みなさんこんにちは。
来週末には【BIGMAGICOPEN vol.8】と、併催イベントとして【BIGMAGIC Sunday/Legacy】が開催されます。来月末に開催される【グランプリ・千葉2016】の練習のために多数のプレイヤーが参戦することが予想されます。
さて、今回の連載ではヨーロッパで開催されたレガシーの大会である【Ovino Legacy】と【SCG Classics Indianapolis】の結果を見ていきたいと思います。
Ovino Legacy トップ8
~青いフェアデッキが多数勝ち残る~
2016年9月24日
1位 4C Control
2位 Miracles
3位 Miracles
4位 Miracles
5位 Shardless Sultai
6位 Eldrazi
7位 Elves
8位 Death and Taxes
トップ8のデッキリストは【こちら】
ヨーロッパではなんとプレリリースの週末(9月24日)でもレガシーの大きな大会が開催され、参加プレイヤーも216名と大盛況だったようです。
プレイオフはElvesを除いてコンボらしいコンボは見当たらず、MiraclesやSultaiといった青いフェアデッキが多数勝ち残っています。
Ovino Legacy デッキ紹介
「4C Control」「Miracles」「Eldrazi」
3 《Underground Sea》 2 《Tropical Island》 1 《Badlands》 1 《Volcanic Island》 4 《汚染された三角州》 4 《沸騰する小湖》 2 《新緑の地下墓地》 3 《不毛の大地》 -土地 (20)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《悪意の大梟》 3 《タルモゴイフ》 2 《瞬唱の魔道士》 -クリーチャー (13)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 2 《コジレックの審問》 1 《稲妻》 1 《思考囲い》 3 《突然の衰微》 3 《目くらまし》 1 《トーラックへの賛歌》 1 《四肢切断》 1 《コラガンの命令》 2 《苦い真理》 4 《意志の力》 -呪文 (27)- |
3 《悪魔の布告》 2 《二股の稲妻》 2 《紅蓮破》 2 《虚無の呪文爆弾》 1 《狼狽の嵐》 1 《侵襲手術》 1 《思考囲い》 1 《壌土からの生命》 1 《湿地での被災》 1 《精神を刻む者、ジェイス》 -サイドボード (15)- |
4C Delverと似た構成ですが《秘密を掘り下げる者》が不採用で《悪意の大梟》や《瞬唱の魔道士》が採用されているなどミッドレンジ寄りです。《秘密を掘り下げる者》が不在な分、クロックが遅くなりコンボに対しては少し弱くなりますが、今大会のようにMiraclesなどが多いメタでは有利が付きます。
☆注目ポイント
ほぼ確実に3マナドロー3の《苦い真理》はレガシーでも(その強力さゆえに禁止カードに指定された)《宝船の巡航》には敵わないものの効率の良いドロースペルで、MiraclesやShardless Sultaiなどとのマッチアップでアドバンテージを提供します。
接死持ちの《悪意の大梟》はブロックによる相打ちが取れることからテンポアドバンテージにも優れます。Eldraziなどのサイズに勝るクリーチャーが止まり除去されたとしてもアドバンテージが取れるので相手にとっては非常に厄介なクリーチャーです。
基本地形を一切採用していないので《血染めの月》などを使うデッキを苦手とします。また単体除去が中心なので《真の名の宿敵》のように単体除去に耐性を持つクリーチャーも対処しづらく、サイドには《湿地での被災》や《悪魔の布告》といった対策カードが見られます。
遅いデッキとのマッチアップにサイドインされる追加のアドバンテージ源である《壌土からの生命》と《精神を刻む者、ジェイス》も見られます。Shardless Sultaiなど特殊地形に頼ったミッドレンジとのマッチアップでは《壌土からの生命》で毎ターン《不毛の大地》を使いまわす動きが強力です。
3 《島》 2 《平地》 3 《Tundra》 3 《Volcanic Island》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《汚染された三角州》 1 《乾燥台地》 -土地 (20)- 3 《瞬唱の魔道士》 2 《僧院の導師》 -クリーチャー (5)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《剣を鍬に》 2 《対抗呪文》 1 《議会の採決》 1 《天使への願い》 4 《意志の力》 4 《終末》 4 《相殺》 1 《仕組まれた爆薬》 4 《師範の占い独楽》 2 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文 (35)- |
3 《ヴェンディリオン三人衆》 3 《狼狽の嵐》 2 《封じ込める僧侶》 2 《紅蓮破》 2 《摩耗+損耗》 1 《赤霊破》 1 《外科的摘出》 1 《コジレックの帰還》 -サイドボード (15)- |
レガシーの最高のデッキの一つとして大きな大会の上位では必ずと言ってよいほど見かけるMiracles。
最近はゲームをコントロールした後に《天使への願い》や《精神を刻む者、ジェイス》でゲームを決める重コントロール型よりも《僧院の導師》をメインから採用し土地を21-20枚にまで切り詰めて《思案》など軽いスペルを多用したバージョンがアメリカやヨーロッパではポピュラーです。
☆注目ポイント
メインに1枚だけ採用されている《仕組まれた爆薬》はEldraziを中心に最近多くのデッキにメインから採用されている《虚空の杯》対策になります。特に《思案》もフル搭載されたこのバージョンでは「X=1」で設置された《虚空の杯》は致命的なので、回答は一つでも多く欲しいところです。《議会の採決》と共に想定外のパーマネントに対応できるフレキシブルなアンサーとなります。
軽いドロースペルが多数採用されていることでメインの主な勝ち手段も《天使への願い》が1枚、《僧院の導師》が2枚、《精神を刻む者、ジェイス》が2枚とコンパクトにまとめることに成功しています。
サイドの《コジレックの帰還》は《紅蓮地獄》よりも1マナ多くコストがかかりますが、インスタントスピードで「欠色」なので《ルーンの母》などプロテクションを無視してクリーチャーを除去することが可能なことで評価が上がっているスイーパーです。
InfectやANTなど速いコンボデッキの存在するレガシーはマナを効率よく使うことが重要なので、個人的には《思案》が少なめで《天使への願い》や《精神を刻む者、ジェイス》を勝ち手段としたコントロールバージョンや、【グランプリ・コロンバス2016】でJoe Lossettが使用していた伝説のクリーチャーを多数採用したバージョンよりも《僧院の導師》メインでドロースペルが多めのこのバージョンのほうが動きがスムーズで手に馴染みます。
4 《魂の洞窟》 2 《コイロスの洞窟》 2 《カラカス》 4 《古えの墳墓》 4 《裏切り者の都》 4 《エルドラージの寺院》 2 《不毛の大地》 4 《ウギンの目》 -土地 (26)- 4 《果てしなきもの》 4 《エルドラージのミミック》 4 《変位エルドラージ》 4 《作り変えるもの》 4 《難題の予見者》 4 《現実を砕くもの》 2 《終末を招くもの》 -クリーチャー (26)- |
2 《四肢切断》 4 《虚空の杯》 2 《梅澤の十手》 -呪文 (8)- |
4 《アメジストのとげ》 3 《フェアリーの忌み者》 2 《終末を招くもの》 2 《バジリスクの首輪》 2 《漸増爆弾》 1 《全ては塵》 1 《無のロッド》 -サイドボード (15)- |
Eldraziは無色のバージョンが最もポピュラーですがConsonni Francescoは《変位エルドラージ》のために白を足しています。
☆注目ポイント
《変位エルドラージ》は自身に除去耐性がないことがネックとなりますが、生き残れば相手のブロッカーをどかしたり装備品を剥がしたり《難題の予見者》の能力を使い回したりと広範囲での活躍が期待できます。
サイドの《バジリスクの首輪》は《終末を招くもの》と組み合わせることで各ターンクリーチャーを除去することが可能になります。《全ては塵》は一見するとマナコストが重く感じられますが、2マナランドを多数搭載したこのデッキではキャストしやすく、無色のパーマネントで構成されているこのデッキにとって被害は皆無で相手の戦場だけ一方的に更地にすることができます。このデッキにとって厄介な《Moat》などに対する回答となります。
SCG Classics Indianapolis トップ8
~優勝はGrixis DelverのエキスパートのNoah Walker~
2016年10月2日
※画像は【StarCityGames.com】より引用させていただきました。 |
1位 Grixis Delver
2位 Omni-tell
3位 Aluren
4位 Omni-tell
5位 Stax
6位 UR Delver
7位 Maverick
8位 Grixis Delver
トップ8のデッキリストは【こちら】
Delver系の中で最近最も使用率が高く大きな大会の上位では必ずと言ってよいほど見かけるGrixis Delver。
Show and Tell系のコンボで、日本国内でも【第7期レガシー神挑戦者決定戦】で優勝を収める強さを見せるOmni-tell。
そして、最近復権の兆しを見せているMaverickにMUDやAlurenなど様々なデッキが見られ、メタが混沌としているSCG Classics Indianapolis。
この大会で優勝を収めたのはNoah Walkerでした。彼はスタンダードのオープンも制した「Team Cardhorder」の一員であり、Grixis DelverでSCGのレガシーの大会で結果を残し続けている強豪プレイヤーです。
Ovino Legacy デッキ紹介
「Aluren」「Stax」
2 《森》 1 《島》 1 《沼》 2 《Tropical Island》 1 《Bayou》 1 《Savannah》 1 《Underground Sea》 4 《新緑の地下墓地》 3 《霧深い雨林》 1 《汚染された三角州》 1 《ファイレクシアの塔》 1 《ヴォルラスの要塞》 -土地 (19)- 4 《死儀礼のシャーマン》 3 《老練の探険者》 4 《悪意の大梟》 2 《北極マーフォーク》 1 《洞窟のハーピー》 4 《護衛募集員》 3 《断片無き工作員》 1 《永遠の証人》 1 《寄生的な大梟》 1 《再利用の賢者》 -クリーチャー (24)- |
4 《渦まく知識》 4 《陰謀団式療法》 1 《思考囲い》 3 《突然の衰微》 1 《森の知恵》 4 《魔の魅惑》 -呪文 (17)- |
3 《意志の力》 2 《スレイベンの守護者、サリア》 2 《毒の濁流》 2 《花の絨毯》 1 《封じ込める僧侶》 1 《ファイレクシアの破棄者》 1 《オルゾフの司教》 1 《骨砕き》 1 《思考囲い》 1 《突然の衰微》 -サイドボード (15)- |
《護衛募集員》が登場したことにより、《帝国の徴募兵》よりも予算的にも組みやすくなったようです。白を足したことによりこのデッキが苦手とするコンボ対策になる《スレイベンの守護者、サリア》や《封じ込める僧侶》といったヘイトベアーにアクセスが可能になりました。
最近の《魔の魅惑》は《悪意の大梟》や《断片無き工作員》、 《永遠の証人》などでアドバンテージを取りつつコンボによる瞬殺要素も持ち合わせた多色のミッドレンジで、《突然の衰微》や各種ハンデスなど妨害要素も数種類搭載されています。
☆注目ポイント
《護衛募集員》でサーチ不能な《夢で忍び寄るもの》に代わるバウンス要員として《北極マーフォーク》が採用されています。コンボだけでなく《悪意の大梟》や《断片無き工作員》といったクリーチャーの能力を再利用することでアドバンテージを稼ぎ出します。
白を足したことによるメリットとして《スレイベンの守護者、サリア》を使えるようになり苦手なコンボデッキとの相性が緩和されているようです。サイド後はヘイトベアーと《意志の力》など妨害要素が増えるのでコンボともそれなりに戦えそうです。
《オルゾフの司教》は小型のクリーチャーを多数採用したDeath and TaxesやElvesなどに有効なクリーチャーで、《陰謀団式療法》や《ファイレクシアの塔》といったクリーチャーをサクリファイスする手段とのシナジーもあり、全体強化としても使えるのでコンボに頼らずともダメージで勝つことも可能にします。
一見すると《帝国の徴募兵》とほとんど変わらない《護衛募集員》ですが、Death and Taxesの使用率の上昇により現在多くのデッキのサイドで見かける《硫黄の精霊》や《夜の戦慄》などが刺さるのが難点です。
1 《宝石の洞窟》 4 《古えの墳墓》 4 《埋没した廃墟》 4 《裏切り者の都》 4 《発明博覧会》 4 《不毛の大地》 3 《幽霊街》 1 《霊界への門、神ヶ眼》 -土地 (25)- 4 《金属細工師》 -クリーチャー (4)- |
4 《虚空の杯》 4 《モックス・ダイアモンド》 2 《厳かなモノリス》 4 《からみつく鉄線》 4 《三なる宝球》 4 《世界のるつぼ》 3 《罠の橋》 1 《威圧の杖》 3 《煙突》 1 《瓶詰めの回廊》 1 《ギラプールの宇宙儀》 -呪文 (31)- |
4 《ファイレクシアの破棄者》 3 《墓掘りの檻》 3 《防御の光網》 2 《精神壊しの罠》 1 《幽霊街》 1 《罠の橋》 1 《瓶詰めの回廊》 -サイドボード (15)- |
《虚空の杯》や《三なる宝球》、《からみつく鉄線》、《煙突》といった相手のアクションを制限させるアーティファクトを多数搭載したプリズンデッキ。《金属細工師》が除去されずに生き残れば圧倒的なマナ加速から爆発的に展開できるのが特徴です。
メインにフル搭載された《発明博覧会》など『カラデシュ』からの新カードも数種類見られる注目のアーキタイプです。
☆注目ポイント
《三なる宝球》で相手の行動を制限しつつ《からみつく鉄線》や《煙突》で相手のマナをロックしていきます。《不毛の大地》+《世界のるつぼ》によるマナロックも搭載されています。《発明博覧会》の再利用も可能で、起動型能力の条件を満たすのもアーティファクトが大量に積まれたこのデッキでは容易で状況に応じてアーティファクトをサーチしていきます。
『カラデシュ』からの新カードの《ギラプールの宇宙儀》は《世界のるつぼ》とのシナジーもありこのデッキのアドバンテージ源として重宝します。相手にも効果がありますが《煙突》や《不毛の大地》+《世界のるつぼ》でロックしてしまえばハンドを消費することが難しくなります。
《金属細工師》と《威圧の杖》による無限ライフや《罠の橋》+《瓶詰めの回廊》はクリーチャーによるダメージが勝ち手段のデッキをシャットアウトします。
このデッキのメインの勝ち手段と言えるものは実質《霊界への門、神ヶ眼》からのトークンのみと非常にのんびりとしたものですが対戦相手の大半のアクションをロックすれば負けない≒実質勝ちなのでフィニッシャーには特にこだわる必要もなくなります。こういった勝ち手段が細いデッキを使う際は時間切れには気をつけたいところです。
総括
アーティファクトをテーマとした『カラデシュ』からは少数ながらレガシーでも使えるカードがあり《ギラプールの宇宙儀》を活用したStaxが早速入賞を収めていました。《反逆の先導者、チャンドラ》もPainterの新戦力として注目を集めています。
5 《山》 2 《Plateau》 3 《乾燥台地》 2 《血染めのぬかるみ》 4 《古えの墳墓》 3 《裏切り者の都》 -土地 (19)- 2 《ゴブリンの溶接工》 4 《帝国の徴募兵》 4 《絵描きの召使い》 1 《月の大魔術師》 -クリーチャー (11)- |
4 《紅蓮破》 2 《悟りの教示者》 2 《赤霊破》 4 《血染めの月》 4 《水蓮の花びら》 4 《師範の占い独楽》 4 《丸砥石》 3 《罠の橋》 3 《反逆の先導者、チャンドラ》 -呪文 (30)- |
3 《コジレックの帰還》 2 《炎の稲妻》 2 《槌のコス》 1 《エーテル宣誓会の法学者》 1 《ファイレクシアの破棄者》 1 《デュルガーの垣魔道士》 1 《安らかなる眠り》 1 《トーモッドの墓所》 1 《漸増爆弾》 1 《アメジストのとげ》 1 《三なる宝球》 -サイドボード (15)- |
今月はヨーロッパとアメリカで「Eternal Weekend」が開催されます。【グランプリ・千葉2016】の直前に開催される大規模なレガシーのイベントなので要注目です。USA Legacy Expressでもしっかりカバーしていく予定です。
以上USA Legacy Express vol.114でした。
それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!
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