USA Standard Express vol.126 -『基本セット2019』の新戦力分析-

Kenta Hiroki

 皆さんこんにちは。

 気になっていた禁止改定は、プロツアーのメタを支配しその後の環境にも影響を与えていた《ゴブリンの鎖回し》辺りが禁止になると噂されていましたが、公式の説明にもありました通り『基本セット2019』の新カードによるメタの変化とローテーションが近いのもありノーチェンジでした。

 いよいよ今週末には『基本セット2019』がリリースされ、新環境のスタンダードの大規模な大会としてはアメリカでSCGO Worcester(チーム戦)が開催されます。今回の連載では 『基本セット2019』の注目カードを見ていくと同時に、MOのスタンダード・リーグで結果を残しているリストを見ていきたいと思います。

『基本セット2019』注目のカード

《墓地の司令官》

墓地の司令官

 2マナ3/2というサイズに加えて、(2)(黒)を支払うことで自分の墓地に落ちたクリーチャーを2/2ゾンビクリーチャーに変換する能力を持っているので、同じく『基本セット2019』から加入する《縫い師への供給者》ともシナジーがあります。

 《死の男爵》《戦墓のグール》といったゾンビクリーチャーも再録されているので、新環境ではゾンビ部族アグロも活躍しそうです。

《死が触れぬ者、リリアナ》

死が触れぬ者、リリアナ

 『基本セット2019』から加入するリリアナもゾンビ部族シナジーがあり、ゾンビデッキに採用されそうです。

 「+1」能力はライブラリーからカードを3枚墓地に落とすセルフミル能力で、墓地に落ちたゾンビクリーチャーも《墓地の司令官》の能力でゾンビトークンに変換させることができます。「-2」能力は自軍のゾンビクリーチャーの数に応じて対象のクリーチャーにマイナス修正を与える能力で《墓地の司令官》のゾンビトークンを生み出す能力とも噛み合っています。「-3」能力は起動したそのターンのみ墓地からゾンビクリーチャーをキャストすることを可能にするので《燻蒸》などで流されても立て直せます。

 先程紹介した《墓地の司令官》とともにMOのスタンダードリーグで早速結果を残しており、今後も要注目です。

《闇住まいの神託者》

闇住まいの神託者

 Mono RedやBRの2マナ域のクリーチャーとして採用されそうなクリーチャーで、タフネスが2なので《ゴブリンの鎖回し》で流れないのもポイントです。相手の除去に対応してクリーチャーを生け贄することでアドバンテージも取れます。

《再利用の賢者》

再利用の賢者

 再録カードですが《王神の贈り物》《封じ込め》《排斥》《アズカンタの探索》《キランの真意号》《アルゲールの断血》など現環境にはエンチャントやアーテイファクトが多数存在するので、メインから無理なく採用できる対策は貴重です。

 タフネスが1なので《ゴブリンの鎖回し》に弱い点を除けば優秀なクリーチャーで、今後は緑系デッキの必須カードとなりそうです。

《排斥する魔道士》

排斥する魔道士

 相手のクリーチャーをバウンスするETB能力を持つ《大クラゲ》系クリーチャーで、《王神の贈り物》デッキでも早速使われているようです。

 ウィザード・クリーチャーなのも地味にポイントが高く《魔術師の稲妻》《反復の学部長、ナバン》ともシナジーがあり、旧環境初期で見られたUR Wizardもまた見られるかもしれません。

※編注:公式のページに56枚で掲載されています。

《悔恨する僧侶》

悔恨する僧侶

 《王神の贈り物》《奔流の機械巨人》《スカラベの神》など現環境のスタンダードは墓地を活用した戦略が多く、新環境でも《墓地の司令官》などが加入するので墓地対策は必須となりそうです。《悔恨する僧侶》《トーモッドの墓所》と同様の効果を内蔵したクリーチャーで、スタンダードのみならずモダンなどにも影響を与えるクリーチャーといえるでしょう。

 2マナ2/1飛行とやはり《ゴブリンの鎖回し》には弱くなりますが、《再利用の賢者》同様によく見られるクリーチャーとなりそうです。

《暴君への敵対者、アジャニ》

暴君への敵対者、アジャニ

 《ウルザの後継、カーン》《ドミナリアの英雄、テフェリー》といったプレインズウォーカーと比べると地味な印象ですが、複数のクリーチャーを強化できる「-2」能力、コストが2マナ以下のクリーチャーをリアニメイトする「-2」能力を持ち合わせているのでBW Aggroなどで活躍できる可能性があります。

 新環境では《ベナリアの軍司令》とこのプレインズウォーカーを採用した白いアグロデッキも強そうです。

《破滅の龍、ニコル・ボーラス》

破滅の龍、ニコル・ボーラス覚醒の龍、ニコル・ボーラス

 《ヴリンの神童、ジェイス》などと同様の両面カードで、表はGrixisカラーの4マナ4/4飛行と中々のスペックのクリーチャー。ETBで対戦相手にカードを1枚捨てさせる能力があり、戦場に出た時点でアドバンテージが得られます。タフネスが4あるので火力スペルに強く、伝説なので《喪心》も効きません。またドラゴン・クリーチャーなので《栄光をもたらすもの》の「督励」能力で撃ち落とされることもありません。

 ソーサリースピード限定ではありますがマナを支払うことで《覚醒の龍、ニコル・ボーラス》に変身します。一度変身すれば忠誠値7と中々高くアドバンテージを稼ぎつつ忠誠値を上げることができ、「-3」能力はほぼ《戦慄掘り》、クリーチャーかプレインズウォーカーをリアニメイトする「-4」能力も「-3」能力と上手くかみ合っています。相手のライブラリーを一番下を残して追放する「-12」能力は《精神を刻む者、ジェイス》の奥義を彷彿させる能力で決まればほぼ勝ちです。

 Grixisカラーなのでこのクリーチャーが採用されるのは必然的にGrixis Midrange、Grixis EnergyまたはGrixis Controlになりそうです。旧環境でも猛威を振るったUB MidrangeにこのカードをタッチしたリストがMOのリーグでも早速5-0しており、中にはBR Aggroに青をタッチしたバージョンも見られます。

総括

 『マジック・オリジン』以来の基本セットである 『基本セット2019』を一通り見ていきましたが、基本セットらしく懐かしい再録カードも見られます。MOではリアルに先駆けて新環境のスタンダードがプレイできるので既にリーグの結果も出ており、新環境のデッキではMono Black Zombiesや新カードである《破滅の龍、ニコル・ボーラス》を採用したGrixis Midrangeなどが活躍しそうです。

 今週末には『基本セット2019』環境初陣戦も開催される予定なのでスタンダード好きはお見逃しなく。

 以上USA Standard Express vol.126でした。

 それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!

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