みなさんこんにちは。
新セットの『異界月』のプレビューが公開され始め、《異端聖戦士、サリア》などレガシーでも使えそうなカードも見られます。
さて、今回の記事では【SCG Classics Orlando】と【SCG Classics Dallas】の入賞デッキを見ていきたいと思います。
SCG Classics Orlando トップ8
~青いデッキの強さ揺るがず~
2016年6月19日
※画像は【StarCityGames.com】より引用させていただきました。 |
1位 Sneak and Show
2位 Grixis Delver
3位 ANT
4位 Miracles
5位 Miracles
6位 Grixis Delver
7位 Painter
8位 Grixis Delver
トップ8のデッキリストは【こちら】
【グランプリ・コロンバス2016】、【グランプリ・プラハ2016】の翌週に開催されたSCGO Orlandoと併催して開催されたSCG Classics Orlandoは入賞デッキに多少の違いが見られるものの【グランプリ・コロンバス2016】と同様に青いデッキがトップ8に7名という結果となりました。
しかし、Miracles祭りだった【グランプリ・コロンバス2016】と異なりANTやSneak and Show、Painterといったコンボデッキも見られます。優勝を収めたのは【グランプリ・プラハ2016】でも入賞していたOmni-tellとSneak and ShowをハイブリットしたShow and Tellデッキでした。
SCG Classics Orlando デッキ紹介
「Miracles」
5 《島》 2 《平地》 1 《山》 2 《Tundra》 1 《Volcanic Island》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《沸騰する小湖》 1 《乾燥台地》 1 《魂の洞窟》 2 《カラカス》 -土地 (23)- 3 《瞬唱の魔道士》 3 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《造物の学者、ヴェンセール》 1 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー (8)- |
4 《渦まく知識》 3 《剣を鍬に》 4 《意志の力》 2 《思案》 4 《終末》 4 《相殺》 4 《師範の占い独楽》 2 《精神を刻む者、ジェイス》 2 《先駆ける者、ナヒリ》 -呪文 (29)- |
2 《狼狽の嵐》 2 《赤霊破》 2 《安らかなる眠り》 2 《基本に帰れ》 1 《平和の番人》 1 《イゼットの静電術師》 1 《紅蓮破》 1 《摩耗+損耗》 1 《Moat》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《真髄の針》 -サイドボード (15)- |
6 《島》 3 《平地》 2 《Tundra》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《沸騰する小湖》 1 《乾燥台地》 1 《秘教の門》 -土地 (21)- 3 《瞬唱の魔道士》 -クリーチャー (3)- |
4 《渦まく知識》 3 《剣を鍬に》 2 《呪文貫き》 2 《対抗呪文》 4 《意志の力》 2 《議会の採決》 2 《天使への願い》 4 《終末》 4 《相殺》 2 《基本に帰れ》 4 《師範の占い独楽》 3 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文 (36)- |
2 《封じ込める僧侶》 2 《翻弄する魔道士》 2 《ヴェンディリオン三人衆》 2 《外科的摘出》 2 《狼狽の嵐》 1 《悪斬の天使》 1 《至高の評決》 1 《拘留の宝球》 1 《謙虚》 1 《遍歴の騎士、エルズペス》 -サイドボード (15)- |
常に安定した成績を残し続けているMiracles。Miraclesについては何度も解説してきていますが、今回入賞を収めていたリストは他で見られるリストよりも特徴的だったのでご紹介していきたいと思います。
☆注目ポイント
■ Christopher Herronの場合
Christopherのリストは【グランプリ・コロンバス2016】でも準優勝を収めていたJoe Lossetのリストをベースに《引き裂かれし永劫、エムラクール》と《先駆ける者、ナヒリ》のパッケージが加えられています。
モダンでも最近《先駆ける者、ナヒリ》を使ったJeskaiが活躍していますが、レガシーでも通用するパワーレベルのようです。《引き裂かれし永劫、エムラクール》は手札に来てほしいカードではありませんが、《先駆ける者、ナヒリ》の能力で墓地に落とすことでシャッフル手段としても利用でき、《渦まく知識》もあるのでモダンと比べると運用が楽になっています。
《先駆ける者、ナヒリ》は《紅蓮破》や《赤霊破》、《突然の衰微》で対処されず、忠誠値が高いので《稲妻》でも落ちないなど中々優秀なプレインズウォーカーです。流石にコンボ相手には遅すぎますが、Miracles、Shardless、Jundといったミッドレンジやコントロールとのマッチアップで強さを発揮します。
《引き裂かれし永劫、エムラクール》をサーチしてくる以外にも《先駆ける者、ナヒリ》の「-2」能力はこのデッキにとって対処が難しかった置物、特にエンチャントに触ることができるので 《造物の学者、ヴェンセール》と合わせてこのリストは置物対策に長けています。
■ Kevin Toolunの場合
Kevinのリストは最近のMiraclesでは珍しい青白の2色です。ミラーマッチや他の青いデッキに有効なスペルである《紅蓮破》や《赤霊破》、何かと便利な《摩耗+損耗》にアクセスできませんが、2色であることを活かして基本地形が合計9枚採られており、《不毛の大地》を初めとしたアンチ特殊地形に耐性があります。
逆にアンチ特殊地形である 《基本に帰れ》をメインから採用しています。Delver、Shardless、Jund、Lands、Eldraziなど特殊地形に頼ったデッキが数多くを占めるレガシーではこれ1枚で勝負が決まってしまうこともあります。
特にメイン戦では警戒する相手も少なく、多くのデッキに対して1本目を有利に進めることが可能になるのでミラーマッチやShow and Tell系の少ないメタでは効果的なチョイスです。
サイドには《封じ込める僧侶》、《翻弄する魔道士》、《拘留の宝球》、《ヴェンディリオン三人衆》などShow and Tell系に有効なカードが多数採用されています。ミラーマッチでも《拘留の宝球》や《ヴェンディリオン三人衆》は有効で、《紅蓮破》・《赤霊破》では対処されない《遍歴の騎士、エルズペス》といったカードも採用されています。
SCG Classics Dallas トップ8
~非青デッキが大活躍!珍しいデッキも多数入賞~
2016年6月26日
※画像は【StarCityGames.com】より引用させていただきました。 |
1位 Death and Taxes
2位 Eldrazi
3位 Imperial Taxes
4位 Reanimator
5位 Dredge
6位 Death and Taxes
7位 Doomsday
8位 Lands
トップ8のデッキリストは【こちら】
【SCGO Dallas】と併催して開催されたSCG Classics Dallasでは、最近のレガシーでは珍しくMiraclesやDelverといった青いフェアデッキが見られず、代わりにDeath and Taxes、Eldraziといった非青デッキやDredge、Reanimatorといった墓地を使ったコンボデッキ、そしてDoomsdayといった珍しいデッキが活躍していました。
SCG Classics Dallas デッキ紹介
「Eldrazi」「Imperial Taxes」「Dredge」「Doomsday」
1 《荒地》 4 《魂の洞窟》 4 《古えの墳墓》 4 《エルドラージの寺院》 4 《ウギンの目》 4 《不毛の大地》 3 《裏切り者の都》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地 (25)- 4 《果てしなきもの》 4 《エルドラージのミミック》 4 《作り変えるもの》 1 《猿人の指導霊》 1 《ファイレクシアの変形者》 4 《難題の予見者》 4 《現実を砕くもの》 2 《終末を招くもの》 -クリーチャー (24)- |
2 《歪める嘆き》 1 《次元の歪曲》 1 《四肢切断》 4 《虚空の杯》 2 《アメジストのとげ》 1 《梅澤の十手》 -呪文 (11)- |
3 《ファイレクシアの破棄者》 2 《漸増爆弾》 1 《フェアリーの忌み者》 1 《終末を招くもの》 1 《次元の歪曲》 1 《四肢切断》 1 《全ては塵》 1 《トーモッドの墓所》 1 《大祖始の遺産》 1 《アメジストのとげ》 1 《鉄びし》 1 《三なる宝球》 -サイドボード (15)- |
【グランプリ・コロンバス2016】、【グランプリ・プラハ2016】では残念な結果となりましたが今回は準優勝という好成績を残しています。元々デッキパワーが高く、GPでの敗因はその強さ故に過剰に対策されていたことでした。
☆注目ポイント
Death and Taxesやミラーマッチなどクリーチャーデッキを意識していたのか《アメジストのとげ》の枚数が削られています。
メインから多めに採用されている《終末を招くもの》は6マナと2マナランドを多数採用したこのデッキにとっても決して軽いとは言えないコストですが、《若き紅蓮術士》や《スレイベンの守護者、サリア》などタフネス1のクリーチャーを除去でき、プレイヤー本体も対象にできるので、《Moat》や《罠の橋》といったアタッカーをシャットアウトする置物への対抗手段にもなります。
対象のクリーチャーの攻撃やブロックを止める起動型能力はSneak and Showのファッティの攻撃も止めることができます。ドロー能力もカードアドバンテージ獲得手段に貧しいこのデッキにとっては重要です。
1枚挿しの《ファイレクシアの変形者》は《古えの墳墓》や《四肢切断》のペイライフによりライフの消費が激しいこのデッキにとっては少し厳しいですが、《アメジストのとげ》《難題の予見者》《現実を砕くもの》といった強力なカードをコピーすることが可能です。
マナ基盤も《血染めの月》などアンチ特殊地形に少しでも耐性を付けるために《裏切り者の都》の4枚目の代わりに《荒地》が採用されているなど調整が加えられています。
有色パーマネントをスイープする《全ては塵》は無色のエルドラージ呪文のため、《ウギンの目》や《エルドラージの寺院》の恩恵を受けることができ、7マナという重いコストもこそまで気にならないでしょう。Eldrazi側の被害は皆無で《Moat》や《謙虚》、《真の名の宿敵》といったこのデッキにとって対処し難いパーマネントを除去します。
同じくパーマネント対策としてサイドに採用されている《漸増爆弾》は時間が掛かるのが難点ですが、その分コストが軽いので状況に応じて使い分けていきたいところです。
3 《平地》 2 《Plateau》 3 《溢れかえる岸辺》 3 《吹きさらしの荒野》 1 《魂の洞窟》 2 《カラカス》 4 《リシャーダの港》 4 《不毛の大地》 -土地 (22)- 4 《ルーンの母》 4 《石鍛冶の神秘家》 4 《スレイベンの守護者、サリア》 3 《ファイレクシアの破棄者》 1 《エーテル宣誓会の法学者》 4 《ちらつき鬼火》 3 《月の大魔術師》 2 《帝国の徴募兵》 1 《悪鬼の狩人》 1 《ミラディンの十字軍》 1 《修復の天使》 -クリーチャー (28)- |
4 《剣を鍬に》 4 《霊気の薬瓶》 1 《梅澤の十手》 1 《火と氷の剣》 1 《殴打頭蓋》 -呪文 (11)- |
3 《エーテル宣誓会の法学者》 3 《安らかなる眠り》 2 《唐突なる死》 2 《議会の採決》 1 《レオニンの遺物囲い》 1 《封じ込める僧侶》 1 《真髄の針》 1 《万力鎖》 1 《罠の橋》 -サイドボード (15)- |
時折見かける白赤の2色のバージョンのDeath and Taxes。2色にすることによってこのデッキの強みであったマナの安定性は若干下がりましたが、《帝国の徴募兵》や《月の大魔術師》といったクリーチャーにアクセスが可能になり、戦略の幅が広がっています。
☆注目ポイント
《帝国の徴募兵》は優秀なサーチスペルとして働き、《帝国の徴募兵》で《石鍛冶の神秘家》をサーチして装備品を探してくるという動きも可能です。
コンボに対しては《エーテル宣誓会の法学者》や《スレイベンの守護者、サリア》といったヘイトベアーを探し、このデッキにとって相性の悪いマッチアップとなるLandsに対しては《月の大魔術師》が特に有効なサーチ先になります。
1枚挿しの《修復の天使》は4マナとレガシーでは少し重いコストですが、クリーチャーを単体除去から守ったり《石鍛冶の神秘家》や《帝国の徴募兵》、《悪鬼の狩人》などの能力を使いまわしたり《ファイレクシアの破棄者》をリセットしたりと活躍の機会は多めです。
また、赤を足したメリットとしてスイーパーの《唐突なる死》にアクセスが可能となりました。指定した色のクリーチャーへの全体火力なので相手のクリーチャーの色によっては相手側だけスイーパーとなります。最近流行りのEldraziに効かないのが残念な所ですが、Elvesや《若き紅蓮術士》などには非常に有効なスペルです。
4 《宝石鉱山》 4 《マナの合流点》 3 《セファリッドの円形競技場》 2 《真鍮の都》 -土地 (13)- 2 《朽ちゆくインプ》 4 《ゴルガリの凶漢》 4 《ナルコメーバ》 4 《臭い草のインプ》 3 《イチョリッド》 4 《ゴルガリの墓トロール》 1 《グリセルブランド》 -クリーチャー (22)- |
4 《打開》 4 《陰謀団式療法》 4 《入念な研究》 4 《信仰無き物あさり》 1 《戦慄の復活》 4 《黄泉からの橋》 4 《ライオンの瞳のダイアモンド》 -呪文 (25)- |
3 《突然の衰微》 2 《炎の嵐》 2 《思考囲い》 2 《水蓮の花びら》 1 《真鍮の都》 1 《大修道士、エリシュ・ノーン》 1 《イチョリッド》 1 《エメリアの盾、イオナ》 1 《自然の要求》 1 《戦慄の復活》 -サイドボード (15)- |
「発掘」のメカニックを利用した墓地をリソースとするコンボデッキで、異なる軸から勝負するのでBelcher、ANT、Reanimatorなどの高速コンボデッキ以外の多くのデッキに対してメイン戦は無類の強さを見せます。しかし多くのデッキは何かしらの墓地対策をサイドに用意しているのでどれだけ墓地が意識されているかで勝率が大きく変動するデッキです。
☆注目ポイント
手札を全て墓地に捨てる《ライオンの瞳のダイアモンド》は特に強力で、そこから《セファリッドの円形競技場》に繋げることで一気に墓地を肥やすことが可能になります。
このデッキの《陰謀団式療法》は自分を対象にして手札の「発掘」カードを墓地に落とす手段として使用することもでき、サイド後は相手が抱えているであろう墓地対策を事前に落とすこともできます。
サイドには《死儀礼のシャーマン》《安らかなる眠り》《墓掘りの檻》など墓地対策への対抗手段になる《突然の衰微》が採られています。
マナ加速の《水蓮の花びら》は後手でも1ターン目から《入念な研究》や《信仰無き物あさり》で「発掘」カードを墓地に落とした後に《打開》などによって一気に墓地を肥やすことを可能にし、コンボデッキに対して速度勝負を挑むことができるようになります。追加の《戦慄の復活》や追加のリアニメイト対象の《大修道士、エリシュ・ノーン》や《エメリアの盾、イオナ》などと共にサイドインされます。
1 《島》 1 《沼》 2 《Underground Sea》 2 《Volcanic Island》 1 《Badlands》 1 《Tropical Island》 4 《汚染された三角州》 4 《沸騰する小湖》 -土地 (16)- 1 《研究室の偏執狂》 -クリーチャー (1)- |
4 《渦まく知識》 4 《暗黒の儀式》 1 《汚物の雨》 2 《突然の衰微》 4 《ギタクシア派の調査》 4 《強迫》 4 《思案》 3 《陰謀団式療法》 3 《燃え立つ願い》 1 《留まらぬ発想》 3 《最後の審判》 4 《ライオンの瞳のダイアモンド》 2 《水蓮の花びら》 4 《師範の占い独楽》 -呪文 (43)- |
2 《ザンティッドの大群》 2 《突然の衰微》 1 《Tropical Island》 1 《カラカス》 1 《殻船着の島》 1 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 1 《陰謀団式療法》 1 《虚空の罠》 1 《最後の審判》 1 《冥府の契約》 1 《巣穴からの総出》 1 《苦悶の触手》 1 《虐殺》 -サイドボード (15)- |
《最後の審判》をキーとしたコンボデッキ。数多いレガシーのデッキの中でも特に複雑なデッキで使用者は少なく、かなり珍しいデッキです。TESやANTといったストームコンボのバリエーションで、Doomsday Fetchland Tendrils(DDFT)とも呼ばれています。
《むかつき》や《炎の中の過去》からコンボを発動させるANTと異なり、DDFTはデッキ名にもなっている《最後の審判》がキーとなります。サーチする5枚のカードは状況によって異なり、このデッキが最も複雑なデッキの一つと呼ばれている理由です。
☆注目ポイント
基本的にストーム系のコンボのバリエーションですが、Albert Huangのリストには《研究室の偏執狂》も採用されており、ストームによるコンボ以外にも《最後の審判》をキャストしたあと《渦まく知識》や《留まらぬ発想》などのドロースペルや《師範の占い独楽》の起動能力で自らをライブラリーアウトさせて勝利するということも可能です。
《最後の審判》はソーサリーなので《燃え立つ願い》でサーチしてくることも可能で、比較的引き当てやすい構成となっています。
サイドには《殻船着の島》+《引き裂かれし永劫、エムラクール》のコンボも忍ばせており、相手からしてみれば実際に対戦する機会が少ないこともあり、対策が難しいデッキとなりそうです。
総括
【グランプリ・コロンバス2016】、【グランプリ・プラハ2016】直後に開催されたSCG Classics OrlandoではGPと似た結果となりましたが、Dallasは珍しく非青デッキで上位が占められていました。
今週末には久々にレガシーのオープンがWorcesterで開催されます。特にアメリカのレガシーGPの上位はMiraclesが支配していましたが、果たして同様にMiracles祭りとなるか? それともEldraziやDeath and Taxesなど非青デッキが結果を残すか? 今から楽しみですね。
以上USA Legacy Express vol.107でした。
それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!
この記事内で掲載されたカード
Twitterでつぶやく
Facebookでシェアする