皆さんこんにちは。
『統率者戦(2017版)』のカードリストが公開され、レガシーでも使えそうなカードも見られます。《真の名の宿敵》や《封じ込める僧侶》といった環境に大きな影響を与えたカードも統率者戦セット出身のカードだったので、発売が楽しみです。
今回の連載では、MOで毎週末に開催されるLegacy Challengeの結果を見ていきます。
08/14 Legacy Challenge
Deathrite Shamanデッキが多数入賞
2017年8月14日
- 1位 4C Control
- 2位 Grixis Delver
- 3位 Dragon Stompy
- 4位 Grixis Delver
- 5位 4C Control
- 6位 Aluren
- 7位 Grixis Control
- 8位 Elves
トップ8のデッキリストはこちら
環境最高クラスの1マナクリーチャーである《死儀礼のシャーマン》を使ったデッキがプレイオフの半数以上という結果になり、本体火力としても墓地対策としても使えるマナクリーチャーの強さを再確認させられました。
環境のトップメタであるGrixis Delverに《瞬唱の魔道士》が採用されているリストも見られ、4Cなどのフェアデッキとのマッチアップを意識して、ロングゲーム向けに調整されています。
08/14 Legacy Challengeデッキ紹介
「4C Control」「Grixis Delver」
1 《島》 1 《沼》 3 《Underground Sea》 2 《Volcanic Island》 1 《Badlands》 1 《Tropical Island》 1 《Bayou》 4 《汚染された三角州》 4 《霧深い雨林》 1 《血染めのぬかるみ》 1 《新緑の地下墓地》 -土地 (20)- 4 《死儀礼のシャーマン》 3 《悪意の大梟》 3 《瞬唱の魔道士》 2 《トレストの使者、レオヴォルド》 1 《グルマグのアンコウ》 -クリーチャー (13)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 2 《思考囲い》 2 《致命的な一押し》 1 《稲妻》 2 《トーラックへの賛歌》 1 《悪魔の布告》 1 《突然の衰微》 2 《コラガンの命令》 1 《毒の濁流》 4 《意志の力》 1 《ヴェールのリリアナ》 2 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文 (27)- |
2 《外科的摘出》 2 《狼狽の嵐》 2 《赤霊破》 2 《トーラックへの賛歌》 2 《悪魔の布告》 1 《虚無の呪文爆弾》 1 《暗黒破》 1 《根絶》 1 《湿地での被災》 1 《古えの遺恨》 -サイドボード (15)- |
MOで毎回《精神を刻む者、ジェイス》を使ったデッキで結果を残し続けているjacetmsstは4C Controlで入賞しています。
青黒コントロールをベースに《コラガンの命令》や《稲妻》《突然の衰微》といった各色の優秀なスペルをタッチしたコントロールです。
4C Controlは《精神を刻む者、ジェイス》や《瞬唱の魔道士》の提供するアドバンテージによりロングゲームに強く妨害要素も多数取っているので、コンボとの相性も悪くありません。
☆注目ポイント
モダンのGrixis ControlやGrixis Death’s Shadowでお馴染みの《コラガンの命令》と《瞬唱の魔道士》によるアドバンテージは、環境のフェアデッキとの消耗戦を有利な方向へ導きます。マナが掛かるのとミラーマッチや環境のトップメタであるGrixis Delverを始めとした多くのデッキが《死儀礼のシャーマン》を採用しているため、デッキの主力ながら3枚に抑えられています。
このデッキの3マナ域のクリーチャーとして採用されている《トレストの使者、レオヴォルド》はロングゲームになりがちなフェアデッキやコンボデッキとのマッチアップの両方に強く、《悪意の大梟》と同様に除去されてもアドバンテージが取れます。
《悪魔の布告》と《ヴェールのリリアナ》、《毒の濁流》は単体除去に耐性がありこのデッキにとっても対処が困難な《真の名の宿敵》にメインから対抗する手段で、特にインスタントの《悪魔の布告》は《暗黒の深部》コンボに対しても有効です。
ハンデスの《思考囲い》と《トーラックへの賛歌》は主にコンボデッキに対する妨害手段となります。カードアドバンテージも取れる《トーラックへの賛歌》はコントロールデッキとのマッチアップでも有効で、コンボデッキとのマッチアップのためにサイドには追加の2枚が採用されています。
3 《Underground Sea》 2 《Volcanic Island》 1 《Tropical Island》 4 《汚染された三角州》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《不毛の大地》 -土地 (18)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《死儀礼のシャーマン》 2 《瞬唱の魔道士》 3 《グルマグのアンコウ》 -クリーチャー (13)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《稲妻》 3 《もみ消し》 2 《呪文貫き》 2 《呪文嵌め》 1 《二股の稲妻》 4 《目くらまし》 1 《四肢切断》 4 《意志の力》 -呪文 (29)- |
2 《外科的摘出》 2 《思考囲い》 2 《古えの遺恨》 1 《真髄の針》 1 《侵襲手術》 1 《紅蓮破》 1 《二股の稲妻》 1 《致命的な一押し》 1 《苦花》 1 《冬の宝珠》 1 《悪魔の布告》 1 《湿地での被災》 -サイドボード (15)- |
現環境のトップメタである4C Delverは、《もみ消し》採用型や《陰謀団式療法》メイン採用型といった異なるバリエーションが結果を残していますが、今回準優勝のSorboOneは《瞬唱の魔道士》を採用したカードアドバンテージ重視型で、前環境でも結果を残していたリストを彷彿とさせます。
《呪文嵌め》や《呪文貫き》といった軽いカウンターが多い点に特徴があり、《瞬唱の魔道士》を活かしやすいように調整されています。
☆注目ポイント
手札破壊よりもカウンターが多く、《呪文嵌め》や《呪文貫き》などの軽いスペルはコンボデッキに対して有効で、《瞬唱の魔道士》でアドバンテージを取りやすくなっています。
《陰謀団式療法》や《ギタクシア派の調査》といったスペルは不採用で、リアクションカードが多く採用されているため、《若き紅蓮術士》は不採用です。《若き紅蓮術士》とトークンによる爆発力よりも《瞬唱の魔道士》によるアドバンテージを利用したロングゲームを重視しています。
コントロール寄りの構成で、マナを使う《瞬唱の魔道士》を採用していますが、土地は18枚と他のGrixis Delverと同様で少な目です。そのため、このデッキの《もみ消し》は相手の《不毛の大地》から土地を守るために使うことが多くなりそうです。
最近メインからよく見られるようになった《呪文貫き》は、序盤はコンボのドロースペルなどをカウンターすることで減速させ、中盤以降も《意志の力》 のコストになり、《虚空の杯》《血染めの月》《実物提示教育》《騙し討ち》 《ヴェールのリリアナ》《精神を刻む者、ジェイス》 など、環境に存在する多くの決定的なスペルを対象に取ることが可能です。1マナと軽いので《瞬唱の魔道士》でフラッシュバックしやすいスペルであることも重要です。
サイドには《冬の宝珠》や《苦花》といったコントロールに強いカードが見られます。
相手のマナを制限する《冬の宝珠》は4C Control、Portent Miracles、Landsといったデッキに有効です。《苦花》はエンチャントなので対策されづらく、毎ターントークンを生成できるので除去にも耐性があります。《冬の宝珠》で相手を縛りつつ《苦花》で毎ターンクロックを生成し、カウンターでバックアップしていく動きは非常に強力です。
08/21 Legacy Challenge
ElvesのエキスパートがDeathrite Shamanデッキの海を渡り切る
2017年8月21日
- 1位 Elves
- 2位 Big Red
- 3位 Grixis Delver
- 4位 Big Red
- 5位 Esper Delver
- 6位 4C Control
- 7位 4C Control
- 8位 4C Control
トップ8のデッキリストはこちら
同様に《死儀礼のシャーマン》デッキがプレイオフの半数以上を占め、ヨーロッパのElvesの名手であるJulian23が優勝を収めました。
Elvesも《死儀礼のシャーマン》デッキの1つであり、終盤になっても腐らないマナクリーチャーで、“1マナプレインズウォーカー”とも呼ばれている《死儀礼のシャーマン》のパワーが確認できるデッキです。
《死儀礼のシャーマン》デッキや、特殊地形に頼った多色デッキが大半を占めるため、《血染めの月》や《月の大魔術師》といったアンチ特殊地形をメインから搭載した赤単のプリズンデッキであるBig Redも上位で見られるようになりました。
08/21 Legacy Challenge
「Big Red」「Esper Delver」
11 《山》 4 《古えの墳墓》 2 《裏切り者の都》 2 《水晶鉱脈》 -土地 (19)- 4 《猿人の指導霊》 2 《月の大魔術師》 2 《雷口のヘルカイト》 1 《栄光をもたらすもの》 -クリーチャー (9)- |
3 《横揺れの地震》 1 《忌むべき者のかがり火》 4 《焦熱の合流点》 4 《血染めの月》 4 《虚空の杯》 3 《金属モックス》 4 《三なる宝球》 4 《反逆の先導者、チャンドラ》 2 《槌のコス》 3 《龍語りのサルカン》 -呪文 (32)- |
4 《瘡蓋族の狂戦士》 4 《罠の橋》 4 《混沌のねじれ》 2 《山背骨の発動》 1 《炎呼び、チャンドラ》 -サイドボード (15)- |
Big Redは赤単色で、マナ加速を利用して《血染めの月》や《虚空の杯》を高速展開して相手をシャットアウトし、フィニッシャーを展開していく所謂プリズンデッキで、Dragon StompyやGoblin Stompyなどフィニッシャーのクリーチャーにバリエーションが存在します。そういった中で、《反逆の先導者、チャンドラ》の登場以降は《槌のコス》などと共に赤いプレインズウォーカーをフィニッシャーとして採用されることも多くなってきました。
Grixisや4Cのように特殊地形に頼ったデッキが多く、青い1マナのキャントリップスペルを多用するレガシーでは《血染めの月》や《虚空の杯》《三なる宝球》によって機能不全に陥るデッキが多く、それらを2マナランドやマナ加速を駆使して最速1ターン目に展開することを可能としています。
デッキの弱点として、赤単色であるためにドロースペルにアクセスができず、動きが安定しないことが挙げられます。マナ加速、プリズンカード、フィニッシャーをバランスよく引いていかないと動きがぎこちなくなるので、マリガンとプレイングの順序(シークエンス)がこのデッキをプレイする上で重要な要素となります。
☆注目ポイント
今大会準優勝という好成績を残したSammy13は《雷口のヘルカイト》や《栄光をもたらすもの》といったドラゴンクリーチャーをフィニッシャーとするDragon Stompy型のリストに、《反逆の先導者、チャンドラ》《槌のコス》《龍語りのサルカン》と多数のプレインズウォーカーを加えています。プレインズウォーカーは《剣を鍬に》で除去されないので、StonebladeやPortent Miraclesのような青白系のデッキ相手に特に有効です。
《栄光をもたらすもの》は比較的最近のカードですが「督励」することでドラゴンでないクリーチャーに4点のダメージを与える能力があり、除去としても機能します。
《反逆の先導者、チャンドラ》は赤いデッキにとっての《精神を刻む者、ジェイス》のような存在で、カードアドバンテージ、フィニッシャーを展開するための追加のマナ、除去と能力が揃っており、このデッキの中盤から後半における弱さをカバーします。
《龍語りのサルカン》もフィニッシャー、除去として機能するので、マナ加速から《血染めの月》をプレイし、フィニッシャーを展開してそれらに望みを託すといった選択肢以外にも、ミッドレンジ、コントロールとしても振舞うことが可能になり、戦略とプレイングの幅が大きく広がりました。
相手のクリーチャーによるコンバットをシャットアウトする《罠の橋》はサイドに落とされ、《横揺れの地震》や《忌むべき者のかがり火》といったスイーパーが採用されており、プリズン要素を搭載したコントロールであることが分かります。《焦熱の合流点》はモードの選択によってスイーパーとしても使える火力です。本体火力としても使えるので無駄にならず、各種装備品に対するアンサーとしても有用です。
サイドの《山背骨の発動》はエンチャントなので対策されづらく、一度戦場に出てしまえば“カウンターを気にせずに使える本体火力”として使えるので、追加の勝ち手段になります。
相手にもっと有効なカードをめくられてしまう、という赤いスペルらしいリスクはあるものの、《混沌のねじれ》は赤には少ないエンチャントにも触れる除去です。
もう一人のBig Red使いのzackwithakは《熱烈の神ハゾレト》を採用しています。スタンダード環境を牽引する赤単のキーカードはレガシーでも通用する逸材のようです。戦闘することなく本体にダメージを与える事ができるので《罠の橋》の影響下でもフィニッシャーとして活躍します。
3 《Underground Sea》 2 《Tundra》 1 《Scrubland》 1 《Tropical Island》 4 《汚染された三角州》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《不毛の大地》 -土地 (19)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《死儀礼のシャーマン》 3 《グルマグのアンコウ》 -クリーチャー (11)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 3 《思考掃き》 3 《致命的な一押し》 3 《剣を鍬に》 2 《呪文貫き》 4 《目くらまし》 3 《未練ある魂》 4 《意志の力》 -呪文 (30)- |
3 《思考囲い》 2 《外科的摘出》 2 《盲信的迫害》 1 《封じ込める僧侶》 1 《エーテル宣誓会の法学者》 1 《狼狽の嵐》 1 《無のロッド》 1 《悪魔の布告》 1 《解呪》 1 《名誉回復》 1 《最後の望み、リリアナ》 -サイドボード (15)- |
《剣を鍬に》と《稲妻》という2種類の1マナ除去にアクセスが可能なJeskai Delverが一時期流行りましたが、黒にも1マナの除去である《致命的な一押し》という新戦力が加わり、EsperカラーのDelverも見られるようになりました。
Grixis Delverと同様に《死儀礼のシャーマン》のマナ加速により《未練ある魂》やサイドの《最後の望み、リリアナ》をスムーズに展開することが可能です。
白を足したことによる最大のメリットは《エーテル宣誓会の法学者》や《封じ込める僧侶》といったヘイトベアーにアクセス可能な点です。《真の名の宿敵》やElves、Death and Taxesのように小型のクリーチャーを並べるデッキに有効な《盲信的迫害》といった豊富なサイドボードカードが選択できることに注目です。
☆注目ポイント
Delver系のデッキにとって《致命的な一押し》は相手にライフゲインされてしまう《剣を鍬に》よりもデッキの方向性にマッチしている除去ですが、《剣を鍬に》も《グルマグのアンコウ》を処理可能なため、貴重な除去です。
最近 Grixis Delverや4C Controlでも見られる《呪文貫き》がこのデッキにも採用されています。レガシーの決定的な非クリーチャースペルを牽制できるので《目くらまし》《意志の力》に並ぶカウンターとして優秀な性能です。
《思考掃き》は墓地を肥やしつつドローを進めることができるスペルで、《渦まく知識》との相性も良好です。《未練ある魂》を墓地に落とせばカードアドバンテージを得ることが可能で、《グルマグのアンコウ》をキャストするための「探査」条件も満たしやすなります。
『統率者戦(2017版)』について
冒頭で触れたとおり、『統率者戦(2017版)』のカードリストが公開されました。今回はセットの中でレガシーでも使えそうなカードを見ていきたいと思います。果たして《真の名の宿敵》や《封じ込める僧侶》、《狼狽の嵐》のような環境に影響を与えるカードは見つかるのでしょうか?
《反体制魔道士、ケス》
『統率者戦(2017版)』の目玉カードとなりそうなGrixisカラーの伝説のクリーチャーです。
4マナ域には《精神を刻む者、ジェイス》が存在し、マナコストに青赤黒シンボルが含まれるため、採用できるデッキは限られます。採用されるとしたらGrixis Controlや4Cになりそうです。
伝説のクリーチャーであるため《カラカス》でバウンスされてしまうことはネックとなりますが、3/4、飛行というスペックは攻守共に優れており、《突然の衰微》や《稲妻》といった除去に耐性がある点が強みです。
毎ターン墓地に落ちたソーサリーやインスタントをフラッシュバックする、という《瞬唱の魔道士》に似た能力を持ち、軽いスペルを多用するデッキならばアドバンテージを稼ぎやすい点にも注目です。《瞬唱の魔道士》と異なり代替コストを支払うことも可能なので《意志の力》や《目くらまし》といったスペルが墓地にあれば、自身を守ることも容易です。
《托鉢する者》
4マナ、3/4、瞬速に対戦相手のカードドローに制限を加える能力を持つクリーチャーで、瞬速を利用して主に《渦まく知識》といったドロースペルにレスポンスして展開していくことになりそうです。《突然の衰微》 や《稲妻》といった除去に対する耐性もあります。4マナと重いためあまり枚数は採れませんが、Death and Taxesに1-2枚採用されそうです。
《テフェリーの防御》
「フェイジング」という懐かしいメカニックを扱ったスペルです。プレイヤー自身とパーマネントをすべて保護するので、自軍の戦場をスイーパーから守ったり、《濃霧》のように使用してそのターンを凌いだり、コンボデッキ相手にターンを稼いだり……と、使い道は非常に多く、白を使ったデッキで幅広く採用されそうです。また、ルールの変更によりトークンがフェイズアウトしても他のパーマネントと同様に戦場に戻るようになったことも覚えておきましょう。
総括
《死儀礼のシャーマン》デッキの活躍が目立ちそれらのデッキに強い《血染めの月》《虚空の杯》デッキであるBig Redも上位で見られるようになりました。今までは安定性に難のあるデッキでしたが《反逆の先導者、チャンドラ》や《熱烈の神ハゾレト》といったカードによって強化されています。
『統率者戦(2017版)』のカードにも何種類かレガシーで使えそうなカードが含まれています。特に白いカードに注目で、『コンスピラシー』や『統率者』系のセットはDeath and Taxesで使えるカードが収録される傾向にあるようです。
以上USA Legacy Express vol. 131でした。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!
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