USA Legacy Express vol.128 -様々なデッキが、新環境で活躍-

Kenta Hiroki

 皆さんこんにちは。

 今月はアメリカ、ラスベガスでレガシーのGPが開催されます。アメリカでレガシーのGPが開催されるのは昨年のグランプリ・コロンバス2016以来で、禁止改定後の新環境初のGPでもあるので楽しみです。

 さて、今回の連載ではSCGO LouisvilleSCG Classics Louisville、そしてMagic Onlineで毎週末に開催されるLegacy Challengeで入賞していたデッキを見ていきたいと思います。

SCGO Louisville
~新環境最高の1マナ域のカードは《死儀礼のシャーマン》

5月20日

※画像はStarCityGames.comより引用させていただきました。


1位 Grixis Delver
2位 Sultai Control
3位 Lands
4位 Mono Red Sneak Attack
5位 Grixis Delver
6位 4C Delver
7位 Omni-tell
8位 Eldrazi

トップ8のデッキリストはこちら

 スタンダード、モダン、レガシーの三つの異なる構築フォーマットで行われるチーム戦という特殊な形式でしたが、多くのプレイヤーは《師範の占い独楽》禁止後の環境における最高のデッキとしてGrixis Delverを選択していました。MOでは《もみ消し》型と《陰謀団式療法》型が見られますが、今大会では《陰謀団式療法》型が多数派だったようです。

 またトップ8には残らなかったものの、ANTもMiraclesが弱体化したことにより以前よりも有利なポジションにあり、Grixis Delverの次に高い二日目進出率でした。またANTなどのコンボデッキに対しては不利なものの、Grixis Delverを始めとした青いフェアデッキ全般に強いLandsも少数ながら勝ち残っています(メタゲームブレイクダウン、参照)。

SCGO Louisville デッキ紹介

「Lands」


Jeff Stevens「Lands」
SCGO Louisville(3位)

1 《森》
3 《Taiga》
1 《吹きさらしの荒野》
1 《樹木茂る山麓》
4 《燃え柳の木立ち》
1 《地平線の梢》
1 《ボジューカの沼》
1 《平穏な茂み》
4 《リシャーダの港》
4 《演劇の舞台》
4 《不毛の大地》
3 《暗黒の深部》
2 《イス卿の迷路》
1 《幽霊街》
1 《Glacial Chasm》
1 《The Tabernacle at Pendrell Vale》

-土地 (33)-


-クリーチャー (0)-
4 《輪作》
4 《罰する火》
4 《ギャンブル》
4 《壌土からの生命》
4 《踏査》
2 《マナ結合》
1 《溶鉄の渦》
4 《モックス・ダイアモンド》

-呪文 (27)-
4 《抵抗の宝球》
3 《クローサの掌握》
2 《外科的摘出》
2 《漸増爆弾》
2 《アメジストのとげ》
1 《蛮族のリング》
1 《カラカス》

-サイドボード (15)-
hareruya


 今大会で最大勢力であったDelver系に有利なLandsもまた、Miraclesが弱体化したことにより相対的に強さを増したデッキの一つです。

踏査マナ結合

 《踏査》《マナ結合》といった1ターンに複数の土地を置くことを可能にするエンチャントを設置し、《リシャーダの港》《不毛の大地》で相手の行動を制限しながら《壌土からの生命》によって《不毛の大地》などを使い回していきます。必要なカードは《ギャンブル》にでサーチ可能で、《壌土からの生命》や土地はたとえ墓地に落ちても回収可能です。

罰する火燃え柳の木立ち

 《罰する火》エンジンが搭載されているのもクリーチャーを主力とするデッキに強い理由の一つです。

暗黒の深部演劇の舞台輪作

 主な勝ち手段は《暗黒の深部》《演劇の舞台》によるコンボです。《輪作》を利用することによりインスタントスピードで破壊されない20/20を展開することも可能で、《致命的な一押し》などで触れないのが強みです。

☆注目ポイント

溶鉄の渦
 Jeffのリストは《暗黒の深部》《演劇の舞台》以外にも、《溶鉄の渦》が追加の勝ち手段としてメインから採用されています。1マナと軽く、赤マナを支払って土地を捨てるたびに2ダメージを与えるエンチャントで、《壌土からの生命》を利用することで、最低でも毎ターン6点のダメージを与えることが可能となり、強力なクロックとなります。対戦相手に《血染めの月》を置かれてしまった際にも機能する有効なバックアップ手段です。

漸増爆弾

 サイドの《漸増爆弾》も同様に《血染めの月》対策となり、墓地をリソースとするこのデッキにとって厄介な《安らかなる眠り》などの置物対策にもなります。

抵抗の宝球アメジストのとげ

 Miraclesの弱体化によりサイドのスペースにも余裕ができたので、《抵抗の宝球》《アメジストのとげ》といった苦手なコンボ対策も難なく採用することができます。

外科的摘出

 墓地対策には《外科的摘出》が採用されていますが、これはコンボやミラーマッチで役立ちます。

SCG Classics Louisville
~Delver系が多数、Landstillなど懐かしいデッキも~

5月20日

※画像はStarCityGames.comより引用させていただきました。


1位 Jund Depths
2位 Infect
3位 Food Chain
4位 UB Landstill
5位 Grixis Delver
6位 Belcher
7位 Sultai Delver
8位 Grixis Delver

トップ8のデッキリストはこちら

 Openと比べると、Classicの方ではDelver系が多数勝ち残っている点、そしてFood ChainなどのローグデッキやLandstillのような懐かしいコントロールなど、入賞アーキタイプがばらけている点に注目です。

SCG Classics Louisville デッキ紹介

「Jund Depths」「UB Landstill」「Grixis Delver」


Kennen Haas「Jund Depths」
SCG Classics Louisville(1位)

1 《沼》
2 《Badlands》
2 《Bayou》
4 《血染めのぬかるみ》
4 《燃え柳の木立ち》
1 《新緑の地下墓地》
1 《裂け岩の扉》
1 《ボジューカの沼》
4 《不毛の大地》
3 《演劇の舞台》
2 《イス卿の迷路》
2 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》
2 《暗黒の深部》
1 《The Tabernacle at Pendrell Vale》

-土地 (30)-

1 《冥界のスピリット》

-クリーチャー (1)-
4 《納墓》
3 《輪作》
1 《カラスの罪》
4 《壌土からの生命》
4 《小悪疫》
2 《突然の衰微》
2 《罰する火》
3 《ミリーの悪知恵》
4 《モックス・ダイアモンド》
2 《ヴェールのリリアナ》

-呪文 (29)-
3 《思考囲い》
1 《カラカス》
1 《The Tabernacle at Pendrell Vale》
1 《輪作》
1 《自然の要求》
1 《古えの遺恨》
1 《カラスの罪》
1 《棺の追放》
1 《炎の突き》
1 《無垢の血》
1 《天啓の光》
1 《虐殺》
1 《溶鉄の渦》

-サイドボード (15)-
hareruya


 今大会で見事に優勝を飾ったKennen Haasは、過去のオープンでもJund Depthsで優勝経験があります。Lands以外のデッキで《暗黒の深部》を使ったデッキは、当時ではかなり珍しい部類に入りました。《小悪疫》《ヴェールのリリアナ》で相手を縛るPox、《壌土からの生命》《不毛の大地》などを使い回すLoam、《罰する火》エンジンなどのLands戦略をハイブリットさせた、オリジナリティの高いデッキです

 《輪作》《納墓》といったサーチスペルを利用することにより、ツールボックスデッキのように状況に応じて様々なカードを手に入れることが可能です。

☆注目ポイント

小悪疫ヴェールのリリアナ

 《小悪疫》《ヴェールのリリアナ》により、青いフェアデッキの主力クリーチャーである《真の名の宿敵》を容易に処理することが可能です

輪作納墓

 サーチスペルである《輪作》《納墓》により土地ツールボックスの要素もあり、《罰する火》《カラスの罪》《冥界のスピリット》《壌土からの生命》が主なターゲットとなります。

カラスの罪

 《カラスの罪》《壌土からの生命》との組み合わせが強力で、ANTをはじめとするコンボデッキに対して有効な妨害手段となります。

 Landsと同様にフェアデッキに対して強さを発揮するデッキで、コンボに対しては分が悪くなりますが《カラスの罪》《ヴェールのリリアナ》によるハンデスによる妨害があるので、Lands程の絶望的なマッチアップにはならないようです


Aaron Kasprzak「UB Landstill」
SCG Classics Louisville(4位)

3 《島》
1 《沼》
4 《Underground Sea》
4 《溢れかえる岸辺》
4 《汚染された三角州》
1 《忍び寄るタール坑》
4 《ミシュラの工廠》
3 《不毛の大地》

-土地 (24)-

4 《瞬唱の魔道士》

-クリーチャー (4)-
4 《渦まく知識》
4 《致命的な一押し》
3 《思考囲い》
3 《呪文貫き》
1 《呪文嵌め》
1 《無垢の血》
4 《行き詰まり》
2 《対抗呪文》
2 《悪魔の布告》
1 《毒の濁流》
4 《意志の力》
1 《仕組まれた爆薬》
2 《精神を刻む者、ジェイス》

-呪文 (32)-
3 《狼狽の嵐》
2 《ヴェンディリオン三人衆》
2 《侵襲手術》
2 《毒の濁流》
1 《水流破》
1 《漂流》
1 《世界のるつぼ》
1 《罠の橋》

-サイドボード (15)-
hareruya


 Miraclesの弱体化により、他のコントロールも見られるようになりました。《行き詰まり》で相手の行動を抑えている間に土地を並べ、手札を整えてじっくりとコントロールしていくデッキで、アーキタイプ自体はレガシー初期の頃から存在します。

ミシュラの工廠行き詰まり忍び寄るタール坑

 デッキの性質上クリーチャーが少なく、主な勝ち手段は《行き詰まり》を誘発させないミシュラランドになります。これにより相手側からアクションを起こさらざる得ないことが多く、結果《行き詰まり》2マナ3ドローという破格のドロースペルとして機能します。

☆注目ポイント

思考囲い

 《思考囲い》《霊気の薬瓶》《死儀礼のシャーマン》《秘密を掘り下げる者》《石鍛冶の神秘家》といった軽いコストの脅威を妨害し、《行き詰まり》へと繋げる動きはデッキを選ばず強力です。ハンデスとカウンターによる妨害によって、このタイプのデッキが苦手としていたコンボデッキとの相性も、他の色の組み合わせと比べると改善されているようです。

致命的な一押し

 今までは軽いインスタント除去にアクセス可能な白や赤を入れた型が主流でしたが、《致命的な一押し》の恩恵で青黒という組み合わせも実現にいたりました。

 青黒にしたことにより《忍び寄るタール坑》という回避能力持ちのミシュラランドも使えるようになりました。

仕組まれた爆薬悪魔の布告毒の濁流

 《仕組まれた爆薬》《悪魔の布告》《毒の濁流》など、《真の名の宿敵》を含めて環境の多くのクリーチャーに対応可能な構成です

侵襲手術狼狽の嵐

 《侵襲手術》《狼狽の嵐》などのコンボ対策に追加のカウンターがサイドに積まれています。

 気になる点は墓地対策を完全に切っているところで、《外科的摘出》辺りを数枚入れても良いかもしれません。

プレイヤーインタビュー: Donivan Abraham

 今回の連載のために、筆者の友人でGrixis Delver使いのDonivan Abrahamにお話を聞くことができました。

 今大会が彼にとってSCGのイベントでは初のトップ8入賞ですが、過去にもオープンでマネーフィニッシュやIQで入賞している実力者です。


Donivan Abraham「Grixis Delver」
SCG Classics Louisville(8位)

3 《Volcanic Island》
2 《Underground Sea》
1 《Tropical Island》
2 《溢れかえる岸辺》
2 《霧深い雨林》
2 《汚染された三角州》
2 《沸騰する小湖》
4 《不毛の大地》

-土地 (18)-

4 《死儀礼のシャーマン》
4 《秘密を掘り下げる者》
3 《若き紅蓮術士》
1 《真の名の宿敵》
2 《グルマグのアンコウ》

-クリーチャー (14)-
4 《渦まく知識》
4 《稲妻》
4 《思案》
3 《もみ消し》
3 《ギタクシア派の調査》
1 《呪文貫き》
4 《目くらまし》
1 《四肢切断》
4 《意志の力》

-呪文 (28)-
3 《陰謀団式療法》
2 《紅蓮破》
1 《渋面の溶岩使い》
1 《電謀》
1 《致命的な一押し》
1 《外科的摘出》
1 《狼狽の嵐》
1 《古えの遺恨》
1 《悪魔の布告》
1 《仕組まれた爆薬》
1 《墓掘りの檻》
1 《無のロッド》

-サイドボード (15)-
hareruya


――「普段からDelver系を使っているけど、なぜDelverを使っているのか教えてくれる?」

秘密を掘り下げる者

Donivan「長い間Delverを使っていて使い慣れているのが一番の理由で、好きなデッキが環境で強いデッキなのはとてもラッキーだね。Grixis Delverはクロックと、そのクロックを守るための軽い妨害スペルが揃っていて、幅広いマッチアップに対応ができるから環境最高クラスのデッキだと思う

――「《師範の占い独楽》が禁止になったことによる影響はある?」

Donivan「MiraclesはDelverのリソースを速やかに処理することができて、ロックされるとほぼ勝てなくなるから、非常に骨が折れるマッチだった。今はMiraclesがいなくなって、Grixis Delverはサイドのスペースにも余裕ができて選択肢も増えたね」

――「なるほど。《師範の占い独楽》《相殺》による致命的なロックの心配もなくなって、元から強かったGrixis Delverは新環境では確かに優位なポジションと言えそうだね。現在は《もみ消し》バージョンと《陰謀団式療法》バージョンが活躍しているけど、今回《もみ消し》バージョンを選択した理由を教えてもらえるかな?」

もみ消し

Donivan「今大会に参加する前に、MOで結果を残しているデッキを念入りにリサーチした。Delver(Grixis、Sultai、UR, 4C)、ANT、Sneak and Show、Elves、True-Nameデッキ(Stoneblade, Sultai True-Name)が中心で、多色のデッキが多くなるのなら《もみ消し》で相手のフェッチランドの起動を妨害するのが有効な戦略だと思った。僕の直感は当たって、《もみ消し》は今大会で大活躍だった。それでも《ギタクシア派の調査》《若き紅蓮術士》とのシナジーが強力な《陰謀団式療法》は多くのマッチアップでサイドインしたけど、メインは《もみ消し》が新環境で有効な戦略だと思う」

――「サイドボードについても教えてもらえる?」

Donivan《不毛の大地》を採用していないデッキとのマッチアップでは、土地を1枚サイドアウトしている。サイドアウトされる土地は《Tropical Island》で、《死儀礼のシャーマン》で墓地のクリーチャーを追放する必要があるマッチアップでは《Volcanic Island》をサイドアウトする」

ミラーマッチ

VS ミラーマッチ(先手)


Out

意志の力 意志の力 意志の力 意志の力
ギタクシア派の調査 ギタクシア派の調査 ギタクシア派の調査


In

紅蓮破 紅蓮破 狼狽の嵐 仕組まれた爆薬
電謀 致命的な一押し 渋面の溶岩使い

Donivan「先手のときは基本的にアグロデッキで、《意志の力》はサイドアウトし、クロックを守る手段として《目くらまし》を使っていく。運が良ければ《不毛の大地》《もみ消し》でマウントを取れることもある。相手に主導権を握られてもこのマッチアップは接戦になることが多いから、辛抱強くプレイすることが大切だ」

VS ミラーマッチ(後手)


Out

意志の力 ギタクシア派の調査 ギタクシア派の調査 ギタクシア派の調査
目くらまし 目くらまし 目くらまし 目くらまし


In

紅蓮破 紅蓮破 狼狽の嵐 仕組まれた爆薬
電謀 致命的な一押し 渋面の溶岩使い 悪魔の布告

Donivan「多くのマッチアップと同様に、後手では《目くらまし》がサイドアウトされる。1ターン遅れた状態で土地を手札に戻すことは得策ではなくて、相手のソフトカウンターや土地破壊によって展開がさらに遅れるリスクが増すからね。《もみ消し》は相手の《不毛の大地》の起動を妨害するのに使うことが多くて、《意志の力》は主に《グルマグのアンコウ》《真の名の宿敵》など対処が難しい脅威をカウンターするのに使う

Donivan《陰謀団式療法》を使わないこのマッチでは《ギタクシア派の調査》の必要性はほとんどない。ライフロスも痛いから、代わりに相手の展開する脅威に直接対処する手段をサイドインしていくことになるね

ANT

VS ANT


Out

稲妻 稲妻 稲妻 稲妻
四肢切断 グルマグのアンコウ 真の名の宿敵 不毛の大地
Tropical Island


In

陰謀団式療法 陰謀団式療法 陰謀団式療法 狼狽の嵐
紅蓮破 紅蓮破 外科的摘出 墓掘りの檻
無のロッド

Donivan「このマッチアップではサイドアウトするカードを見つけるのが難しい。相手は《稲妻》をケアしてくるし《真の名の宿敵》《グルマグのアンコウ》は少し遅い。相手のキャントリップに対して《紅蓮破》を積極的に使っていく。クロックとなるクリーチャーをサイドアウトするのは反直感的に見えるかもしれないけど、キャストするのに時間がかかるクリーチャーを手札に抱えるよりも、妨害スペルを増やす方が良い

Sneak and Show

VS Sneak and Show


Out

稲妻 稲妻 稲妻 稲妻
目くらまし 真の名の宿敵 Tropical Island


In

狼狽の嵐 陰謀団式療法 陰謀団式療法 陰謀団式療法
紅蓮破 紅蓮破 悪魔の布告

VS Sultai Delver(先手)


Out

意志の力 意志の力 意志の力 意志の力


In

陰謀団式療法 陰謀団式療法 致命的な一押し 渋面の溶岩使い

VS Sultai Delver(後手)


Out

目くらまし 目くらまし 目くらまし 目くらまし
意志の力


In

陰謀団式療法 陰謀団式療法 陰謀団式療法 致命的な一押し
渋面の溶岩使い

VS Elves


Out

目くらまし 目くらまし 目くらまし 目くらまし
呪文貫き もみ消し グルマグのアンコウ Volcanic Island


In

陰謀団式療法 陰謀団式療法 陰謀団式療法 仕組まれた爆薬
電謀 致命的な一押し 墓掘りの檻 渋面の溶岩使い

VS Esper Stoneblade(先手)


Out

意志の力 意志の力 意志の力 意志の力
目くらまし 若き紅蓮術士 若き紅蓮術士 若き紅蓮術士
Volcanic Island


In

陰謀団式療法 陰謀団式療法 陰謀団式療法 渋面の溶岩使い
紅蓮破 紅蓮破 古えの遺恨 無のロッド
仕組まれた爆薬

VS Esper Stoneblade(後手)


Out

目くらまし 目くらまし 目くらまし 目くらまし
意志の力 若き紅蓮術士 若き紅蓮術士 若き紅蓮術士
Volcanic Island


In

陰謀団式療法 陰謀団式療法 陰謀団式療法 渋面の溶岩使い
紅蓮破 紅蓮破 古えの遺恨 無のロッド
仕組まれた爆薬

Donivan《若き紅蓮術士》とエレメンタルトークンは《石鍛冶の神秘家》で簡単に止められてしまい押し切ることは難しく、ロングゲームになりやすい。ハンデスや追加の妨害スペルを駆使して、辛抱強くプレイするのがキーだ

Death and Taxes

VS Death and Taxes


Out

目くらまし 目くらまし 目くらまし 目くらまし
呪文貫き 意志の力 ギタクシア派の調査 思案


In

陰謀団式療法 陰謀団式療法 致命的な一押し 無のロッド
古えの遺恨 渋面の溶岩使い 仕組まれた爆薬 電謀

Donivan《意志の力》は主に《スレイベンの守護者、サリア》をカウンターするために使っていく。《陰謀団式療法》《石鍛冶の神秘家》でサーチされた装備品を狙っていこう」

――「今回のリストから、変更したいところはある?」

Donivan「メインには、多分変更したい箇所は見当たらないかな。もしメインの《四肢切断》があまり強くない環境なら、《火+氷》を試してみると良いよ。インスタントスペルの《二股の稲妻》で、《意志の力》のコストにもなって多くの厄介なパーマネントをタップできる。サイドは《電謀》《Fire Covenant》を入れ替えようと考えている。インスタントの除去でスイーパーとしても機能するからね。《無のロッド》の代わりに《真髄の針》を採用する選択肢もあるけど、ANTや装備品に対する確実なアンサーが欲しかったから、結局《無のロッド》にしたんだ」

――「詳しく解説してくれてありがとう。改めてトップ8入賞おめでとう!」

 Grixis Delverは新環境の安定したチョイスとして多くのプレイヤーが選択していました。プレイングによって環境の様々なデッキや戦略に対応可能であり、MOでもダントツのトップメタで、今後も人気が衰えることはなさそうです

Legacy Challenge 5月22日
~Elvesが連続優勝~

5月22日

1位 Elves
2位 Mono Red Prison
3位 Infect
4位 Food Chain
5位 BG Depths
6位 Grixis Delver
7位 Shardless Sultai
8位 Miracles

トップ8のデッキリストはこちら

 前回に引き続き、Elvesが優勝を果たしました。今大会の優勝者は、ヨーロッパのElvesマスターであるJulian Knabでした。またキーカードの《師範の占い独楽》を失い死滅したと思われたMiraclesが、形を変えて上位入賞を果たしています。

Legacy Challenge5月22日 デッキ紹介

「Miracles」


ItIsUnfair「Miracles」
Legacy Challenge 0522(8位)

5 《島》
2 《平地》
3 《Tundra》
4 《溢れかえる岸辺》
4 《沸騰する小湖》
1 《乾燥台地》
1 《カラカス》

-土地 (20)-

3 《瞬唱の魔道士》
1 《ヴェンディリオン三人衆》

-クリーチャー (4)-
4 《思案》
4 《先触れ》
4 《渦まく知識》
2 《剣を鍬に》
3 《対抗呪文》
3 《予期せぬ不在》
4 《予報》
1 《天使への願い》
4 《意志の力》
4 《終末》
3 《精神を刻む者、ジェイス》

-呪文 (36)-
3 《狼狽の嵐》
2 《石鍛冶の神秘家》
2 《エーテル宣誓会の法学者》
2 《外科的摘出》
1 《封じ込める僧侶》
1 《ヴェンディリオン三人衆》
1 《水流破》
1 《至高の評決》
1 《基本に帰れ》
1 《殴打頭蓋》

-サイドボード (15)-
hareruya


 《師範の占い独楽》が禁止になったことで消滅すると思われたMiraclesでしたが、ドロースペルを増量し、1マナのスイーパーである《終末》を活かせる構成にした新しい形のMiraclesがMOのリーグで5-0の成績を残しており、今大会では遂にトップ8にまで勝ち残りました。

☆注目ポイント

 「《師範の占い独楽》の代わりになる物はあるのか?」

 《師範の占い独楽》が禁止なった直後に様々な意見がありましたが、この解答としてとある1マナの青いカードが注目されています

先触れ

 《先触れ》《思案》と似て非なるスペルで、《思案》にない利点としてスロートリップによって相手のターンにドローすることができます。これにより「奇跡」スペルを相手のターンに誘発させることが可能になり、相手を対象にすることで情報を掌握しつつ、相手のドローをコントロールすることも可能です。

予期せぬ不在

 《予期せぬ不在》は白白と色拘束が強いスペルですが、クリーチャーだけでなくアーティファクトやエンチャント、プレインズウォーカーといったパーマネントをバウンスできるのが強みで、《虚空の杯》などの厄介な置物対策になります。

予報

 《先触れ》《予期せぬ不在》は共に《予報》ともシナジーがあり、《予報》は今まで以上に優秀なドロースペルになりました

 前環境ではJeskaiカラーが主流でしたが、青白の2色になっています。赤を足していた一番の理由はミラーマッチ対策に《紅蓮破》を採用するためでした。《血染めの月》《基本に帰れ》があるので、現環境では増加しつつある《不毛の大地》にも耐性ができることもあって、青白が主流になりつつあります。

石鍛冶の神秘家

 追加の勝ち手段として《石鍛冶の神秘家》パッケージがサイドに用意されています。Delver系やUR、Burnなどとのマッチアップでは《相殺》によるロックがなくなり、火力スペルで削られる可能性が高くなったためライフゲインは必須となります。

Legacy Challenge5月29日
~コンボが多数~

5月29日

1位 RB Reanimator
2位 TES
3位 Sultai Delver
4位 BR Reanimator
5位 Grixis Delver
6位 Deadguy Ale
7位 UB Delver
8位 Bant Deathblade

トップ8のデッキリストはこちら

 Elvesの2連覇から一転、BR Reanimator、TESなどのコンボが中心です。Elvesに対しては、速度で勝るコンボが有利です。他にはDelver系、Bant Deathblade、Deadguy AleなどのBlade系も見られます。

Legacy Challenge5月29日 デッキ紹介

「Deadguy Ale」


JeffHoogland「Deadguy Ale」
Legacy Challenge 0529(6位)

4 《沼》
2 《平地》
3 《Scrubland》
1 《Bayou》
4 《湿地の干潟》
3 《新緑の地下墓地》
1 《吹きさらしの荒野》
1 《地平線の梢》
1 《カラカス》
1 《乱脈な気孔》
2 《不毛の大地》

-土地 (23)-

4 《闇の腹心》
4 《石鍛冶の神秘家》
4 《潮の虚ろの漕ぎ手》

-クリーチャー (12)-
4 《剣を鍬に》
4 《思考囲い》
2 《コジレックの審問》
2 《集団的蛮行》
2 《議会の採決》
2 《毒の濁流》
2 《未練ある魂》
1 《饗宴と飢餓の剣》
1 《梅澤の十手》
1 《殴打頭蓋》
3 《ヴェールのリリアナ》
1 《試練に臨むギデオン》

-呪文 (25)-
4 《外科的摘出》
2 《スレイベンの守護者、サリア》
2 《ガドック・ティーグ》
2 《安らかなる眠り》
1 《議会の採決》
1 《墓掘りの檻》
1 《殴打頭蓋》
1 《幽霊暗殺者、ケイヤ》
1 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》

-サイドボード (15)-
hareruya


 《石鍛冶の神秘家》《闇の腹心》といった効率的なクリーチャーやハンデス、軽い除去を中心とした白黒のグッドスタッフで《集団的蛮行》などの新戦力も加わりました。1~2ターン以内に勝負を決めてくる高速コンボや、クリーチャー除去があまり役に立たず特殊地形に依存したマナ基盤なためLandsとのマッチアップを苦手としますが、除去や妨害の多さでStonebladeやDelver系などフェアデッキの多くに強い構成です

☆注目ポイント

集団的蛮行

 手札を捨てることが「増呪」のコストである《集団的蛮行》《未練ある魂》とも相性が良く、このデッキを含むコントロール寄りのフェアデッキではメインから採用され始めており、コンボ、フェアを問わず重宝するスペルです。

試練に臨むギデオン

 『アモンケット』の新カードである《試練に臨むギデオン》は3マナと軽く、3つ目の能力はANTなどのコンボデッキとのマッチアップで相手はコンボを決めても勝つことができなくなるので、場合によってはそのまま勝つことができます

 フェアデッキに対しても相手のクリーチャーを1体止めて時間を稼ぐことが可能で、自身がクロックにもなる非常にフレキシブルなプレインズウォーカーです。

総括

 《師範の占い独楽》禁止後の環境は予想通りDelver系が多く、サイドボードをMiracles対策に割く必要がなくなったANTも結果を残しています。

 Miraclesと相性が悪かったElvesやStoneblade系のデッキも復権してきており、環境に多様性が戻ってきました。また、以前と比べると明らかにパワーは劣るものの、Miraclesも形を変えて環境に存続しており、Landstillなど他のコントロールも見られるようになりました。

 グランプリ・ラスベガス2017ではどんなデッキが活躍するのか楽しみです。

 以上USA Legacy Express vol.128でした。

 それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!

この記事内で掲載されたカード


Twitterでつぶやく

Facebookでシェアする

関連記事

このシリーズの過去記事