皆さんこんにちは。
いよいよ待ちに待った【グランプリ・千葉2016】が今月末に開催されますが、みなさんもうデッキは決まりましたか?日本国内でレガシーのグランプリが開催されるのは【グランプリ・京都2015】以来なので楽しみですね。
さて、先週末は【SCGO Baltimore】、先々週末には【Eternal Weekend】がアメリカで開催されレガシーが熱い週末でした。今回の連載ではEternal WeekendとSCGO Baltimoreの入賞デッキを見ていきたいと思います。
Eternal Weekend North America
~GolgariカラーのDark Depthsコンボが北米のレガシー選手権を制する~
2016年10月27-30日
※画像は【Card Titan】より引用させていただきました。 |
1位 Dark Depths
2位 Miracles
3位 Death and Taxes
4位 Death and Taxes
5位 4C Delver
6位 Death and Taxes
7位 Eldrazi
8位 Reanimator
トップ8のデッキリストは【こちら】
最近大きな大会の上位では必ずと言っていいほど見られるDeath and Taxesがプレイオフに3名入賞と惜しくも優勝こそは逃しましたが安定した成績で、最高の非青フェアデッキと見て間違いなさそうです。
優勝を収めたのは緑黒のDark DepthsでLoamタイプのミッドレンジではなく、マナ加速やサーチスペル、《吸血鬼の呪詛術士》も加えたコンボタイプのデッキで、決して有利とは言えないDeath and TaxesとMiraclesに勝利しての優勝です。
Eternal Weekend North America デッキ紹介
「Deat and Taxes」「Dark Depths」
◆Interview With MacKenzie Doyle
今大会見事にトップ4入賞を収めたMacKenzie(Mack)はミシガン州出身のレガシープレイヤーです。Death and Taxesを使い続けており、同デッキでSCGOやSCG IQなどでコンスタントに入賞を収めています。
今回の連載のためにお話を聞くことができました。
レガシーは青いデッキやコンボというイメージがありますが、Death and Taxesは白単色なので《意志の力》や《渦まく知識》といった定番の青いカードは不採用で、2-3ターン以内にコンボで勝つデッキでもありません。
相手の土地を縛りつつ《スレイベンの守護者、サリア》を始めとした妨害要素を内蔵したヘイトベアーで相手の行動を制限しつつクロックをかけていくクリーチャーデッキで、《石鍛冶の神秘家》や装備品でアドバンテージを稼いていくことでロングゲームにも強く、最近のレガシーの大会では上位で必ずと言っていいほど見かけるデッキです。今大会でもプレイオフに3名のプレイヤーを輩出しました。
10 《平地》 1 《魂の洞窟》 3 《カラカス》 1 《トロウケアの敷石》 4 《リシャーダの港》 4 《不毛の大地》 -土地 (23)- 4 《ルーンの母》 2 《セラの報復者》 4 《石鍛冶の神秘家》 4 《スレイベンの守護者、サリア》 4 《ちらつき鬼火》 3 《ファイレクシアの破棄者》 2 《護衛募集員》 1 《コロンドールのマンガラ》 1 《ミラディンの十字軍》 1 《聖域の僧院長》 -クリーチャー (26)- |
4 《剣を鍬に》 4 《霊気の薬瓶》 1 《梅澤の十手》 1 《火と氷の剣》 1 《殴打頭蓋》 -呪文 (11)- |
2 《封じ込める僧侶》 2 《悟りの教示者》 2 《議会の採決》 2 《安らかなる眠り》 1 《エーテル宣誓会の法学者》 1 《萎れ葉のしもべ》 1 《流刑への道》 1 《大変動》 1 《墓掘りの檻》 1 《真髄の針》 1 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -サイドボード (15)- |
――いつもDeath and Taxesを使っているみたいだけど、どれぐらいの期間使ってるの?
Mack: 使うようになってもう5年近く経つかな。相手の行動を妨害しつつゲームをコントロールし、同時にクロックもかけることができるから、使っていてとても楽しいデッキだ。このデッキは対戦難易度も高くて、最近は『コンスピラシー:王位争奪』からも大きな収穫があった。Tier1と言ってもいい強さで、これからもこのデッキを使い続けていくつもりだよ。
――なるほど。確かに白単色のクリーチャーデッキとは思えないぐらい複雑そうなデッキだね。
Mack: そうだね。リストを見ると確かに1マナ1/1クリーチャーやその他も、カードパワーの高いレガシーでは派手さに欠けるように見えるけど、相手の行動を著しく制限するプリズンデッキの要素と除去、そして装備品によるコントロール要素もある。よく白単ウイニーのように形容されているけど、実際は白単コントロールに近いデッキだ。
――他のリストととの違いは何かある?
Mack: 他のリストでは《地平線の梢》を一枚採っているのをよく見かけるけど、テンポデッキや他のアグロデッキとのマッチアップでライフロスが痛いこと、そして特殊地形対策に引っかかるから採用を見送った。《ルーンの母》と《ちらつき鬼火》を3枚にしているリストを見かけるけど、どちらも重要なカードだから4枚ずつの採用で正解だと思う。
メインの 《コロンドールのマンガラ》はあまり好きなカードではないけど、メインから相手の厄介なパーマネントに対処できる多目的カードだ。最近は《異端聖戦士、サリア》を採用したリストも見かけるけど、今回は《ミラディンの十字軍》と《コロンドールのマンガラ》を優先した。GP Louisvilleに向けてテストしてみて決めていこうと考えている。
――3マナ域のクリーチャーの枠は渋滞していてメタによっても強さが変動しそうなクリーチャーも多いから迷いそうだね。
Mack: そうだね。今回はDelverや《タルモゴイフ》使ったデッキと当たることを予想していたから《ミラディンの十字軍》を採用したけど、グランプリではMiraclesが多くなりそうだから、《異端聖戦士、サリア》を採用することを考えている。
――このデッキの長所と弱点は?
Mack: このデッキの長所は、明確に相性の悪いマッチアップが少ないところだね。厳しいマッチアップでも勝てないマッチは少なく、プレイングとサイドボーディングで渡り合っていくことができる。マナ拘束とヘイトベアーで動きが著しくない相手にも付け込みやすい。
白はサイドボードの選択肢が豊富で、《安らかなる眠り》のような相手によっては決定打になるカードにアクセスできるところが強みだ。本来は相性があまりよくないとされるJundなどとのマッチアップもある程度までなら改善できる。
弱点はドロースペルが無いことと、カウンターにアクセスできないことだ。速いコンボ相手に最初の1, 2ターンで動かれると辛い。幸いなことにコンボデッキが最速でゲームを決められる確率は11パーセントほどだ。
多くの1, 2ターンで勝負を決めてくるコンボは、Reanimatorが伝説のクリーチャーを墓地から高速で釣り上げたり、Belcherがゴブリンの大軍を出してくるケースだが、伝説のクリーチャーは《カラカス》で対処可能だし、ゴブリントークンは《石鍛冶の神秘家》からの《殴打頭蓋》がある。コンボに対するサイド後のプランは《悟りの教示者》からのシルバーバレットプランで《エーテル宣誓会の法学者》が多くのコンボに効くよ。
――確かに除去が少ないコンボに対してサーチして来れるヘイトベアーは強そうなプランだね。
Mack: 《ルーンの母》が《突然の衰微》や《紅蓮地獄》のようなカードからヘイトベアーを守ってくれる。コンボ相手でもこの1マナ1/1クリーチャーをサイドアウトしない理由だ。
――ヘイトベアーと言えば『コンスピラシー:王位争奪』から加入した《聖域の僧院長》はどう思う?
Mack: カード単体としてのパワーレベルは、かなり高いと思う。相手のデッキの構成によってはロックすることができるね。テンポデッキやアグロデッキに対しては遅くてあまり使えないけど、Miracles、Lands、コンボとのマッチアップでは最高だ。
Landsに対しては「X=2」を指定すれば《罰する火》と《壌土からの生命》をシャットアウトすることができて、Miraclesを相手に「X=6」を指定すれば《終末》を封じることができる。コンボでも、たとえば「X=4」を指定すれば、Stormがコンボを決めることは難しくなる。Omni-tellに対しては「X=3」を指定すれば《実物提示教育》、《狡猾な願い》、そして最近サイドに忍ばせてあることも多くなってきた《コジレックの帰還》もまとめて封じることができる。特定のマッチでは物凄く強いカードであり、環境の半数近くの戦略に有効だから、《護衛募集員》のサーチ用にメインに1枚入れている。メタによってはサイドにもう1枚追加で入るよ。
◆ 各デッキに対するサイドプラン
vs. Miracles
Out
In
vs. Grixis Delver
Out
In
vs. Lands
Out
In
vs. ANT
Out
In
vs. Mirror
Out
In
――《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》は最近Death and Taxesのサイドでよく見かけるようになったカードだけど、対処法が限られているMiraclesやShardless Sultaiとのマッチアップで特に強そうだね。
Mack: トークンを出してアドバンテージを稼ぎつつ、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》自身もアタックに行けるから、コントロールに特に強いカードだね。スイスラウンドでもMiraclesと数回当たっていて、サイド後の勝利に貢献したよ。
――最後にこのデッキをトライしてみたいというプレイヤーに何かアドバイスをお願いできる?
Mack: そうだな……僕ができるアドバイスは、色々なマッチアップを練習して各マッチアップにおける立ち位置を見極めることが重要だ、ということだね。たとえばコンボとの対戦ではヘイトベアーで相手の行動を縛りつつクロックをかけていくアグロだけど、テンポデッキとのマッチアップでは除去や装備品を使ってコントロールデッキのように振る舞う。白単色のアグロに見えるけどコントロール的な要素もあって、このデッキは見た目よりも遥かに複雑だということを理解するのも大切だね。デッキ内のカードも、練習を繰り返すことによって各カードの状況に応じた役割を見つけていくことで、見た目以上の強さを見せてくれるはずだよ。
――今回は連載の為のインタビューに協力してくれてありがとう!
”白単色のアグロ”という一見するとシンプルな戦略の中に様々な要素が詰め込まれており、使いこなすには他のレガシーのデッキと同様にやり込みが必須のようです。《意志の力》や《渦まく知識》を使ったデッキ以外のデッキを試してみたいという方にもお勧めです。また、デッキ内のパーツの多くは『エターナルマスターズ』や他のセットから再録されたカードが多く、高額なデッキが多いレガシーの中ではお値段的にもリーズナブルです。
1 《冠雪の森》 1 《冠雪の沼》 3 《Bayou》 4 《新緑の地下墓地》 1 《ボジューカの沼》 1 《セジーリのステップ》 4 《暗黒の深部》 4 《演劇の舞台》 1 《幽霊街》 3 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地 (23)- 4 《吸血鬼の呪詛術士》 4 《Elvish Spirit Guide》 -クリーチャー (8)- |
4 《輪作》 4 《思考囲い》 2 《コジレックの審問》 1 《強迫》 4 《森の占術》 1 《北方行》 3 《この世界にあらず》 1 《森の知恵》 4 《水蓮の花びら》 3 《真髄の針》 2 《探検の地図》 -呪文 (29)- |
4 《虚空の杯》 3 《外科的摘出》 3 《突然の衰微》 1 《カラカス》 1 《クローサの掌握》 1 《真髄の針》 1 《冬の宝珠》 1 《世界のるつぼ》 -サイドボード (15)- |
今年度のアメリカのEternal Weekendを制したのは《暗黒の深部》コンボでした。Landsなどでもお馴染みの《演劇の舞台》+《暗黒の深部》のコンボに加えて《吸血鬼の呪詛術士》も採用されており、コンボにフォーカスした構成になっています。一度着地したMarit Lageに触ることが難しいDelver系やShardlessと相性が良く、コンボスピードも速いので他のコンボとも相性は悪くありません。《剣を鍬に》などの妨害手段が多いMiraclesやDeath and Taxesとのマッチアップは、メインでは微不利となります。勝ち手段を特殊地形に頼っているので、《血染めの月》を使ったデッキも相性の悪いマッチアップとなります。
☆注目ポイント
Landsの主なフィニッシャーとしても採用されている《暗黒の深部》は《演劇の舞台》でコピーすることでMarit Lageを生み出す手段以外にも、《吸血鬼の呪詛術士》のカウンターを取り除く起動能力によっても20/20を出すことが可能で、ブロッカーにもなりプレインズウォーカー対策にもなります。
《森の占術》《輪作》《探検の地図》など、《暗黒の深部》や《演劇の舞台》のようなコンボパーツの土地をサーチする手段が豊富であり、マナ加速の《水蓮の花びら》や《Elvish Spirit Guide》を利用して最速でコンボを決めに行きます。特に《探検の地図》は無色なので《血染めの月》の影響下でも使えます。《輪作》は相手の除去に対応して《セジーリのステップ》をサーチしてくることで、カウンターのように使うことも可能です。
《森の知恵》は緑デッキにおける最高のドロースペルで、Marit Lageが《剣を鍬に》されてもそれによって得た20ライフをリソースに変換することを可能とし、再度コンボを仕掛けることが容易になります。
《思考囲い》《強迫》《コジレックの審問》の3種類のハンデスは安全確認も兼ねています。主にMarit Lage対策に相手が抱えているであろう《剣を鍬に》を落とします。プロアクティブに使えるのが強みで、他のコンボ相手にも相手の始動を妨害することがが可能です。
また、相手の《カラカス》対策に《真髄の針》がメインから採用されています。《師範の占い独楽》や《騙し討ち》《不毛の大地》《グリセルブランド》《ヴェールのリリアナ》なども止められるので、腐り難いのが強みです。《不毛の大地》を指定することも多いため、《幽霊街》が採用されているなど細かい調整の跡が見られます。
《この世界にあらず》はパワー7以上のクリーチャーを対象にした呪文や能力を打ち消すスペルです。苦労して生み出した20/20も《剣を鍬に》などには無力なので、この無色のカウンターできっちりと守っていきたいところです。20/20の攻撃が無事に通れば勝ちであるこのデッキでは、色を問わない事も含めて最高の保護スペルとなります。そして、呪文だけでなく能力による妨害からも守れるのが特徴です。《カラカス》対策も兼ねており、主にMiraclesとDeath and Taxesに対して有効です。
サイドには人気がありメインでは少し厳しいMiraclesやDeath and Taxes、Landsなどの墓地をリソースとしたデッキ対策に多くのスペースが割かれています。
《虚空の杯》は主にコンボやMiraclesとのマッチアップでサイドインされるカードで、Miracles相手には相手の《剣を鍬に》を始めとする1マナスペルをシャットアウトすることが主な使い方となります。もちろん、このデッキにも1マナのスペルが多数採用されているので、タイミングに気を付けたいところですが、多くの場合は相手のドロースペルや《師範の占い独楽》のキャストを止められるので、相手の被害の方が大きくなります。
《冬の宝珠》は最近Grixis Delverなどのサイドでもよく見かけるカードで、MiraclesやLands相手にサイドインされます。
《突然の衰微》はMiracles、Death and Taxes、Delverとのマッチアップで頼りになる除去なので、現環境ではメインに数枚入れていても問題ないスペルです。
今回のリストには採用は見送られていますがDeath and Taxesの使用率が上昇傾向にあるので、Delverなどにも効果がある全体除去の《毒の濁流》も採用してみてもいいかもしれません。
SCGO Baltimore
~Shardless SultaiがMiraclesのエキスパートに勝利~
2016年11月5-6日
※画像は【Star City Games】より引用させていただきました。 |
1位 Shardless Suitai
2位 Miracles
3位 Lands
4位 Lands
5位 Bant Deathblade
6位 Loam
7位 Grixis Delver
8位 Miracles
トップ16のデッキリストは【こちら】
レガシーの大きな大会らしくGrixis DelverとMiraclesが2日目のトップメタで、次点でEldraziとDeath and Taxes。その下に4C Delver、UR Delver、Landsといったデッキが続きます。【メタゲーム・ブレイクダウン】によれば、Eternal Weekendで多数の入賞者を出したDeath and Taxesは今大会では上位に1人も残らず、2日目最大勢力だったDelver系に強いLandsが上位入賞を収めています。
4 《島》 2 《平地》 2 《Tundra》 2 《Volcanic Island》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《沸騰する小湖》 1 《乾燥台地》 1 《魂の洞窟》 2 《カラカス》 -土地 (22)- 3 《瞬唱の魔道士》 3 《ヴェンディリオン三人衆》 2 《造物の学者、ヴェンセール》 -クリーチャー (8)- |
4 《渦まく知識》 3 《剣を鍬に》 2 《思案》 2 《呪文嵌め》 2 《天使への願い》 3 《意志の力》 4 《終末》 4 《相殺》 4 《師範の占い独楽》 2 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文 (30)- |
3 《狼狽の嵐》 2 《赤霊破》 2 《外科的摘出》 2 《基本に帰れ》 2 《Moat》 1 《コジレックの帰還》 1 《紅蓮破》 1 《摩耗+損耗》 1 《仕組まれた爆薬》 -サイドボード (15)- |
MiraclesマスターのJoe Lossettは【グランプリ・コロンバス2016】で使用していた伝説のクリーチャーを多数搭載したLegend Miraclesで、惜しくも優勝は逃しましたがColumbusと同様に準優勝と安定した成績を残しています。メインはほぼ変わらずサイドに微調整が加えられています。
☆注目ポイント
《ヴェンディリオン三人衆》や《造物の学者、ヴェンセール》といったETB能力付きの伝説のクリーチャーを多数搭載しており、それらを駆使して相手の行動を妨害しつつ、クロックもかけていくことが可能です。《造物の学者、ヴェンセール》と《カラカス》の組み合わせによって他のリストよりも装備品や《ヴェールのリリアナ》、そして最近見かけるようになった《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》といったプレインズウォーカーにも触りやすくなっています。
グランプリ・コロンバス2016のリストとの違いは《意志の力》と《思案》1枚ずつが《呪文嵌め》2枚に代えられています。対象に困ることが少なく、先手のときは特にEldraziなどの《虚空の杯》「X=1」もわずか1マナでカウンターするので、Show and Tell系以外のほとんどのデッキに有効であり、メイン採用も納得の強さです。速いコンボデッキが少ないメタを想定していたのか《意志の力》は3枚で、コンボ相手にはサイド後に《狼狽の嵐》が3枚投入されます。
サイドの《コジレックの帰還》は最近レガシーでも見られるようになってきたカードです。「欠色」なので流行りの《ルーンの母》のプロテクションも無視できるのが強みです。
墓地対策の枠は《安らかなる眠り》が《外科的摘出》に代えられています。ヨーロッパのEternal Weekendを制したことで注目を集め、アメリカのEternal Weekendでも入賞を収めていたBR Reanimatorはコンボ速度もあるので軽いインスタントである《外科的摘出》の優先度が一層高くなります。
《Moat》は他のリストでもサイドに1枚見られるカードです。Eldrazi、Death and Taxes、Shardless SUltai、Jund、《真の名の宿敵》を使ったデッキなど、環境のクリーチャーデッキの多くは飛行クリーチャーが少なく、一度張って飛行クリーチャーと置物対策さえケアすれば、《精神を刻む者、ジェイス》や《天使への願い》を引くまでの時間を稼ぐことが可能です。同型に対しても《精神を刻む者、ジェイス》や《天使への願い》を減らした《僧院の導師》型に有効なので、高額なカードですが採用したいカードです。
4 《溢れかえる岸辺》 4 《汚染された三角州》 1 《Scrubland》 3 《Tropical Island》 2 《Tundra》 1 《Underground Sea》 4 《不毛の大地》 -土地 (19)- 4 《死儀礼のシャーマン》 3 《貴族の教主》 4 《石鍛冶の神秘家》 4 《真の名の宿敵》 1 《トレストの使者、レオヴォルド》 -クリーチャー (16)- |
4 《渦まく知識》 4 《目くらまし》 4 《剣を鍬に》 2 《もみ消し》 1 《思案》 4 《意志の力》 1 《森の知恵》 1 《梅澤の十手》 1 《火と氷の剣》 1 《殴打頭蓋》 2 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文 (25)- |
2 《翻弄する魔道士》 2 《流刑への道》 2 《外科的摘出》 2 《突然の衰微》 2 《盲信的迫害》 1 《封じ込める僧侶》 1 《エーテル宣誓会の法学者》 1 《狼狽の嵐》 1 《クローサの掌握》 1 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -サイドボード (15)- |
マナクリーチャー7枚体制のテンポ寄りなDeathbladeで、《目くらまし》などのソフトカウンターも見られ、テンポBantに近い構成になっています。 除去耐性のある《真の名の宿敵》と装備品は、最近流行のDeath and TaxesやEldraziなどのクリーチャーデッキに強く、コンボが減少傾向にあるメタで強さを発揮するタイプのデッキです。
☆注目ポイント
《死儀礼のシャーマン》と《貴族の教主》という7枚のマナクリーチャーの恩恵で、高確率で2ターン目に《真の名の宿敵》や 《トレストの使者、レオヴォルド》といった強力な3マナクリーチャーを展開することが可能です。《目くらまし》と《もみ消し》《不毛の大地》といった”マナ否定パッケージ”も搭載されているので、テンポデッキのように振る舞うことも可能です。
《トレストの使者、レオヴォルド》はShardlessにも採用されており、除去されてもアドバンテージが得られます。このタイプのデッキが苦手とするコンボデッキにも有効なため、Sultaiカラーのフェアデッキでは、定番のクリーチャーとして定着しつつあります。
Death and TaxesやBR Reanimatorが結果を残し続けていることを受けて、対策としてサイドには《封じ込める僧侶》や《盲信的迫害》が見られます。相手の戦場をスイープしつつ、自軍のクリーチャーを強化する《盲信的迫害》はクリーチャーの多いこのデッキの方向性にもマッチしています。
Death and Taxesの定番のサイドカードとして活躍している《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》はこのデッキにも採用されておりDeath and Taxesと同様に装備品と相性が良く、Miraclesなどのコントロールとのマッチアップでサイドインされ、大会中でもスイスラウンドでMiraclesマスターのJoe Lossettとのマッチの勝利に貢献し、トップ8入賞の大きな一押しとなっていました。
総括
Death and Taxesが多数入賞を収めたアメリカのEternal Weekendの結果から、SCGO Baltimoreでは多数のデッキのメイン、サイドに《毒の濁流》、《ゴルガリの魔除け》、《盲信的迫害》といった対策カードが見られ、クリーチャーデッキ全般に強いLandsも勝ち残りました。苦手な高速コンボが少なく、今大会でも上位で多く見られたMiraclesとも相性が良いShardless Sultaiにとっては有利なメタで、SCGO Baltimoreで優勝を収めています。
【前回ご紹介した】ヨーロッパのEternal Weekendで優勝を飾ったBR ReanimatorはアメリカのEternal Weekendでも入賞を収めており、SCGO Baltimoreでも強豪プレイヤーのTodd Andersonが使用しトップ32入賞と、安定した成績を残し続けています。Landsの存在もあり、今後も墓地対策はしっかりしておいた方が良さそうです。
以上、USA Legacy Express vol.116でした。
それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!
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