皆さんこんにちは。今年からSCG関連のレガシーのイベントが少なくなり、我々レガシーファンとしては寂しい所です。しかし、その分レガシーコミュニテイーの繋がりは強く、アメリカでも各地の主催者がレガシーの競技大会を開催しています。
今回の連載ではその中の一つである、アメリカ、オレゴン州のポートランドで開催された【Time Vault Games Invitational in Portland, Oregon】 の入賞デッキを見ていきたいと思います。
Time Vault Games Invitational in Portland, Oregon トップ8
~Miracles一強時代の終焉~
2017年1月24日
※画像は【Time Vault Games】より引用させていただきました。 |
1位 Sultai Control
2位 Dark Bant Blade
3位 BR Reanimator
4位 Grixis Delver
5位 Infect
6位 Shardless Sultai
7位 ANT
8位 Sultai Control
トップ8のデッキリストは【こちら】
レガシーとスタンダードで競われたTime Vault Games Invitational in Portland, Oregonの上位はSultaiカラーのデッキが多数とコンボで占められ、環境最強とされているMiraclesは不在でした。
入賞を収めたSultaiデッキは、【グランプリ・ルイビル2017】を制したReid Dukeの使用していた《真の名の宿敵》 と《トレストの使者、レオヴォルド》を搭載したスタイルや、Shardless、Reid Duke型Sultaiの原型であったDeath Bladeといった複数のバリエーションが見られました。コンボデッキはSneak and Showは不在で、ANTとBR ReanimatorそしてInfectが勝ち残っていました。
BR Reanimatorはマジックオンラインでも人気があり、グランプリ・ルイビル2017でも準優勝という好成績を残しているデッキで、非青コンボデッキの代表格として定着しています。
Time Vault Games Invitational in Portland, Oregon デッキ紹介
「Sultai Control」「Dark Bant blad」「Shardless Sultai」「BR Reanimator」
1 《森》 1 《島》 3 《Underground Sea》 2 《Tropical Island》 1 《Bayou》 4 《霧深い雨林》 4 《汚染された三角州》 2 《新緑の地下墓地》 3 《不毛の大地》 -土地 (21)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《貴族の教主》 1 《タルモゴイフ》 4 《真の名の宿敵》 2 《トレストの使者、レオヴォルド》 -クリーチャー (15)- |
4 《渦まく知識》 3 《目くらまし》 2 《思案》 2 《思考囲い》 3 《突然の衰微》 1 《森の知恵》 4 《意志の力》 1 《残忍な切断》 1 《梅澤の十手》 3 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文 (24)- |
2 《致命的な一押し》 2 《精神壊しの罠》 2 《虚空の力線》 2 《真髄の針》 1 《思考囲い》 1 《外科的摘出》 1 《ゴルガリの魔除け》 1 《仕組まれた疫病》 1 《苦い真理》 1 《水没》 1 《梅澤の十手》 -サイドボード (15)- |
グランプリ・ルイビル2017以来コンスタントに結果を残し続けているSulati Control。長らく環境を支配していたMiraclesに対抗しつつ、フェアデッキを中心に他のデッキにも強いデッキであり、停滞が懸念されていたレガシー環境のシェイクアップに貢献しています。
《死儀礼のシャーマン》と《貴族の教主》という2種類のマナクリーチャーが支える安定したマナ基盤により、3色ながら《不毛の大地》も運用しやすく、《目くらまし》をバックアップに《トレストの使者、レオヴォルド》などの3マナクリーチャーを2ターン目に展開しやすくしており、コントロールとカテゴライズされていますが、実際はテンポデッキに近い構成です。
☆注目ポイント
『霊気紛争』の新カードである《致命的な一押し》が、サイドに早速採用されています。
歴代でも最高クラスの黒の1マナインスタント除去で、《死儀礼のシャーマン》や《タルモゴイフ》など、環境の多くのクリーチャーを処理することが可能です。レガシーにはフェッチランドや《不毛の大地》などがあるので「紛争」を誘発させることも容易で、これまで黒の1マナ除去として使われていた《見栄え損ない》よりも優秀です。
BR Reanimatorなどの墓地を使ったコンボデッキが結果を残し続けているので、サイドには《外科的摘出》の他にも《虚空の力線》が採用されています。現在のレガシーでは墓地対策はしっかりしておきたい所です。
3 《Underground Sea》 2 《Tundra》 1 《Bayou》 1 《Savannah》 1 《Scrubland》 1 《Tropical Island》 4 《汚染された三角州》 4 《湿地の干潟》 2 《霧深い雨林》 3 《不毛の大地》 -土地 (22)- 4 《死儀礼のシャーマン》 2 《貴族の教主》 3 《石鍛冶の神秘家》 2 《ヴリンの神童、ジェイス》 3 《真の名の宿敵》 2 《トレストの使者、レオヴォルド》 -クリーチャー (16)- |
4 《渦まく知識》 4 《剣を鍬に》 3 《思考囲い》 2 《思案》 4 《意志の力》 1 《梅澤の十手》 1 《殴打頭蓋》 2 《ヴェールのリリアナ》 1 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文 (22)- |
3 《突然の衰微》 2 《翻弄する魔道士》 2 《狼狽の嵐》 2 《安らかなる眠り》 1 《盲信的迫害》 1 《苦い真理》 1 《至高の評決》 1 《議会の採決》 1 《精神を刻む者、ジェイス》 1 《情け知らずのガラク》 -サイドボード (15)- |
True Name Sultai Controlの原型になったDark Bant Bladeも入賞を収めました。《死儀礼のシャーマン》に加え《貴族の教主》も採用されているなど、Deathbladeよりもマナベースが安定しており、Sultaiと同様に《真の名の宿敵》などの3マナの脅威を2ターン目に展開することが可能で、テンポ寄りのStonebladeです。
《石鍛冶の神秘家》と装備品のパッケージ、優秀な除去のおかげでフェアデッキに強いデッキです。マナクリーチャーから展開するのでスイーパーでアドバンテージを取られやすく《突然の衰微》もサイドに落とされているため、Miraclesには少し弱くなっています。
☆注目ポイント
メインはそれ程コンボに対して強いとは言えない構成なので、サイドには《狼狽の嵐》や《翻弄する魔道士》、BR Reanimatorなどの墓地コンボ対策に《安らかなる眠り》といった、追加のコンボ対策が採用されています。
《翻弄する魔道士》はMiraclesに対してもスイーパーである《終末》を禁止にしつつクロックにもなるので、サイドインされます。
Sultaiなどに対してはマナクリーチャーを事前に除去しておく必要がありますが、《ヴェールのリリアナ》は有力な《真の名の宿敵》対策になります。
《トレストの使者、レオヴォルド》はこのデッキにも採用されており、マナクリーチャーを利用することで2ターン目から展開が可能で、《石鍛冶の神秘家》など除去の的になるクリーチャーが多いので生き残りやすくなります。
ElvesやDeath and Taxesの小型クリーチャーをまとめて除去する《盲信的迫害》は《真の名の宿敵》対策にもなり、《至高の評決》と共にSultaiとのマッチアップでも使えます。
1 《沼》 3 《Underground Sea》 2 《Tropical Island》 2 《Bayou》 4 《新緑の地下墓地》 4 《汚染された三角州》 1 《血染めのぬかるみ》 1 《霧深い雨林》 2 《忍び寄るタール坑》 2 《不毛の大地》 -土地 (22)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《断片無き工作員》 4 《タルモゴイフ》 2 《悪意の大梟》 1 《トレストの使者、レオヴォルド》 -クリーチャー (15)- |
3 《祖先の幻視》 4 《渦まく知識》 2 《思考囲い》 1 《致命的な一押し》 4 《突然の衰微》 1 《トーラックへの賛歌》 1 《大渦の脈動》 3 《意志の力》 1 《ヴェールのリリアナ》 2 《精神を刻む者、ジェイス》 1 《情け知らずのガラク》 -呪文 (23)- |
2 《トーラックへの賛歌》 2 《虚空の力線》 1 《致命的な一押し》 1 《ゴルガリの魔除け》 1 《毒の濁流》 1 《意志の力》 1 《神聖の力線》 1 《墓掘りの檻》 1 《虚無の呪文爆弾》 1 《真髄の針》 1 《サーボの網》 1 《無のロッド》 1 《梅澤の十手》 -サイドボード (15)- |
True Name Sultai Controlだけではなく既存のSultai系であるShardless Sultaiも結果を残しています。True Name Sultai Controlと異なり、「続唱」によるアドバンテージで圧倒するミッドレンジ寄りのデッキで、Sultai系の新戦力である《トレストの使者、レオヴォルド》や《致命的な一押し》も見られるなど、最近リリースされたセットの影響を受けています。
☆注目ポイント
ドロースペルの《祖先の幻視》や、ハンデスの《トーラックへの賛歌》の枚数が減量され、《トレストの使者、レオヴォルド》や《情け知らずのガラク》が採用されています。
《トレストの使者、レオヴォルド》はこのデッキが苦手とするコンボとのマッチアップにも強く、このデッキでも主力のクリーチャーとして活躍しています。
メインから採用されている《情け知らずのガラク》は4マナなので《突然の衰微》で処理されず、小型クリーチャーに対しては除去としても使用可能で、トークンを生み出しアドバンテージを提供し続けるので、MiraclesやSultai系、Death and Taxesとのマッチアップで強さを発揮するプレインズウォーカーです。
《致命的な一押し》はこのデッキでもメインとサイドにそれぞれ1枚ずつ採用されており、環境の多くのクリーチャーを除去できるのでクリーチャーデッキに対しては「続唱」して嬉しいスペルの一つです。
他のデッキと同様にReanimatorなどを警戒して墓地対策がサイドに見られます。
2 《沼》 4 《Badlands》 4 《汚染された三角州》 3 《血染めのぬかるみ》 -土地 (13)- 2 《狂気の種父》 4 《別館の大長》 4 《グリセルブランド》 1 《潮吹きの暴君》 -クリーチャー (11)- |
4 《暗黒の儀式》 4 《納墓》 4 《信仰無き物あさり》 4 《再活性》 4 《思考囲い》 4 《死体発掘》 4 《暴露》 4 《動く死体》 4 《水蓮の花びら》 -呪文 (36)- |
4 《集団的蛮行》 4 《要塞の計略》 2 《真髄の針》 1 《墓所のタイタン》 1 《大修道士、エリシュ・ノーン》 1 《魅力的な執政官》 1 《エメリアの盾、イオナ》 1 《墨溜まりのリバイアサン》 -サイドボード (15)- |
多くのデッキが墓地対策を用意していたのにもかかわらず、今大会でも結果を残したBR Reanimator。青いReanimatorと異なり儀式スペルなどのマナ加速を採用しているので、1-2ターン目からコンボを誘発させることが可能です。
《信仰無き物あさり》を除いてドロースペルが不在なので、ロングゲームは想定されていないオールインコンボです。そのため、マリガンは重要で《信仰無き物あさり》や《納墓》を求めてマリガンすることが多くなります。
効率的な除去である《致命的な一押し》や、除去耐性のある《真の名の宿敵》の影響を受けないデッキなので、墓地対策の枚数次第ですが、今後もよく見られるデッキとなりそうです。
☆注目ポイント
《思考囲い》《暴露》《集団的蛮行》《別館の大長》など、青くないデッキとしては妨害要素が豊富で、特に《別館の大長》は妨害要素であると同時にリアニメイトスペルの対象で、コンボやDelver系に対して早い段階で展開すれば対策され難く、有効なフィニッシャーとなります。
サイドにフルに採用されている《集団的蛮行》は、カウンターを対策しつつ《死儀礼のシャーマン》などの妨害要素を持つクリーチャーを除去します。手札を捨てることが「増呪」のコストなので、クリーチャーを墓地に置く手段にもなり、Reanimatorのような墓地コンボにとっては理想的なスペルです。
《狂気の種父》は1ターン目にリアニメイトできれば相手はハンドを失うので、その後数ターン以内に土地と除去を引かれなければゲームが終わります。
《潮吹きの暴君》は除去耐性はないものの、墓地対策以外で厄介なパーマネントである《罠の橋》などを対策する手段になりマナ加速が多数採用されているこのデッキでは能力も誘発させやすくなっています。
《魅力的な執政官》はクリーチャーによって勝利を目指すデッキ全般をシャットアウトします。除去耐性がないのは難点ですが、《突然の衰微》など、流行りのSultaiの主力の単体除去に引っかからないのが強みです。
《エメリアの盾、イオナ》は単色デッキやコンボに対してサイドインされるクリーチャーです。《墓所のタイタン》は単体除去が中心のフェアデッキに対して強く伝説のクリーチャーではないので《カラカス》にも耐性があり、Death and Taxesに対しても強いクリーチャーです。被覆持ちの《墨溜まりのリバイアサン》も同様に単体除去が中心のデッキに対してサイドインされます。
《大修道士、エリシュ・ノーン》はDelver系やElvesなど、クリーチャーデッキに対してスイーパーとなるクリーチャーで後続もほぼシャットアウトします。
BR Reanimatorはサイド後の対策カードの多くに対してもコンボスピードで勝りますが、ゲーム開始時に張られる《虚空の力線》は厄介です。サイドの《要塞の計略》は《虚空の力線》など墓地対策された際にファッティを戦場に出す手段となります。
《暴露》などのハンデスで相手の手札からクリーチャーを除外してからキャストすることになります。最近では《真髄の針》が多くのデッキのサイドで見られるようになったので、《騙し討ち》よりも有効な選択肢です。
総括
《トレストの使者、レオヴォルド》に加え、新カードである《致命的な一押し》によってSultai系のデッキさらに強化されました。
《稲妻》や《剣を鍬に》にアクセスができるJeskaiやGrixisなどと比べると効率的な1マナ除去に貧しかったSultaiですが、環境の多くのクリーチャーに触れる《致命的な一押し》の登場により改善されそうです。
コンボスピードの速いBR Reanimatorに対しては中途半端なスピードの対策では《グリセルブランド》にカードを大量に引かれた後にファッティに押しつぶされてしまいます。そのため、多くのデッキのサイドに《虚空の力線》が見られるようになりました。BR Reanimatorは環境の代表的なコンボデッキとしての地位を確立しつつあるので、今後も対策は必須となりそうです。
以上USA Legacy Express vol.122でした。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!
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