロングゲームにフォーカスしていることが分かります。
メインからフル搭載されている《グルマグのアンコウ》を可能な限り早期に戦場に出すことを重視しており、墓地を肥やすために《思考掃き》も4枚採用されています。レガシーではあまり見かけないスペルですが《瞬唱の魔道士》や《死儀礼のシャーマン》とも相性がいいドロースペルです。
SCGOと異なりMiraclesよりも他のデッキと多く当たることを想定していたのか、《突然の衰微》はサイドに落とされています。メインから4色にするのはマナベースに負担がかかるため、メインは3色のほうが安定します。
1 《森》 1 《Scrubland》 3 《Tropical Island》 2 《Tundra》 1 《Underground Sea》 4 《霧深い雨林》 2 《溢れかえる岸辺》 2 《吹きさらしの荒野》 4 《不毛の大地》 -土地 (20)- 4 《貴族の教主》 3 《死儀礼のシャーマン》 4 《石鍛冶の神秘家》 4 《真の名の宿敵》 2 《ヴェンディリオン三人衆》 -クリーチャー (17)- |
4 《渦まく知識》 4 《剣を鍬に》 1 《思案》 4 《目くらまし》 4 《意志の力》 1 《森の知恵》 1 《梅澤の十手》 1 《火と氷の剣》 1 《殴打頭蓋》 2 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文 (23)- |
2 《翻弄する魔道士》 2 《流刑への道》 2 《外科的摘出》 1 《エーテル宣誓会の法学者》 1 《狼狽の嵐》 1 《侵襲手術》 1 《盲信的迫害》 1 《クローサの掌握》 1 《突然の衰微》 1 《安らかなる眠り》 1 《遍歴の騎士、エルズペス》 1 《情け知らずのガラク》 -サイドボード (15)- |
2 《島》 1 《平地》 1 《沼》 2 《Tundra》 1 《Bayou》 1 《Scrubland》 1 《Underground Sea》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《汚染された三角州》 1 《湿地の干潟》 1 《霧深い雨林》 1 《繁殖池》 2 《不毛の大地》 -土地 (22)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《石鍛冶の神秘家》 3 《悪意の大梟》 3 《真の名の宿敵》 -クリーチャー (14)- |
4 《渦まく知識》 4 《思考囲い》 3 《剣を鍬に》 2 《突然の衰微》 3 《未練ある魂》 1 《議会の採決》 4 《意志の力》 1 《梅澤の十手》 1 《殴打頭蓋》 1 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文 (24)- |
2 《封じ込める僧侶》 2 《狼狽の嵐》 2 《真髄の針》 1 《剣を鍬に》 1 《突然の衰微》 1 《議会の採決》 1 《至高の評決》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《墓掘りの檻》 1 《火と氷の剣》 1 《石術師、ナヒリ》 1 《精神を刻む者、ジェイス》 -サイドボード (15)- |
今大会では《石鍛冶の神秘家》を使ったデッキの活躍が目立ちました。今大会で準優勝という好成績を残したDavid Coursonと7位入賞のMichael Solが使用したデッキは《死儀礼のシャーマン》を活用したDeathbladeと呼ばれているデッキです。
☆注目ポイント
David CoursonのリストはBantカラーのDeathbladeで、追加のマナ加速である《貴族の教主》を利用することで《真の名の宿敵》や《精神を刻む者、ジェイス》といった脅威を他のデッキよりも早いターンから展開するテンポ寄りの戦略です。
《目くらまし》や《不毛の大地》が採用されていることからも、マナ加速から脅威を展開しつつ土地破壊やソフトカウンターでバックアップしていくというのが主な戦略のようです。
サイドは追加のプレインズウォーカーの《遍歴の騎士、エルズペス》と《情け知らずのガラク》、《終末》などのスイーパースペルを禁止する《翻弄する魔道士》やソーサリースペルをカウンターする《侵襲手術》など、環境トップメタのMiraclesを意識しています。追加の除去である《流刑への道》でEldrazi対策もしっかりとしています。
今大会7位入賞のMichael SolのリストはEsperカラーで《未練ある魂》や《悪意の大梟》といったカードアドバンテージを得られるカードを多数採用しているなど、David Coursonのリストよりもコントロール寄りです。特に《悪意の大梟》と《梅澤の十手》の組み合わせはクリーチャーデッキにとって脅威となります。
サイドにはDavid Coursonと同様に追加のプレインズウォーカーである《精神を刻む者、ジェイス》や《石術師、ナヒリ》、《師範の占い独楽》を止める《真髄の針》など、やはり環境トップメタのMiracles対策が多数見られます。追加の除去の《議会の採決》やスイーパーの《至高の評決》といったクリーチャーデッキ、特にEldraziへの対策もしっかりされています。
10 《平地》 1 《魂の洞窟》 1 《地平線の梢》 3 《カラカス》 4 《リシャーダの港》 4 《不毛の大地》 -土地 (23)- 4 《ルーンの母》 4 《スレイベンの守護者、サリア》 3 《ファイレクシアの破棄者》 2 《セラの報復者》 4 《ちらつき鬼火》 4 《石鍛冶の神秘家》 3 《異端聖戦士、サリア》 2 《ミラディンの十字軍》 -クリーチャー (26)- |
4 《剣を鍬に》 4 《霊気の薬瓶》 1 《梅澤の十手》 1 《火と氷の剣》 1 《殴打頭蓋》 -呪文 (11)- |
3 《エーテル宣誓会の法学者》 3 《安らかなる眠り》 2 《流刑への道》 2 《真髄の針》 2 《議会の採決》 2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 1 《封じ込める僧侶》 -サイドボード (15)- |
最近上位で見られる《石鍛冶の神秘家》デッキのDeath and Taxesも、今大会で2名の入賞者を輩出するなど安定した強さを見せます。白単色ながら各種ヘイトベアーのおかげでコンボデッキに対しても悪くない相性で、非青デッキの中でも特に上位入賞率の高いアーキタイプのひとつです。
☆注目ポイント
期待の新カードである《異端聖戦士、サリア》が早速採用されています。環境に多数存在するフェアデッキ、特に特殊地形を多用するSultaiやGrixisとのマッチアップで強さを発揮します。
《タルモゴイフ》等はブロッカーとして機能し難くなり《騙し討ち》対策にもなります。展開が遅れるため相手にとってはマスト除去となり、他のクリーチャーが生き残りやすくなります。ミラーマッチでは《カラカス》でバウンスされてしまうので、《スレイベンの守護者、サリア》を始めとした他の伝説のクリーチャー同様にミラーマッチではあまり強くないクリーチャーとなりそうです。
《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》は最近になって対Miracles、Shardless用の追加の勝ち手段として定着しています。プレインズウォーカーは対策されがたく、特に《突然の衰微》が主な除去のSultai系のデッキに対して有効なフィニッシャーとなります。
The Last Sun 2016予選(レガシー)
~《パズルの欠片》を採用したOmni-tellやAffinityなど、他とは違うテクを搭載したリスト多数~
2016年7月30日
1位 Grixis Delver
2位 Nic-Fit
3位 Miracles
4位 Affinity
5位 ANT
6位 Omni-Tell
7位 Lands
8位 Omni-Tell
トップ8のデッキリストは【こちら】
【The Last Sun 2016予選(レガシー)】の上位はGrixis DelverやMiraclesといった定番のアーキタイプの他にも、《パズルの欠片》を採用したOmni-tellやAffinityなど、特徴的なリストやアーキタイプも結果を残していました。
The Last Sun 2016予選(レガシー) デッキ紹介
「Omni-Tell」
4 《島》 2 《Volcanic Island》 1 《Tropical Island》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《汚染された三角州》 2 《裏切り者の都》 1 《古えの墳墓》 1 《すべてを護るもの、母聖樹》 -土地 (19)- 2 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー (2)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《定業》 4 《呪文貫き》 2 《ギタクシア派の調査》 4 《実物提示教育》 4 《パズルの欠片》 2 《狡猾な願い》 1 《直観》 2 《嘘か真か》 4 《意志の力》 4 《全知》 -呪文 (39)- |
2 《赤霊破》 2 《防御の光網》 1 《すべてを護るもの、母聖樹》 1 《狼狽の嵐》 1 《有毒の蘇生》 1 《もみ消し》 1 《外科的摘出》 1 《古えの遺恨》 1 《突然のショック》 1 《エラダムリーの呼び声》 1 《直観》 1 《コジレックの帰還》 1 《クローサの掌握》 -サイドボード (15)- |
探査ドローの《時を越えた探索》が禁止カードに指定されてからは、Sneak and Showとハイブリットするなどしてメタに留まり続けていたOmni-Tellでしたが、今大会ではその《時を越えた探索》の後釜となるかもしれない新たなドロースペルを見つけることによって、本戦への権利獲得者を2名輩出しました。
☆注目ポイント
『イニストラードを覆う影』に収録されている青いドロースペルの《パズルの欠片》は、ソーサリースピードながらライブラリーのトップ5枚からソーサリー、インスタントカードを最大2枚まで加えることが可能という性能で、スペルを多数採用しているこのデッキではヒット率も高めとなっています。流石にあの《時を越えた探索》には敵わないものの、《狡猾な願い》や《実物提示教育》といったキーカードを探し当てることに貢献します。《渦まく知識》で戻した不要なカードを落としてドローの質を高めるという使い方も可能です。
サイドの《コジレックの帰還》は「欠色」なので、《ルーンの母》によって妨害されることなくDeath and Taxesのヘイトベアーを一掃します。
BIG MAGIC Sunday Legacy
~日本レガシー選手権2016 Springの覇者が優勝を飾る~
2016年7月31日
※画像は【bigweb】より引用させていただきました。 |
1位 Miracles
2位 Jund
3位 ANT
4位 Miracles
5位 Infect
6位 Eldrazi
7位 UR Delver
8位 Lands
トップ8のデッキリストは【こちら】
【BIG MAGIC Open Vol.7】と併催して開催された【BIG MAGIC Sunday Legacy】は、日本各地からレガシー好きが集まりメインイベントに負けない盛り上がりを見せました。上位はMiraclesやANT、InfectなどSCGのイベントの上位でもよく見られるアーキタイプが中心でした。
優勝を収めたのは【日本レガシー選手権2016 Spring】でもMiraclesを使用し優勝を収めていた強豪プレイヤーの高野 成樹選手でした。
BIG MAGIC Sunday Legacy デッキ紹介
「Miracles」
4《島》 2《平地》 3《Tundra》 2《Volcanic Island》 4《溢れかえる岸辺》 4《沸騰する小湖》 2《乾燥台地》 1《カラカス》 -土地 (22)- 2《ヴェンディリオン三人衆》 2《瞬唱の魔道士》 -クリーチャー (4)- |
4《渦まく知識》 4《相殺》 3《剣を鍬に》 3《思案》 1《呪文嵌め》 1《紅蓮破》 1《対抗呪文》 1《議会の採決》 2《天使への願い》 3《意志の力》 4《終末》 4《師範の占い独楽》 3《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文 (34)- |
2《僧院の導師》 2《狼狽の嵐》 2《基本に帰れ》 2《摩耗+損耗》 1《封じ込める僧侶》 1《紅蓮破》 1《赤霊破》 1《対抗呪文》 1《意志の力》 1《安らかなる眠り》 1《仕組まれた爆薬》 -サイドボード (15)- |
アメリカやヨーロッパでは土地を20~21枚と少なめにして《思案》を4枚、《僧院の導師》をメインに据えるレシピが主流ですが、日本国内では《精神を刻む者、ジェイス》や《天使への願い》を主なフィニッシャーとした重コントロールスタイルのレシピが主流のようです。
日本国内でもトップクラスのMiracles使いである【斉藤 伸夫さんと彼のチームメイトによって調整されたレシピ】で昨年開催された【BIG MAGIC Sunday Legacy】、【The Last Sun 2015】、今年開催された【Eternal Festival Tokyo 2015】や【日本レガシー選手権2016 Spring】など、多数の日本国内のレガシー大会で結果を残し続けていることからも完成度の高さがうかがえます。
☆注目ポイント
メインのクリーチャーは《ヴェンディリオン三人衆》と《瞬唱の魔道士》のみです。Miraclesのメインにクリーチャーを採用する際の弊害として、相手の手札で腐っている除去を有効なカードに変えてしまうリスクがありますが、ともに戦場に出た時点で何かしらの仕事をするクリーチャーなので、除去されたとしても特に問題はありません。
メインから採用されている《呪文嵌め》は2マナの重要なスペルが多数存在するレガシーでは優秀なカウンターで、最近流行りの《虚空の杯》X=1も打ち消せます。
日本国外のリストでは土地を減らしている関係で《精神を刻む者、ジェイス》が2枚となっているレシピが多く見られますが、アドバンテージ獲得手段兼フィニッシャーとして、ミラーマッチやShardlessなどとのマッチでは特に重要となることから3枚採用されています。
《虚空の杯》を始めとした厄介な置物が多い環境のため、《摩耗+損耗》がサイドに2枚採用されています。《基本に帰れ》も2枚と、Lands、Eldraziなどの特殊地形を多用するデッキ対策もしっかりされています。
このデッキ相手には、プレインズウォーカーに対して役に立たない《剣を鍬に》などの除去を残しておくのはリスクが大きく、それを踏まえたうえでの《僧院の導師》はサイドインされることが知れ渡っている現在でも頼りになる勝ち手段です。
■ 総括
【SCG Classics Baltimore】や【BIG MAGIC Sunday Legacy】では青いデッキが多く結果を残し、【The Last Sun 2016予選(レガシー)】ではNic FitやAffinity、《パズルの欠片》入りのOmni-tellなど、個性的なデッキが活躍しました。
どの大会でもMiraclesとDelver系が幅を利かせており、各デッキは特にMiraclesに対して様々な対策カードを用意していました。
『異界月』から加入した《異端聖戦士、サリア》もDeath and Taxesなどで使われ始めており、BIG MAGIC Sunday Legacyでも【サリアストンピィ】という新デッキが見られました。レガシーの新たなレギュラーとして活躍を続けるのか注目です。
以上USA Legacy Express vol.109でした。
それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!
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