皆さんこんにちは。
いよいよ待ちに待った【グランプリ・千葉2016】が今週末に開催されます。日本国内でも先週末に開催された【第8期レガシー神挑戦者決定戦】など、レガシーの大会が充実していました。レガシーのイベントということで海外からの遠征者も普段よりも多くなりそうなので楽しみですね。
さて、今回の連載では【SCG Classics Columbus】、【SCG Classics Knoxville】 、【第8期レガシー神挑戦者決定戦】の結果を見ていきます。
SCG Classics Columbus
~話題の4C Delverが頂点に~
2016年11月12-13日
※画像は【Star City Games】より引用させていただきました。 |
1位 4C Delver
2位 Mono Red Sneak Attack
3位 Infect
4位 UR Delver
5位 Grixis Delver
6位 Merfolk
7位 Punishing Abzan
8位 Eldrazi
トップ8のデッキリストは【こちら】
今年6月に開催された【GP Columbus】ではMiraclesがプレイオフの半数を占めるという結果になりましたが、同様にColumbusで開催されたSCG ClassicsではなんとMiraclesはプレイオフには一人も勝ち残らず、Grixis Delver、UR Delver、最近徐々に使用率が上がりつつある4C Delverの3種類のDelver系が勝ち残っていました。他にもInfect、Mono Red Sneak AttackといったコンボデッキやEldraziやMerfolkといったアグロなど様々なデッキが見られ、相変わらず混沌としたメタのようです。
SCG Classics Columbus デッキ紹介
「Grixis Delver」「UR Delver」「4C Delver」
今大会で入賞を収めていたGrixis Delver、UR Delver、4C Delverは現在最も結果を残している型で、同じDelver系でもそれぞれ異なるアプローチを施しています。
3 《Volcanic Island》 2 《Underground Sea》 1 《Tropical Island》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《汚染された三角州》 4 《不毛の大地》 -土地 (18)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《秘密を掘り下げる者》 3 《若き紅蓮術士》 1 《真の名の宿敵》 2 《グルマグのアンコウ》 -クリーチャー (14)- |
4 《渦まく知識》 4 《ギタクシア派の調査》 4 《思案》 4 《稲妻》 1 《呪文貫き》 2 《陰謀団式療法》 4 《目くらまし》 1 《四肢切断》 4 《意志の力》 -呪文 (28)- |
2 《悪意の大梟》 2 《紅蓮破》 2 《外科的摘出》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《陰謀団式療法》 1 《暗黒破》 1 《古えの遺恨》 1 《硫黄の渦》 1 《Fire Covenant》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《真髄の針》 1 《冬の宝珠》 -サイドボード (15)- |
Grixis Delverは現環境で最もポピュラーなスタイルで、カウンターとハンデスによる妨害と効率的な除去により一貫性と柔軟性を持ち合わせたデッキです。マナ加速にもダメージ源にもなる《死儀礼のシャーマン》、効率的なクロックの《秘密を掘り下げる者》、カードアドバンテージに《若き紅蓮術士》、フィニッシャーに《グルマグのアンコウ》と揃っています。ANTやSneak and Show、Infectといったコンボ全般に強くEldrazi、Shardlessなど環境の多くのデッキと互角であり、Death and TaxesとMiraclesはやや不利なマッチとなります。相性が悪いマッチアップはLandsです。
☆注目ポイント
メインに一枚採用されていた《ヴェンディリオン三人衆》が《真の名の宿敵》に差し替えられています。除去耐性が高くMiraclesもスイーパーの《終末》や《議会の採決》など一部のスペル以外では対処できないので、クロックとして信頼性が高いクリーチャーです。
サイドの《Fire Covenant》はあまり見かけないカードですが、割り振り可能な火力除去スペルで追加コストとしてペイしたライフによってダメージが変動します。3マナと少し重くなりますがインスタントなので隙も少なく一枚のカードで複数のクリーチャーを除去できるのが強みです。
《冬の宝珠》は軽いスペルを多用し《死儀礼のシャーマン》も採用したこのデッキにとって被害は小さく、マナをロックすることでMiraclesやLandsといったマナや土地を多く必要とするデッキに対して劇的な効果が期待できます。
グランプリ本戦では数が多くなりそうなMiraclesや、相性の悪いLandsに対抗するために《冬の宝珠》は2枚に増量しても良さそうです。
2 《島》 2 《山》 3 《Volcanic Island》 4 《汚染された三角州》 4 《沸騰する小湖》 1 《溢れかえる岸辺》 -土地 (16)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《僧院の速槍》 3 《嵐追いの魔道士》 2 《騒乱の歓楽者》 -クリーチャー (13)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《ギタクシア派の調査》 4 《稲妻》 4 《稲妻の連鎖》 1 《二股の稲妻》 4 《目くらまし》 2 《発展の代価》 4 《意志の力》 -呪文 (31)- |
2 《狼狽の嵐》 2 《外科的摘出》 2 《粉々》 2 《硫黄の渦》 1 《渋面の溶岩使い》 1 《イゼットの静電術師》 1 《紅蓮破》 1 《発展の代価》 1 《水没》 -サイドボード (15)- |
Grixis Delverよりも速度を重視したUR Delverは、青赤の2色にまとめることでマナベースも安定しています。《稲妻の連鎖》や《二股の稲妻》といったバーンスペルが多数採用されており、《発展の代価》までも採用されていることなど、バーンデッキに近い構成となっています。『ゲートウォッチの誓い』から収穫があったのはEldraziだけでなく、このデッキも同セットから速攻持ちの脅威である《嵐追いの魔道士》が追加されています。さらに『異界月』からリソース補充兼フィニッシャーの《騒乱の歓楽者》も加わり、レガシーのアグロデッキの一つとしての地位を確立しています。
☆注目ポイント
軽いスペルを多く採用しているため《僧院の速槍》や《嵐追いの魔道士》といった果敢クリーチャーを活かしやすく、《ギタクシア派の調査》で相手の状況を確認し、デッキを掘り進めたり、火力で相手クリーチャーを除去しつつクロックをかけることが可能です。特に回避能力持ちの《嵐追いの魔道士》はクロックとしての信頼性も高く、スペルを一回キャストするだけで《稲妻》の射程圏外になります。
《騒乱の歓楽者》は手札を減らすことが容易なこのデッキでは中盤以降は2マナ3/4ドロー3という圧倒的なコストパフォーマンスのカードであの《宝船の巡航》を彷彿とさせます。比較的最近のカードですがこのデッキ以外でも最近はバーンでも見られます。
2色なのでマナ基盤も安定しており、他の特殊地形を多用するデッキに対して劇的な効果が望める《発展の代価》や、《血染めの月》を活用することが可能で、これらのカードはマッチアップの相性をひっくり返せるほどのインパクトがあります。
《硫黄の渦》は、Miraclesに対して最高のカードです。3マナなので1, 2マナのスペルと比べると《相殺》にも引っかかりにくく、エンチャントなので対処され難いのもこのカードがコントロールに強い理由です。
3 《Underground Sea》 2 《Tropical Island》 2 《Volcanic Island》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《汚染された三角州》 4 《不毛の大地》 -土地 (19)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《秘密を掘り下げる者》 3 《瞬唱の魔道士》 2 《真の名の宿敵》 2 《グルマグのアンコウ》 -クリーチャー (15)- |
4 《渦まく知識》 4 《稲妻》 4 《思案》 3 《呪文貫き》 4 《目くらまし》 3 《突然の衰微》 4 《意志の力》 -呪文 (26)- |
3 《外科的摘出》 2 《思考囲い》 2 《悪魔の布告》 2 《真髄の針》 2 《梅澤の十手》 1 《狼狽の嵐》 1 《森の知恵》 1 《コラガンの命令》 1 《苦い真理》 -サイドボード (15)- |
アメリカ人プロのBen FriedmanがSCGOで使用し結果を残したことで知名度を高め、アメリカ人プロのJavis Yuも同デッキで今年度のEternal Weekendでトップ8入賞を収めているなど、現在はDelver系のバリエーションの一つとして定着している4C Delverです。先ほどの2種類のDelverよりも《瞬唱の魔道士》など、カードアドバンテージを追求したミッドレンジ寄りとなっており、メインから《相殺》に対処できる《突然の衰微》が採用されているなど、Miraclesとの相性差が改善されています。
☆注目ポイント
《瞬唱の魔道士》は他のDelver系では見られないカードで、除去を使いまわすことでクリーチャーデッキ相手にカードアドバンテージを得ることが可能です。これにより、他のDelverやDeath and Taxesとの相性が良くなっています。アドバンテージ源兼クロックという同じ役割で、トップデッキ勝負の際にインパクトが薄くなる《若き紅蓮術士》が外れているのも特徴です。《瞬唱の魔道士》は爆発力という面では《若き紅蓮術士》には劣りますが、コンボ相手にもクロックを用意しつつ《呪文貫き》、サイド後は《思考囲い》をフラッシュバックすることで妨害という動きも可能で、中盤以降はいつ引いてきても強いクリーチャーです。マナが少し掛かるので《死儀礼のシャーマン》を有効に使っていきたいところです。
Grixis Delverでも言及しましたが、《真の名の宿敵》は攻守に渡って活躍する優秀なクリーチャーです。除去耐性の高さから安定したダメージソースとして活躍します。
サイドボードの《悪魔の布告》はプロテクション持ちの《真の名の宿敵》のようなクリーチャーも除去可能です。Reanimatorや《暗黒の深部》に対しても有効な追加の除去となります。
《梅澤の十手》、《コラガンの命令》、 《森の知恵》、《苦い真理》といったカードが見られ、サイド後は4Cコントロールに変形する構成になっています。他のDelverと比べるとMiracles、Death and Taxes、Shardlessといったコントロールやミッドレンジとの相性が改善されています。しかしながら、Landsだけは相性が悪いマッチアップとなるため、LoamやPunishingエンジン対策に《外科的摘出》が3枚と多めに採られています。
SCG Classics Knoxville
~決勝戦はコンボ対決~
2016年11月19-20日
※画像は【Star City Games】より引用させていただきました。 |
1位 Sneak and Show
2位 ANT
3位 Miracles
4位 Reanimator
5位 Miracles
6位 Grixis Delver
7位 Sneak and Show
8位 Elves
トップ8のデッキリストは【こちら】
最近のレガシーはコンボが減少傾向にありましたがここに来てSneak and Show、ANT、Reanimatorといったコンボが多く勝ち残りトップ8の半数以上がコンボデッキという結果となりました。最近あまり見られなくなったElvesも見られますが、Miraclesや速度で勝るANTやReanimatorが相手では流石に分が悪かったようです。
SCG Classics Knoxville デッキ紹介
「Sneak and Show」「ANT」
3 《島》 1 《山》 3 《Volcanic Island》 4 《沸騰する小湖》 3 《溢れかえる岸辺》 3 《古えの墳墓》 2 《裏切り者の都》 -土地 (19)- 3 《グリセルブランド》 3 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー (6)- |
4 《思案》 4 《渦まく知識》 3 《定業》 2 《呪文貫き》 1 《衝動》 4 《実物提示教育》 3 《狡猾な願い》 4 《意志の力》 1 《直観》 3 《騙し討ち》 3 《全知》 3 《水蓮の花びら》 -呪文 (35)- |
2 《コジレックの帰還》 2 《血染めの月》 1 《すべてを護るもの、母聖樹》 1 《外科的摘出》 1 《狼狽の嵐》 1 《紅蓮破》 1 《直観》 1 《誤った指図》 1 《蟻の解き放ち》 1 《突然のショック》 1 《裂け目の突破》 1 《拭い捨て》 1 《火想者の予見》 -サイドボード (15)- |
Sneak and Showは、ANTと並んでレガシーの代表的なコンボデッキです。《実物提示教育》や《騙し討ち》を経由して《引き裂かれし永劫、エムラクール》や《グリセルブランド》といった強力なファッティを展開してゲームを速やかに終わらせます。コンボに大半のリソースを費やしますが、《グリセルブランド》の能力によるカードドローで補充することも可能です。ANTよりもコンボスピードは遅くなりますが、カウンターによる妨害が充実しているのが特徴です。
☆注目ポイント
Sneak and ShowとOmni-tellをハイブリットした型で《ファイレクシアの破棄者》などで《騙し討ち》を対策されても、《全知》によって《引き裂かれし永劫、エムラクール》や《グリセルブランド》を展開することが可能で《狡猾な願い》によって状況に応じたインスタントスペルをサーチして来れるなど柔軟性が増しています。
相手によってはサイド後は《血染めの月》によるマナロックも可能です。Omni-tellの 《全知》《狡猾な願い》《蟻の解き放ち》によるコンボもあるので対応力があり、対策され難いのが強みです。
2 《島》 1 《沼》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《汚染された三角州》 1 《Tropical Island》 2 《Underground Sea》 1 《Volcanic Island》 -土地 (15)- -クリーチャー (0)- |
4 《渦まく知識》 4 《陰謀団の儀式》 4 《暗黒の儀式》 4 《ギタクシア派の調査》 4 《冥府の教示者》 4 《思案》 3 《強迫》 3 《陰謀団式療法》 2 《定業》 1 《炎の中の過去》 1 《苦悶の触手》 1 《むかつき》 1 《闇の誓願》 4 《ライオンの瞳のダイアモンド》 4 《水蓮の花びら》 1 《師範の占い独楽》 -呪文 (15)- |
4 《僧院の導師》 3 《突然の衰微》 2 《花の絨毯》 1 《Tundra》 1 《蒸気の連鎖》 1 《見栄え損ない》 1 《残響する真実》 1 《クローサの掌握》 1 《虐殺》 -サイドボード (15)- |
マジック史上最も壊れたメカニックの一つ、ストームを活用したレガシーの代表的なコンボデッキです。レガシーをあまりプレイしない方でもご存知の方も多いのではないでしょうか。青いデッキ、特に《師範の占い独楽》+《相殺》を搭載したMiraclesとのマッチアップは難しく、高いスキルが要求されます。双方のプレイヤーのスキルが高い場合はほぼ互角で、ANT側が青いデッキとのマッチアップに慣れていない場合は不利なマッチアップとなり、プレイヤーの腕によって相性が変動します。ハンデスなど妨害要素も充実しており、コンボスピードも速く選択肢も多いので使い続けているファンが多いデッキです。
☆注目ポイント
サイドの《僧院の導師》は除去を減らしてヘイトベアーや《狼狽の嵐》といった追加のカウンターを投入してくる相手に有効なサイド戦略で、キャントリップや軽い非クリーチャースペルを多用するこのデッキにフィットしたクリーチャーです。クリーチャー除去が少ないEldraziに対しても《僧院の導師》は強く、《虚空の杯》を張られてもスペルを空打ちすることでトークンに変換してプレッシャーをかけます。《ザンティッドの大群》や《闇の腹心》対策に《剣を鍬に》を数枚残していることもありますが、Miracles側は特にANT相手には《終末》をサイドアウトしていることが多く有効なサイドプランです。
第8期レガシー神挑戦者決定戦
~レジェンド型のMiraclesが優勝~
2016年11月19日
1位 Miracles
2位 Miracles
3位 Miracles
4位 Grixis Delver
5位 UR Delver
6位 Eldrazi
7位 Eldrazi
8位 Eldrazi
トップ8のデッキリストは【こちら】
グランプリ直前ということもあって、300名とSCG Classicsをはるかに上回る参加者を出した【第8期レガシー神挑戦者決定戦】。アメリカのプロのBen Friedmanもグランプリ・千葉2016の調整のために遠征参加していました。プレイオフはMiracles、Delver系、EldraziといったTier 1デッキが揃い、レガシーの競技大会らしい結果となりました。
第8期レガシー神挑戦者決定戦
「Miracles」「Eldrazi」
Miraclesはここ数年のメタのシフトや禁止カードの改定による環境の変化に対応し続けることで、メタの上位に留まり続けています。現在もEldrazi以外のほとんどのデッキと相性が”五分から有利”で、環境のベストデッキとして間違いありません。
今大会、見事に神への挑戦権を獲得したカワイ選手のリストは、《造物の学者、ヴェンセール》や《ヴェンディリオン三人衆》といった伝説のクリーチャーがメインから搭載されたSCGの強豪プレイヤーのJoe Lossettのリストに近い構成です。しかし、《予報》やサイドの《僧院の導師》なども含まれており、レジェンド型とヨーロピアン型(土地少な目ドロースペル多数搭載型)がハイブリットされており、全体的に丸い構成となっています。
☆注目ポイント
《造物の学者、ヴェンセール》と《カラカス》、《ヴェンディリオン三人衆》が減らされ《思案》や《精神を刻む者、ジェイス》が増量され、《予報》も加えられクリーチャーによるコントロールよりもドロースペルによるアドバンテージが優先されています。《紅蓮破》に弱いのが難点ですが《精神を刻む者、ジェイス》はコントロールマッチでは最高のフィニッシャーで、同型では《相殺》と並んで重要なカードとなります。2枚採用するリストが多いのですが、ミラーでは決め手になるカードであり、3枚採用することで他のリストよりも積極的にキャストすることができます。
《予報》は、最近は日本国内でも採用しているリストが多く見られるようになりました。カードドローは土地を20-21枚にまで絞ったバージョンでも土地事故を起こしにくくなり、《渦まく知識》や《思案》などとのシナジーがあり《虚空の杯》で1マナのドロースペルが止められても、勝ち手段や対策カードを引き当てた場合に、不要なカードを墓地に送ることで常にライブラートップの新鮮さを保つことに貢献します。
《罠の橋》は《Moat》と異なり、《突然の衰微》で割られてしまうのがネックとなりますが、1マナ軽く色拘束も無いのでキャストしやすく、無色なので 《全ては塵》で流れないのも地味ながら重要です。Joe Lossettのリストで《僧院の導師》が不採用な理由の一つに、”サイドの《Moat》とのディスシナジー”があります。《罠の橋》なら手札の枚数を調整することでEldraziの《難題の予見者》や《現実を砕くもの》といった大型のクリーチャーを止めつつ、《僧院の導師》やトークンでアタックすることも可能です。
環境のベストデッキであるMiraclesに対抗し得る戦略として真っ先に挙げられるのが、『ゲートウォッチの誓い』から高性能のエルドラージクリーチャーが登場したことにより誕生したデッキである、Eldraziです。元々1マナのドロースペルを多用する青いデッキや、コンボに対して強かった2マナランドから、最速1ターン目に《虚空の杯》によって相手の行動を著しく制限するプリズンデッキの中でも一貫性があるデッキで、登場して間もなくレガシーの大会の上位でよく見られるようになりました。《エルドラージの寺院》などの2マナランドや、無色スペルのコストを軽減する《ウギンの目》による爆発力をもち、《魂の洞窟》も採用されているため、カウンターを無視して展開することが可能です。
《裏切り者の都》を除くと、最近のカードや再録されたカードがデッキの多数を占めるため、数あるレガシーのデッキの中でも比較的安価で組むことが可能です。プレイングも簡単で、《ウギンの目》が禁止される前のモダンでEldraziを使っていたプレイヤーによっては、当時と同じような感覚で使っていけるでしょう。普段あまりレガシーに触れる機会がない方にもお勧めできるデッキです。
☆注目ポイント
カタカワ選手のリストは、メインから《忘却蒔き》や《絶え間ない飢餓、ウラモグ》といった大型のエルドラージクリーチャーが採用されており、ロングゲームに強い構成でMiraclesを意識した構成です。そのため、多くのリストでは2-3枚の《裏切り者の都》も4枚採用され、2マナランドは12枚体制です。 メイン、サイドともに《全ては塵》、そしてサイドの《漸増爆弾》は、《血染めの月》、《僧院の導師》、《罠の橋》、《Moat》などの置物対策です。また、《イシュ・サーの背骨》は《実物提示教育》で出すことができるので、Omni-tellなどの《実物提示教育》を使ったデッキへの対策カードとして採用されています。
MiraclesとANTに対して強く、Grixis Delverとはほぼ五分で、Death and Taxes、Shardless Sultaiに対してはやや不利で、Landsが不利なマッチアップとなります。そのため、Loamエンジン対策に《虚空の力線》が4枚採用されています。クリーチャーやプレインズウォーカーを一掃できる《全ては塵》はShardless Sultaiとのマッチアップでも有効で、《ウギンの目》の恩恵でたいていの場合は5マナでキャスト可能です。
総括
今週末に開催されるグランプリ・千葉2016は年内最後の大規模なレガシーのイベントとして世界中から注目を集めています。ヨーロッパやアメリカからの遠征者もいつもより多くなりそうなので、レベルの高いゲームが期待できそうです。最近はEldraziやDeath and Taxesといった《渦まく知識》を使わないデッキも結果を残し続けており、アメリカとヨーロッパで開催されたEternal WeekendではBG DDやBR Reanimatorなど定番のデッキ以外も結果を残していることからも、レガシーというフォーマットで成功する鍵は自分の使用するデッキの理解度とプレイングが重要であることが分かります。
本戦に参加される方や観戦される皆さんの参考になれたのなら幸いです。
以上USA Legacy Express vol.117でした。
それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しい週末を!
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