皆さんこんにちは。
アメリカでは今週末にはEternal Weekend2017、再来週末にはSCGO Washington DCと今月はレガシーのイベントが充実しています。
10月17日に禁止改定のアナウンスがありました。Miracles一強のときと異なり、多様性を取り戻しているので予想通り結果はノーチェンジでした。
今回の連載ではLegacy ChallengeとQuest for Power(アメリカの東海岸で定期的に開催されるパワーナインなど賞品が豪華な大会)の入賞デッキを見ていきます。
Legacy Challenge #10913706
Back to Basics!
2017年10月08日
- 1位 Eldrazi
- 2位 UW Stoneblade
- 3位 Manaless Dredge
- 4位 4C Leovold
- 5位 Eldrazi
- 6位 ANT
- 7位 Death and Taxes
- 8位 Big Red
トップ8のデッキリストはこちら
4C Leovoldが安定した成績を残し続けていたMOのレガシーにも徐々に変化が見られます。1マナキャントリップを多用し特殊地形に頼った4色の欲張りなマナベースは、《死儀礼のシャーマン》が生き残ることが重要です。Big Red(《血染めの月》)やEldrazi(《虚空の杯》)、Death and Taxes(各種マナ否定+ヘイトベアー)など、各デッキはそれぞれ得意とする分野で多色ミッドレンジの弱点を突いています。
4C Leovoldでなくとも、特殊地形や1マナキャントリップを使わないデッキは少数派なのもあり、これらを制限する戦略は環境の多くのデッキに効果的です。
Legacy Challenge #10913706 デッキ紹介
「UW Stoneblade」
UW Stoneblade
5 《平地》 5 《島》 2 《Tundra》 4 《溢れかえる岸辺》 3 《沸騰する小湖》 1 《カラカス》 -土地 (20)- 4 《石鍛冶の神秘家》 3 《瞬唱の魔道士》 3 《真の名の宿敵》 -クリーチャー (10)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《剣を鍬に》 2 《呪文貫き》 1 《定業》 2 《対抗呪文》 1 《議会の採決》 1 《至高の評決》 4 《意志の力》 2 《基本に帰れ》 1 《殴打頭蓋》 1 《梅澤の十手》 2 《精神を刻む者、ジェイス》 1 《遍歴の騎士、エルズペス》 -呪文 (30)- |
2 《封じ込める僧侶》 2 《エーテル宣誓会の法学者》 2 《翻弄する魔道士》 2 《狼狽の嵐》 2 《解呪》 1 《流刑への道》 1 《至高の評決》 1 《真髄の針》 1 《火と氷の剣》 1 《石術師、ナヒリ》 -サイドボード (15)- |
《石鍛冶の神秘家》は筆者の大好きなカードの一枚ですが、最近は《コラガンの命令》など厄介なスペルが多くなり活躍の機会が少なくなりました。しかし、Zirinaは現環境向けに調整した青白Stonebladeで準優勝という好成績を残しました。
Esper、Jeskai、《死儀礼のシャーマン》を採用した多色のDeathbladeなど、バリエーションが豊富なデッキですがZirinaのリストはシンプルに2色にまとまっており、基本地形が多く採用されています。《不毛の大地》や《血染めの月》に耐性ができると同時に、数を増やしつつあるBig Redと相性が良くなりました。Delver系と比べるとX=1の《虚空の杯》に対してもある程度まで耐性があり、現在のメタに合った構成で今大会以外でもリーグでも結果をだしているようです。
☆注目ポイント
《基本に帰れ》は本来Stonebladeにとって不利な4C Leovoldに対して、相性をひっくり返すほどのインパクトがあります。4色であるが故にマナベースの大半が特殊地形に頼った構成になっているので、《死儀礼のシャーマン》を除去し《基本に帰れ》を置いてしまえば、《コラガンの命令》も怖くありません。特殊地形を多用するEldraziに対してももちろん有効です。
《真の名の宿敵》は4CやDeath and Taxesにとって対策が難しいクリーチャーです。Grixis Delverと異なり装備品で強化が可能です。《ヴェールのリリアナ》や《悪魔の布告》、《毒の濁流》などがメイン戦の主なアンサーで4C Leovoldにとっても対策は容易ではありません。
クロックが遅くハンデスなどカウンター以外の妨害を採用していないので、ANTやSneak and Showのようなコンボを苦手とします。そのためサイドには《封じ込める僧侶》、《エーテル宣誓会の法学者》、《翻弄する魔道士》など、各種ヘイトベアーが多めに採られています。装備品でサイズアップを図れるので、相手のコンボを妨害しつつクロックもかけられます。
Quest for Power – Mox Pearl
グリセルブランドの帰還
2017年10月08日
- 1位 BR Reanimator
- 2位 Sneak and Show
- 3位 Bant Deathblade
- 4位 UW Stoneblade
- 5位 Aggro Loam
- 6位 Death and Taxes
- 7位 Grixis Delver
- 8位 Grixis Delver
トップ8のデッキリストはこちら
アメリカMarylandのショップであるMTGfirst主催のQuest for Powerは、パワーナインを含めた豪華な賞品が目玉のレガシーの大会で定期的に開催されています。
Grixis Delver、Death and Taxes、Stoneblade、Sneak and Show、Reanimatorなどテンポ、アグロ、コントロール、コンボと様々なアーキタイプが結果を残していました。
決勝戦は、Sneak and ShowとReanimatorの高コストのクリーチャーを踏み倒して高速展開するコンボのマッチアップでした。
Quest for Power – Mox Pearl デッキ紹介
「BR Reanimator」
BR Reanimator
2 《冠雪の沼》 2 《Badlands》 1 《Scrubland》 4 《血染めのぬかるみ》 3 《汚染された三角州》 -土地 (12)- 4 《別館の大長》 3 《グリセルブランド》 1 《潮吹きの暴君》 1 《大修道士、エリシュ・ノーン》 1 《狂気の種父》 -クリーチャー (10)- |
4 《暗黒の儀式》 4 《納墓》 4 《信仰無き物あさり》 4 《再活性》 4 《思考囲い》 4 《死体発掘》 4 《暴露》 4 《動く死体》 4 《水蓮の花びら》 2 《金属モックス》 -呪文 (38)- |
2 《外科的摘出》 2 《摩耗+損耗》 2 《天界の粛清》 2 《血染めの月》 2 《真髄の針》 1 《墓所のタイタン》 1 《エメリアの盾、イオナ》 1 《集団的蛮行》 1 《紅蓮破》 1 《要塞の計略》 -サイドボード (15)- |
《師範の占い独楽》禁止前の環境から存在していた赤黒のReanimatorで、カウンターとハンデスを搭載した青黒よりもコンボスピードに特化したスタイルになっています。
基本的にコンボオールインなのでカウンターに弱くなっていますが、最速1ターン目からコンボできるのでゲーム開始前に置かれる《虚空の力線》や、0マナで唱えることができる《外科的摘出》以外の墓地対策にも強い構成です。
☆注目ポイント
マナ加速に《金属モックス》を加えることにより、最速でコンボを決める確率が上がりました。《暗黒の儀式》は《納墓》から《再活性》といったアクションを取ることを可能にします。同じような流れで《暗黒の儀式》から《思考囲い》で相手の妨害スペルを落とし、《納墓》から《再活性》というブン回りは相手を選ばず強力です。
《金属モックス》や《水蓮の花びら》、《暗黒の儀式》といったマナ加速により、最速1ターン目にコンボを決める戦略なので、そのターンに相手の妨害を落とせる《思考囲い》と《暴露》によるハンデスがこのデッキの主な妨害手段となります。0マナでキャストできる《暴露》は、事前に《外科的摘出》や《意志の力》を落とすことができるので安全にコンボを決められるようになります。コンボ同士のマッチアップでも、キーカードを落とすことで相手を減速させることに貢献します。
《グリセルブランド》以外にリアニメイトできるクリーチャーの中でもインパクトがあるのは《狂気の種父》でしょうか。コンボデッキ相手に1ターン目にだすことができれば、相手はコンボパーツを含めた全てのカードを失うため勝つことが難しくなります。4C Leovoldなど黒系のミッドレンジやコントロールにも《稲妻》、《致命的な一押し》、《突然の衰微》といった除去に耐性があるので効果的です。
サイドに忍ばせてある《墓所のタイタン》は、例え墓地対策をされても6マナなのでマナ加速を駆使することでキャスト可能です。先ほどの除去に耐性があり、トークンを引き連れてくるので布告系の除去にも耐性があります。
メインはオールインReanimate系のコンボですが、サイド後はマナ加速から最速1ターン目に《血染めの月》を展開するというBig Redのような動きも可能です。墓地対策を追加し《突然の衰微》などはサイドアウトされる傾向にあるため、4C Leovoldなど特に特殊地形に頼ったフェアデッキに刺さります。
Legacy Challenge #10927740
MOでもBR Reanimatorが活躍
2017年10月16日
- 1位 BR Reanimator
- 2位 Death and Taxes
- 3位 4C Leovold
- 4位 Food Chain
- 5位 Grixis Delver
- 6位 TES
- 7位 Grixis Delver
- 8位 ANT
トップ8のデッキリストはこちら
Quest for Powerでも優勝を収めていたBR Reanimatorは、MOでも結果を残していました。4C LeovoldをメタったBig Redの特殊地形対策の影響を受けず、各種フェアデッキの主力である《真の名の宿敵》も高速コンボであるBR Renimatorにとっては問題になりません。他のコンボよりも速いのも強みです。
TESなどストーム系のコンボも上位でよく見られるようになり、コンボに強いGrixis Delverも巻き返してきました。
LEGACY CHALLENGE #10927740 デッキ紹介
「Death and Taxes」「Food Chain」
Death and Taxes
6 《平地》 2 《Savannah》 2 《溢れかえる岸辺》 2 《湿地の干潟》 2 《カラカス》 4 《リシャーダの港》 4 《不毛の大地》 1 《地平線の梢》 -土地 (23)- 4 《ルーンの母》 4 《石鍛冶の神秘家》 4 《スレイベンの守護者、サリア》 3 《ファイレクシアの破棄者》 1 《クァーサルの群れ魔道士》 4 《ちらつき鬼火》 2 《ミラディンの十字軍》 2 《護衛募集員》 1 《聖域の僧院長》 1 《宮殿の看守》 -クリーチャー (26)- |
4 《剣を鍬に》 4 《霊気の薬瓶》 1 《殴打頭蓋》 1 《火と氷の剣》 1 《梅澤の十手》 -呪文 (11)- |
2 《エーテル宣誓会の法学者》 2 《流刑への道》 2 《議会の採決》 2 《窒息》 2 《安らかなる眠り》 2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 1 《封じ込める僧侶》 1 《クァーサルの群れ魔道士》 1 《光と影の剣》 -サイドボード (15)- |
《スレイベンの守護者、サリア》とマナ否定戦略で動きを制限しつつ、ビートダウンしていくDeath and Taxesはレガシーにおいてコンスタントに結果を残しています。
一般的なDeath and Taxesは白単色ですが、今回準優勝という好成績を残していたEronRelentlessのリストは《クァーサルの群れ魔道士》と《窒息》のために緑をタッチしています。
☆注目ポイント
《クァーサルの群れ魔道士》はミラーマッチの装備品や、Grixisや4C Leovoldがサイドインしてくることもある《夜の戦慄》、Sneak and Showの《騙し討ち》、Big RedやPainterの《罠の橋》など、環境に存在する様々な置物を処理してくれます。
サイドの《窒息》は各種青いフェアデッキに刺さります。緑白のマナベースに《地平線の梢》が採用されていますが、装備品や《リシャーダの港》などマナハングリーなデッキなので起動のタイミングは難しそうです。
《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》は、元々Miraclesに対抗するための軸をずらした勝利手段でしたが、《突然の衰微》で破壊されないため、4C Leovoldとのマッチアップで活躍が期待できます。
《議会の採決》は3マナと追加の除去にするには少し重くなりますが、このデッキでは触るのが難しい《真の名の宿敵》を対処する貴重な手段です。《スレイベンの守護者、サリア》と《リシャーダの港》、《不毛の大地》との組み合わせによって相手の動きを制限できるので、ANTなどスペルベースのコンボやGrixis Delver、4C Leovoldなどの多色デッキと相性が良く、グランプリ・ラスベガス2017でも優勝を収めていたデッキなだけに要注目です。
Food Chain
2 《島》 1 《沼》 1 《森》 2 《Tropical Island》 2 《Underground Sea》 1 《Bayou》 4 《霧深い雨林》 3 《汚染された三角州》 3 《新緑の地下墓地》 -土地 (19)- 3 《歩行バリスタ》 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《悪意の大梟》 2 《トレストの使者、レオヴォルド》 1 《永遠の災い魔》 1 《粗石の魔道士》 2 《霧虚ろのグリフィン》 -クリーチャー (17)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 2 《致命的な一押し》 3 《運命の操作》 2 《突然の衰微》 4 《意志の力》 4 《食物連鎖》 1 《大祖始の遺産》 -呪文 (24)- |
4 《狼狽の嵐》 4 《思考囲い》 2 《外科的摘出》 1 《毒の濁流》 1 《仕組まれた疫病》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《墓掘りの檻》 1 《大祖始の遺産》 -サイドボード (15)- |
《食物連鎖》を軸にしたSultaiカラーのミッドレンジコンボデッキ。《運命の操作》と《霧虚ろのグリフィン》によるアドバンテージと追放系の除去に耐性があり、《終末》からのリカバリーも容易だったため、《師範の占い独楽》禁止前の環境ベストデッキだったMiraclesと相性が良いデッキとして注目されていました。
デッキの動きは《食物連鎖》を設置して《運命の操作》で《霧虚ろのグリフィン》をサーチし、《霧虚ろのグリフィン》を追放領域からキャスト、それを《食物連鎖》でサクリファイスすることでマナを得て再度追放領域からキャストします。これにより1マナ余分に得ることができるので、これを繰り返すことで無限マナを得ることができます。最終的に《歩行バリスタ》でゲームを決めます。
《トレストの使者、レオヴォルド》や《死儀礼のシャーマン》、《悪意の大梟》、《霧虚ろのグリフィン》、各種妨害スペルやドロースペルなどを駆使することで、コンボに頼らずともSultaiミッドレンジとしても十分な強さを発揮できるのがこのデッキの強みです。
☆注目ポイント
《歩行バリスタ》が加入する以前は、《引き裂かれし永劫、エムラクール》や《起源のハイドラ》がフィニッシャーを務めていましたが《歩行バリスタ》はそれ単体でも除去やプレインズウォーカー対策にもなるフレキシブルさにより、このデッキのフィニッシャーとして抜擢されました。
《粗石の魔道士》はフィニッシャーである《歩行バリスタ》だけでなく、メインの墓地対策である《大祖始の遺産》やサイドの《墓掘りの檻》、《仕組まれた爆薬》といったアーティファクトを状況に応じてサーチしてくることが可能で、《渦まく知識》でカードを戻した後のシャッフル手段としても使えます。
3色の割に基本地形が多めに採られているので、サーチする土地にさえ気を付ければ《不毛の大地》などアンチ特殊地形にもある程度耐性ができます。メインの妨害が少な目でコンボデッキとの相性が悪いため、サイドには《狼狽の嵐》と《思考囲い》といった軽い追加の妨害スペルがフルに採用されています。
ボーナストピック
ボーナストピックでは主にMOのリーグやその他の大会で見かけたローグデッキを紹介していきます。
Shapeshifter Reanimator
4 《島》 2 《沼》 2 《Underground Sea》 1 《Scrubland》 1 《Tundra》 4 《霧深い雨林》 4 《汚染された三角州》 -土地 (18)- 4 《不運な研究者》 1 《ウーナのうろつく者》 4 《ヴォルラスの多相の戦士》 4 《グリセルブランド》 1 《灰燼の乗り手》 1 《大修道士、エリシュ・ノーン》 1 《浄火の大天使》 -クリーチャー (16)- |
4 《渦まく知識》 2 《狼狽の嵐》 2 《ギタクシア派の調査》 3 《目くらまし》 2 《直観》 3 《実物提示教育》 4 《意志の力》 4 《動く死体》 2 《水蓮の花びら》 -呪文 (26)- |
4 《弁論の幻霊》 2 《フェアリーの忌み者》 2 《致命的な一押し》 1 《水流破》 1 《外科的摘出》 1 《思考囲い》 1 《ブーメラン》 1 《解呪》 1 《計略縛り》 1 《虐殺》 -サイドボード (15)- |
レガシーリーグで面白いデッキが5-0していました。《ヴォルラスの多相の戦士》をフィーチャーしたReanimatorと《実物提示教育》デッキの中間のようなデッキです。《適者生存》がリーガルだった頃のエクステンデッドでは、墓地に落とした《ファイレクシアン・ドレッドノート》と《流動石の乱暴者》とのコンボで瞬殺するFull English Breakfastも見られましたが、現在のレガシーでは《適者生存》が禁止なので《ヴォルラスの多相の戦士》を使ったデッキを見るのは久々です。3マナと軽いため、普通にキャストしクリーチャーを捨ててコピーすることで、リアニメイトと同様の効果が得られクリーチャーを墓地に送る手段にもなります。
総括
今週末にはEternal Weekendがアメリカで開催されます。GP Las Vegas以来のレガシーの大規模なイベントなので楽しみです。
現在はコンボデッキが増加傾向にあるのでフェアデッキではGrixis Delverをお勧めします。墓地がどれぐらい対策されているかで変わりますが、コンボデッキでは他のコンボよりもスピードがありコンボを保護する手段もあるBR Reanimatorと遅めのコンボやDelver系、4C Leovoldに強いDeath and Taxesも良い選択となるでしょう。
以上USA Legacy Express vol.133でした。
それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!
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