皆さんこんにちは。
今年も日本国外の大会結果を中心にレガシーの情報をお届けしていきたいと思うので、よろしくお願いいたします。
先日、禁止改定が公式よりアナウンスされましたが、レガシーはノーチェンジとなりました。グランプリ・サンタクララ2018の結果からも、健全な環境であるようなので妥当な判断と言えます。
さて、今回の連載ではThe Last Sun 2017とSCG Classics Columbus、グランプリ・サンタクララ2018の入賞デッキを見ていきたいと思います。
The Last Sun 2017
「奇跡」のエキスパートが年末の祭典を制し戴冠す
2017年12月23-24日
- 1位 Miracles
- 2位 Grixis Delver
- 3位 Grixis Delver
- 4位 Grixis Delver
- 5位 Miracles
- 6位 Elves
- 7位 Grixis Delver
- 8位 4C Leovold
川居 裕介
トップ8のデッキリストはこちら
毎年恒例のThe Last Sunは、招待制のイベントらしくプロも多数参加するなどハイレベルな大会でした。
スタンダードとレガシーの混合フォーマットなため、両フォーマットに精通しているプレイヤーは少なく極めて難易度の高い大会です。
そんな中、本大会で優勝トロフィーを手にしたのは、第8期レガシー神挑戦者決定戦やEternal Festival 2015などで結果を残し続けているレガシーの達人、川居 裕介選手でした。
The Last Sun 2017 デッキ紹介
「Miracles」
Miracles
今大会見事に優勝を飾った川居 裕介選手は、自身の得意とするMiraclesを選択しました。昨年末にはトップメタのGrixis Delverを抑えてトップに上り詰めたこともありました。
《師範の占い独楽》が禁止になり《相殺》によるロックが難しくなったため、最近はメインから《僧院の導師》を多数採用したMentor Controlにシフトしてきています。
スイーパーの《終末》はまだまだ健在です。Grixis Delverを始めとしたクリーチャーデッキに強く、混合フォーマットの性質上、レガシーに慣れていないスタンダードを得意とするプレイヤーの多くがトップメタでプロアクティブな戦略であるGrixis Delverや、資産的にも比較的組みやすくプレイングもそこまで難しくないエルドラージを選択していたこともあり、Miraclesに有利なメタだったようです。
☆注目ポイント
川居選手のリストで特徴的なのは、メインから採用されている《罠の橋》です。Eldraziの攻撃をほぼ完全にシャットアウトすることが可能で、Grixis Delverのフィニッシャーである《グルマグのアンコウ》や《真の名の宿敵》も止まるのでコントロールするまでの猶予が得られます。コンボデッキに対してもSneak and ShowやReanimatorから繰り出される《グリセルブランド》などを止めることができ、様々なデッキに有効です。
《突然の衰微》などメインからアーティファクトに触る手段も少なめなので、これらのデッキが多くなりそうなメタではメインから採用しても良さそうです。自分にも影響があるのが難点なので、手札の調整をすることを意識しましょう。
《相殺》で相手を完全にロックすることは難しくなったものの、《渦まく知識》や《瞬唱の魔道士》+《渦まく知識》、《精神を刻む者、ジェイス》などでライブラリーのトップを操作することで《相殺》を有効活用しゲームをコントロールすることができます。
Hareruya Pros所属のプロプレイヤーで、PTやGPで輝かしい成績を残し続けている高橋 優太選手も独自の調整を施したMiraclesで見事プレイオフ進出を決めていました。
MOで毎週開催されるLegacy Challengeでも同様のリストで優勝を収めていました。
Grixis DelverやEldraziなどクリーチャーデッキを意識した構成で、コンボデッキとはサイド後に勝負のようです。
☆注目ポイント
《紅蓮破》や《血染めの月》のために赤をタッチしたバージョンを多く見かけますが、高橋選手のリストは青白の2色に絞られています。基本地形を多く採用しているため、《不毛の大地》など特殊地形ヘイトに耐性があります。
このリストの最大の特徴は《相殺》が不採用なところで、従来のある程度までゲームをコントロールして《精神を刻む者、ジェイス》や《天使への願い》でフィニッシュを決めるスタイルではなく、メインから3枚と多めに採用された《僧院の導師》で速い段階からアグレッシブに攻めていくアグロコントロール寄りのスタイルになっています。メインのコンボとの相性を少しでも緩和させるために、《狼狽の嵐》がメインから採用されています。軽いスペルなので《僧院の導師》と相性が良く、クロックを守りつつ強化していくことが容易になります。
メインはコンボよりもクリーチャーデッキとのマッチアップにフォーカスしている分、サイドにはコンボ対策が多めに積まれています。特に目を引くのは3枚の《神聖の力線》で、初手にあればゲーム開始と同時に置くことができるため、カウンターだけでは厳しいANTなど速いコンボとのマッチアップで有効です。最近Legacy Challengeで優勝していたBurnなどとのマッチアップでも活躍します。
SCG Classics Columbus
Delver系が多数、UR Delverが優勝
2018年1月07日
- 1位 UR Delver
- 2位 Lands
- 3位 Metalworker
- 4位 Grixis Delver
- 5位 Burn
- 6位 Death and Taxes
- 7位 Eldrazi Post
- 8位 Grixis Delver
Richard Thompson
トップ8のデッキリストはこちら
新年早々に開催されたSCGO Columbusと併催して開催されたClassicsは、参加者150人と大盛況だったようです。
今大会の上位はコンボデッキが不在でDelver系が多く、その中でもバーン寄りに特化したUR Delverが決勝戦で相性の悪いとされているLandsに勝利し、優勝するというパフォーマンスを見せました。
Burnも結果を残していることから、特殊地形の多い現環境では《発展の代価》が強さを発揮します。
SCG Classics Columbus デッキ紹介
「UR Delver」「Burn」「Eldrazi Post」
UR Delver
Delver系の中でも火力を多めに採用し、選択されているクリーチャーも《僧院の速槍》や《嵐追いの魔道士》といった速攻持ちの果敢クリーチャーと前のめりなスタイルです。
テンポというよりもバーン寄りで速さを意識しており、Miracles以外のフェアデッキに強いアーキタイプです。ただし、妨害手段が少なめなのでコンボには少し弱くなります。
レガシーの青いデッキの中ではアグレッシブでプレイングもそこまで難しくないので、レガシーのエントリーデッキとしてもお勧めできるデッキの一つです。
☆注目ポイント
メインから採用された《発展の代価》は、4C LeovoldやGrixis Delverといった《死儀礼のシャーマン》デッキに有効です。《稲妻の連鎖》や《蒸気の絡みつき》など多めに採られたクリーチャー干渉手段から、特にGrixis Delverをメタっていたことは明白です。中でも《蒸気の絡みつき》は興味深いチョイスです。「探査」クリーチャーなど高タフネスのクリーチャーをわずか1マナで退場願うことが可能で、追加の1点もこのデッキにとっては重要です。青いカードなので、コンボデッキ相手の場合は《意志の力》のコストになるところも見逃せないポイントです。
果敢クリーチャーの能力を最大限に活かすために、全体的に軽いスペルでまとめられており、墓地も肥えるのでフィニッシャーの《騒乱の歓楽者》や《謎めいた海蛇》もキャストしやすくなります。《謎めいた海蛇》は《騒乱の歓楽者》と同様に自分の墓地にあるインスタントとソーサリーの数に応じてコストが安くなるクリーチャーで、《騒乱の歓楽者》と異なりドローなどの効果はないものの、6/5とGrixis Delverのフィニッシャーである《グルマグのアンコウ》と渡り合えるサイズで《意志の力》のコストにもなります。
サイドには環境の様々なデッキに効く《血染めの月》や《紅蓮破》など、レガシーの赤の定番カードが見られます。こういったヘイトカードにアクセスができるところがレガシーにおける赤の強みでもあります。《粉々》はこのデッキにとって厄介な置物となる《虚空の杯》や《梅澤の十手》、《殴打頭蓋》といった装備品対策です。相手に可能な限り多くのダメージを短時間で与える戦略なので追加の3点は重要で、最近流行りの《削剥》よりも優先されています。
Burn
アメリカ時間の大晦日にMOで開催されたLegacy Challengeでも優勝を果たすなど、最近好調なBurn。
《発展の代価》をメインからフル投入していることから、4C Leovoldを始めとした特殊地形に頼った多色デッキに対して強く、現在のレガシーの環境ではポジション的にも中々良くなっています。
Miraclesは基本地形が多いため《発展の代価》が効きづらく《相殺》を巧く活用されると難しくなりますが、《師範の占い独楽》+《相殺》が健在だった頃と比べると相性は改善されています。
☆注目ポイント
現環境のトップメタが4C LeovoldとGrixis Delverなので、3~4色の《死儀礼のシャーマン》デッキに刺さる《発展の代価》をメインからフル搭載できる赤単色のBurnは有利な立ち位置となります。
《師範の占い独楽》禁止前ほどカウンターを気にする必要が少なくなり、Delver系などクリーチャーデッキの増加に伴い《極上の炎技》や《硫黄の渦》がメインから外れています。クリーチャーを除去すると同時に本体にもダメージが入る《焼尽の猛火》や「待機」コストが1マナと軽い《裂け目の稲妻》がメインに採用されています。
サイドは苦手とするコンボを意識した構成で、Sneak and Showなどの対策になる《罠の橋》、ANTなどスペルコンボ対策の《紅蓮光電の柱》、墓地対策の《虚空の力線》など綺麗にまとめられています。
Eldrazi Post
4 《雲上の座》
4 《エルドラージの寺院》
4 《微光地》
2 《裏切り者の都》
3 《ウギンの目》
2 《ヴェズーヴァ》
2 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》
-土地(25)- 4 《難題の予見者》
3 《忘却蒔き》
2 《終末を招くもの》
2 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》
1 《真実の解体者、コジレック》
1 《大いなる歪み、コジレック》
1 《約束された終末、エムラクール》
-クリーチャー(14)-
神座土地の《雲上の座》でマナ加速していき、《絶え間ない飢餓、ウラモグ》などビッグスペルで相手を圧倒する12 PostとEldraziをハイブリットしたデッキで、メインから採用されている《虚空の杯》は環境の多くのデッキに刺さります。
マナ加速が豊富で《絶え間ない飢餓、ウラモグ》や《精霊龍、ウギン》など他を圧倒するパワーカードを高速展開し、《難題の予見者》によって相手の妨害を対策することもできるので多くのフェアデッキに強く、軽いキャントリップやドロースペルをシャットアウトする《虚空の杯》もあるのでコンボデッキともある程度は勝負になります。
☆注目ポイント
デッキの構成上《不毛の大地》を使うデッキとのマッチアップが厳しくなるので、《魔術遠眼鏡》がメインから3枚採用されています。他にも指定したいカードは《死儀礼のシャーマン》、《霊気の薬瓶》、《騙し討ち》、《ヴェールのリリアナ》、《精神を刻む者、ジェイス》など多数存在し、相手の手札の状況も確認できるので《真髄の針》よりもメインで使いやすいカードです。
このデッキは《虚空の杯》を1ターン目にキャストする手段が豊富で、《虚空の杯》以外にも《三なる宝球》という強力なロックカードがあります。《三なる宝球》は多くのレガシーのデッキを機能不全に陥らせるカードで、土地が少なく軽いキャントリップスペルを多用するDelver系は、スペルをキャストすることすら難しくなります。ANTは《水蓮の花びら》などをキャストしてマナを加速させることもできなくなるため、コンボを決めることが難しくなります。
マナ加速が豊富なので高確率で2ターン目に《難題の予見者》をキャスト可能で、コンボのゲームプランを妨害したり相手のカウンターなどを追放することで後続が通りやすくなり、4/4という無視できないクロックも残ります。スイーパーの《全ては塵》も3ターン目に安定してキャストでき、エルドラージスペルは《ウギンの目》と《エルドラージの寺院》の恩恵も受けられるのでより早い段階から唱えることができるのが強みです。
フィニッシャークラスの《絶え間ない飢餓、ウラモグ》なども例外なく恩恵を受けることが可能で、《絶え間ない飢餓、ウラモグ》がカウンターされてもきちんと誘発するパーマネント2枚追放は強力です。《真実の解体者、コジレック》と 《大いなる歪み、コジレック》は手札を補充する能力があるので、例えカウンターされても多くの場合、次のターンに勝負が決まります。
グランプリ・サンタクララ2018
Grixis Delverがチームを優勝に導く
2018年1月6-7
- 1位 Grixis Delver
- 2位 Sneak and Show
- 3位 Dark Depths
- 4位 4C Leovold
John Martin、Jeremy Frye、William Ho
トップ8のデッキリストはこちら
2018年初のGPはスタンダード、モダン、レガシーのチーム戦で、ホリデーシーズン明けながら1500名以上の参加者が集い大盛況の内に幕を閉じた本大会。
今年はチーム戦が多くなり、トッププロのレガシーのプレイングを見る機会が増えるので楽しみです。
グランプリ・サンタクララ2018 デッキ紹介
「Dark Depths」
Dark Depths
1 《冠雪の沼》
3 《Bayou》
4 《新緑の地下墓地》
1 《吹きさらしの荒野》
1 《ボジューカの沼》
1 《セジーリのステップ》
4 《演劇の舞台》
1 《幽霊街》
4 《暗黒の深部》
3 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》
-土地(24)- 2 《森を護る者》
4 《吸血鬼の呪詛術士》
4 《Elvish Spirit Guide》
-クリーチャー(10)-
黒緑の《暗黒の深部》を軸にしたコンボデッキで、《吸血鬼の呪詛術士》や《演劇の舞台》を駆使して20/20の伝説のアバターを可能な限り速く展開するのがゲームプランです。コンボパーツ以外はサーチスペルやハンデスなど妨害、保護スペルでまとめられています。
一度出現したマリット・レイジに対する明確なアンサーが限られているGrixis Delverや4C Leovoldは、《不毛の大地》や《悪魔の布告》などに気を付ければ相性の良いマッチアップになるので現環境では有利な選択だったと言えます。
《カラカス》、《リシャーダの港》、《不毛の大地》といった土地でコンボを妨害しつつ、《霊気の薬瓶》からインスタントスピードでヘイトベアーを展開しクロックをかけてくるDeath and Taxesや、《剣を鍬に》や《終末》といったインスタントスピードでマリット・レイジ対策をしてくるMiraclesは苦手なマッチとなります。
☆注目ポイント
《輪作》、《北方行》、《森の占術》の合計10枚のサーチスペルにより、《暗黒の深部》や《演劇の舞台》をサーチしていきコンボの準備をしていきます。それと並行して《強迫》や《思考囲い》で相手の妨害手段を落とし、マナ加速の《Elvish Spirit Guide》や《水蓮の花びら》を利用し最速でマリット・レイジを送り出します。
ここ最近は《森を護る者》が《この世界にあらず》よりも優先される傾向にあります。あらかじめ戦場に出しておく必要がありますが、土地さえあれば相手の単体除去は全てシャットアウトすることが可能で、相手が布告系の除去を持っていたとしても《森を護る者》を生け贄に捧げられるのがポイントです。
《カラカス》や《不毛の大地》など相手の妨害手段対策に《真髄の針》がメインから採用されています。サイド後はDelver系やDeath and Taxesのクロック対策に《突然の衰微》が入ります。クリーチャーランドである《ミシュラの工廠》は追加の勝ち手段としても扱えますが、多くの黒いデッキからサイドインされてくる《悪魔の布告》対策がメインだと思われます。
『イクサランの相克』カードレビュー
《血染めの太陽》
『イクサランの相克』から加入した《血染めの太陽》はフェッチランドや《リシャーダの港》、《暗黒の深部》など特殊地形のマナ以外の能力をシャットアウトする能力が強力で、レガシーでも《血染めの月》のバリエーションとして使われそうです。候補に挙がるのが赤単色のプリズンデッキで追加の《血染めの月》として採用されるでしょう。
マナ能力には制限が掛からないので《古えの墳墓》など2マナランドに影響がなく、キャントリップ付きなので2枚目以降が無駄になりにくいのも嬉しいポイントです。HareruyaWayfinder 『イクサランの相克』 編まとめに良いリストが挙げられていますのでチェックしてみてください。
《マーフォークの霧縛り》
青単色なので基本地形が多く、《血染めの月》や《不毛の大地》に耐性があることがMerfolkの強みの一つですが、多色とはいえ2マナのMerfolkロードは採用を検討する価値がありそうです。《霊気の薬瓶》や《魂の洞窟》があるので《マーフォークの霧縛り》だけなら《Tropical Island》を1-2枚追加するだけでも回りそうです。数は少なくなりましたが、SCG Classics Columbusでもトップ16に入賞するなど固定ファンが多いMerfolkは、軽いクロックにカウンター、メインに《虚空の杯》と現環境の多くのデッキに強い要素が多数見られます。
Merfolk
2 《Tropical Island》
4 《魂の洞窟》
4 《変わり谷》
-土地(20)- 4 《呪い捕らえ》
4 《アトランティスの王》
4 《真珠三叉矛の達人》
3 《マーフォークの霧縛り》
4 《銀エラの達人》
2 《潮流の先駆け》
4 《真の名の宿敵》
-クリーチャー(25)-
大会レポート ~Legacy Challenge~
先週末にMOレガシーの大規模なイベントであるLegacy Challengeをプレイしました。
SCGO Philadelphiaのチーム戦で担当予定のレガシーの調整も兼ねての参加で、デッキは現在のトップメタであるGrixis Delverを使用。
残念ながら優勝は逃してしまいましたが、準優勝という結果で500プレイポイントとTreasure Chest75個を獲得し資産を一気に増やすことに成功しました。
Grixis Delver
3 《Volcanic Island》
1 《Tropical Island》
4 《沸騰する小湖》
3 《溢れかえる岸辺》
4 《不毛の大地》
-土地(18)- 4 《死儀礼のシャーマン》
4 《秘密を掘り下げる者》
3 《若き紅蓮術士》
2 《真の名の宿敵》
2 《グルマグのアンコウ》
-クリーチャー(15)-
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 1 | Sneak and Show | 2-1 |
Round 2 | Lands | 2-0 |
Round 3 | Grixis Delver | 2-0 |
Round 4 | Dredge | 1-2 |
Round 5 | Sultai Delver | 2-0 |
Round 6 | TES | 2-0 |
Round 7 | Grixis Delver | 2-0 |
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
準々決勝 | Sneak and Show | 2-0 |
準決勝 | Miracles | 2-1 |
決勝 | ANT | 0-2 |
リストは筆者のミシガン州の友人であるプロプレイヤー、Kyle Boggemesの記事のリストと同様の物を使用しました。
サイドボードテクなどは元の記事に詳しく載っているので、この場ではカード選択について掲載させていただきます。
カード選択
多くのリストでフェッチランドは《真髄の針》などを警戒するため、《島》をサーチできるものを各2枚ずつ異なる種類が採用されています。筆者のリストは資産の関係もあり《溢れかえる岸辺》と《沸騰する小湖》のみとなっていますが、大会中特に不便に感じることはありませんでした。
今回のリストの最大の特徴はサイドボードの《もみ消し》です。《もみ消し》はGrixis Delverの3-4枚のフリースロットに採用されていることが多いスペルですが、このバージョンはすでにそのスロットに《陰謀団式療法》と《二股の稲妻》が採用されており、特にメイン戦で相手が《陰謀団式療法》を見ていれば《もみ消し》と《陰謀団式療法》の両方を採用したリストは極めて稀なためサイド後にケアされ難くなります。これによって勝率が大幅に上がったゲームもあり、今回のパフォーマンスの原動力となりました。
個人的にはGrixis Delverの《もみ消し》はあまり好きではありませんでしたが、警戒されていないときは相手のフェッチに合わせるだけで勝てるゲームもあるほどで、相手の《不毛の大地》もカウンターできるのでわずかですが土地が少ない手札をキープするリスクも軽減されます。復権してきている「奇跡」の誘発もカウンターし、LandsやDark Depthsなどの主な勝ち手段である《暗黒の深部》のコンボも完全には妨害できないまでも、《演劇の舞台》の起動型能力をカウンターすることで時間を稼ぐことは可能です。
メインの《陰謀団式療法》はミラーマッチではそれほど強くなかったものの、《若き紅蓮術士》とのシナジーが強力で今回はコンボともよく当たったので活躍しました。
サイドボードの《イゼットの静電術師》の枠に採られている追加の《二股の稲妻》は、スペルなので《秘密を掘り下げる者》の「変身」の助けになります。
サイド後はANTの《巣穴からの総出》プラン対策も必要になります。《仕組まれた爆薬》はANTの《巣穴からの総出》プランだけでなくElvesなど横並びの戦略にも強く、Death and Taxesの《ルーンの母》や《霊気の薬瓶》をまとめて流せる便利なカードです。
今回はコンボデッキに多く当たったこともあり、メインに《陰謀団式療法》、サイドに《もみ消し》を採用したリストは正解でした。Grixis Delverは現在のレガシーの環境では最高のデッキ選択の一つです。プロアクティブな戦略で、Landsなど一部のデッキを除いて環境のデッキに対して互角以上の勝負になるのが強みです。
総括
現環境で最も高い勝率を誇るのは、Grixis Delverや4C Leovoldなどいわゆる《死儀礼のシャーマン》デッキが少し多かったのが気になった時期もありましたが、最近はMiraclesが昨年末に開催されたThe Last Sun 2017でも優勝を果たすなど復権してきています。《アズカンタの探索》という新戦力を得て、一時期はMOの成績も著しくGrixis Delverを抑えてトップメタに上り詰めたこともあります。
Legacy ChallengeやSCG ClassicsでもUR DelverやBurn、ANT、Sneak and Showといったコンボも見られるなど、《師範の占い独楽》禁止前と比較すると開かれた環境になっています。今年はチーム戦などレガシーをプレイする機会が多くなりそうなので楽しみです。
以上USA Legacy Express vol.136でした。
それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!