皆さんこんにちは。
今週末にはグランプリ・バーミンガム2018が開催され、SCGでもチーム構築が多くなりとレガシーの大会が充実してますね。
今回の連載ではSCGO Atlanta、SCGO Baltimore、SCG Classics Baltimoreの入賞デッキを見ていきたいと思います。
SCGO Atlanta
タッチ赤のDeath and Taxesが優勝
2018年04月28-29日
- 1位 WR Taxes
- 2位 Turbo Depths
- 3位 Mono Red Prison
- 4位 Grixis Delver
- 5位 ANT
- 6位 Colorless Eldrazi
- 7位 Grixis Delver
- 8位 Grixis Delver
Job/Basoco/Briksza
トップ8のデッキリストはこちら
チーム構築戦はフォーマットの性質上ローグ的なデッキはあまり見られず、それぞれがベストなデッキを選択する傾向があり、レガシーのエキスパートを助っ人としてメンバーに加えるチームも多いのでメタが偏る傾向にあります。
環境のベストデッキとされているGrixis Delverを選択したプレイヤーが多く、Grixis Delverに強いとされているTurbo Depthsもそれなりの数が見られました。
Death and TaxesやTurbo Depthなどが使われる理由の一つに資産的な事情もあります。特にDeath and Taxesはパーツが高騰し続けている再録禁止カードが少なくマスターズセットからの再録の影響で比較的組みやすいのも人気がある理由の一つです。
SCGO Atlanta デッキ紹介
「WR Taxes」「Mono Red Prison」
WR Taxes
3 《Plateau》
2 《溢れかえる岸辺》
2 《吹きさらしの荒野》
3 《カラカス》
3 《魂の洞窟》
4 《リシャーダの港》
4 《不毛の大地》
-土地 (24)- 4 《ルーンの母》
4 《石鍛冶の神秘家》
4 《スレイベンの守護者、サリア》
2 《凶兆艦隊の向こう見ず》
2 《ファイレクシアの破棄者》
3 《ちらつき鬼火》
2 《護衛募集員》
2 《月の大魔術師》
1 《ヴリンの翼馬》
1 《ピア・ナラーとキラン・ナラー》
-クリーチャー (25)-
2 《エーテル宣誓会の法学者》
2 《議会の採決》
2 《精神壊しの罠》
2 《安らかなる眠り》
1 《封じ込める僧侶》
1 《レオニンの遺物囲い》
1 《護衛募集員》
1 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》
-サイドボード (15)-
今大会優勝を果たしたチームの一員であるJonathan Jobが使用していたデッキは、最近よく見られるようになってきたタッチ赤のDeath and Taxesでした。
4C LeovoldやLands、Grixis Delverといった特殊地形に頼ったデッキに刺さる《月の大魔術師》のために赤をタッチしたバージョンは以前から見られましたが、『イクサランの相克』から《凶兆艦隊の向こう見ず》が登場したことにより増加傾向にあります。
☆注目ポイント
《月の大魔術師》はこのデッキが苦手とする4C LeovoldやLandsをロックできるため、赤を足すだけの価値があります。『イクサランの相克』から加入した《凶兆艦隊の向こう見ず》も相手の墓地に落ちたドロースペルや除去を再利用することでアドバンテージが取ることができる、優秀なクリーチャーです。《霊気の薬瓶》を活用することで《瞬唱の魔道士》対策にもなります。
トップメタのGrixis Delverに対抗するために、メインには追加の《スレイベンの守護者、サリア》である《ヴリンの翼馬》、サイドには3枚の 《流刑への道》と対策カードが多めに積まれています。Grixis Delverは基本地形を採用していないリストがほとんどなので、《流刑への道》は《剣を鍬に》のほぼ上位互換として機能します。
《ピア・ナラーとキラン・ナラー》も4C Leovoldなどとのマッチアップで特に活躍するクリーチャーです。《カラカス》とのシナジーもあり、飛行・クリーチャー・トークンが並ぶので《真の名の宿敵》や 《悪意の大梟》といったクリーチャーで止まりづらくなります。
Mono Red Prison
4 《古えの墳墓》
4 《裏切り者の都》
-土地 (19)- 4 《ゴブリンの熟練扇動者》
4 《月の大魔術師》
4 《猿人の指導霊》
2 《ピア・ナラーとキラン・ナラー》
1 《熱烈の神ハゾレト》
-クリーチャー (15)-
4 《血染めの月》
4 《金属モックス》
4 《虚空の杯》
4 《罠の橋》
2 《三なる宝球》
3 《反逆の先導者、チャンドラ》
2 《ウルザの後継、カーン》
-呪文 (26)-
2マナランドからの1ターン目《虚空の杯》はトップメタのGrixis Delverも含めて多くのデッキが機能不全に陥ります。
《金属モックス》などマナ加速から《血染めの月》や《虚空の杯》、《三なる宝球》で相手をロックしつつ《ゴブリンの熟練扇動者》などでクロックをかけていくプリズンデッキで、新カードの《ウルザの後継、カーン》も早速採用されています。
☆注目ポイント
《金属モックス》や《虚空の杯》、《三なる宝球》といったアーティファクトが多数採用されているこのデッキでは、《ウルザの後継、カーン》はアドバンテージ源というだけでなく、「-2」能力によってクロックを展開することもできます。ただ無色のカードを入れ過ぎると《金属モックス》で刻印できるカードが少なくなってしまうので、デッキ構築の段階で注意が必要です。
《反逆の先導者、チャンドラ》に加えて《ウルザの後継、カーン》も採用され息切れがしづらくなりミッドレンジとしても振舞いやすくなりました。
サイドの《速製職人の反逆者》は場にある《虚空の杯》などが火力に変わります。戦闘をせずに本体にダメージを飛ばせるので、《罠の橋》が場にある状態でも有効な勝ち手段となります。
「高名」になることで相手が非クリーチャースペルをキャストする度にダメージを与える《瘡蓋族の狂戦士》は、スペルを多用するコンボに対して特に有効なクリーチャーです。マナ加速を利用することで1ターン目から戦場に出すことができます。
SCGO Baltimore
異なるDelverデッキ同士の対決
2018年05月05-06日
- 1位 Sultai Delver
- 2位 Grixis Delver
- 3位 Turbo Depths
- 4位 Miracles
- 5位 Turbo Depths
- 6位 Colorless Eldrazi
- 7位 Food Chain
- 8位 Lands
Eapen/Ferzola/Lu
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SCGO Atlantaから連続で開催されたSCGO Baltimore。SCGO Atlantaと同様にチーム戦であったため、無難なチョイスとしてGrixis Delverを選択したチームが最多でした。
Delver系のデッキに強いとされているMiraclesやTurbo Depthsといったデッキも結果を残しており、Grixis Delverの数もAtlantaより少数でした。優勝を果たしたのはDelver系のバリエーションであるSultai Delverでした。
SCGO Baltimore デッキ紹介
「Sultai Delver」
Sultai Delver
2 《Bayou》
1 《Tropical Island》
3 《霧深い雨林》
3 《汚染された三角州》
3 《新緑の地下墓地》
4 《不毛の大地》
-土地 (20)- 4 《死儀礼のシャーマン》
4 《秘密を掘り下げる者》
3 《タルモゴイフ》
2 《墓忍び》
-クリーチャー (13)-
2 《思考囲い》
2 《ゴルガリの魔除け》
1 《狼狽の嵐》
1 《致命的な一押し》
1 《悪魔の布告》
1 《壌土からの生命》
1 《四肢切断》
1 《森の知恵》
1 《墓掘りの檻》
1 《最後の望み、リリアナ》
1 《精神を刻む者、ジェイス》
-サイドボード (15)-
Grixis Delverの次に人気のあるDelver系で、緑が使われており直接火力が使えなくなった代わりにサイズで勝る《タルモゴイフ》や万能除去の《突然の衰微》にアクセスができるようになりました。
《トーラックへの賛歌》や《ヴェールのリリアナ》が採用されており、Grixisよりも全体的にカードパワーが高めで、ミッドレンジ寄りになってロングゲームでの対応力も上がり、Grixisよりもフェアデッキに強くなっています。ですがDelver系の中では重い構成なので、コンボとのマッチアップはメインではやや不利が付きます。
☆注目ポイント
《トーラックへの賛歌》は色拘束が強いスペルですが無作為に2枚カードを捨てる効果は強力で、特にコンボデッキに対して壊滅的な被害をもたらします。《秘密を掘り下げる者》や《タルモゴイフ》といった軽いクロックを《目くらまし》や《不毛の大地》バックアップしつつ《トーラックへの賛歌》でアドバンテージを取る動きは相手を選ばず強力で、このデッキを使う理由の一つです。
《トレストの使者、レオヴォルド》よりも優先的にメインから2枚と多めに採用されている《ヴェールのリリアナ》は、Turbo Depthsの《マリッド・レイジトークン》に対する貴重な解答となります。Grixis Delverに対しては《若き紅蓮術士》によって効果が薄くなるのでバラつきがあるもののの、《真の名の宿敵》や《グルマグのアンコウ》といったクリーチャーを処理できます。
《墓忍び》は「探査」コストが《グルマグのアンコウ》よりも1マナ重く色拘束も強くなっていますが、飛行持ちなので《真の名の宿敵》やエレメンタルトークンを無視してダメージを通すことができます。
サイドには追加の妨害スペルや除去、《精神を刻む者、ジェイス》や《最後の望み、リリアナ》、《壌土からの生命》、《森の知恵》といったアドバンテージを稼ぐカードが多数採用されており、土地も20枚とDelver系の中では多めに採用されているので、4C LeovoldやMiraclesといったミッドレンジやコントロールとのマッチアップでは《目くらまし》や《秘密を掘り下げる者》、《意志の力》といったDelver系のパッケージを減らしてSultaiミッドレンジに変形するという選択肢もあります。テンポデッキとしてもグッドスタッフミッドレンジとしても振舞えるフレキシブルさがSultaiバージョンの魅力です。
SCG Classics Baltimore
Back to Basics!
2018年05月06日
- 1位 Miracles
- 2位 Lands
- 3位 Grixis Delver
- 4位 Grixis Delver
- 5位 Colorless Eldrazi
- 6位 Grixis Delver
- 7位 Reanimator
- 8位 Grixis Delver
Brian Coval
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トップメタのGrixis Delverは優勝こそ逃しましたがプレイオフに半数と安定した成績を残し続けており、その他のデッキもLandsやEldraziといった特殊地形を多用したデッキが多数勝ち残っています。そんな中、基本地形を合計9枚、《基本に帰れ》をメインから採用した2色のMiraclesが優勝を果たしました。
コンボらしいコンボもBR Reanimatorぐらいで、その他のデッキは特殊地形に頼ったデッキがほとんどだったので、メインの《基本に帰れ》が非常に刺さります。
SCG Classics Baltimore デッキ紹介
「Miracles」
Miracles
3 《平地》
1 《Tundra》
4 《溢れかえる岸辺》
2 《乾燥台地》
2 《霧深い雨林》
2 《沸騰する小湖》
-土地 (20)- 3 《瞬唱の魔道士》
3 《僧院の導師》
-クリーチャー (6)-
4 《渦まく知識》
4 《思案》
3 《先触れ》
2 《狼狽の嵐》
2 《予報》
1 《対抗呪文》
1 《予期せぬ不在》
1 《議会の採決》
4 《意志の力》
3 《終末》
2 《基本に帰れ》
3 《精神を刻む者、ジェイス》
-呪文 (34)-
2 《ヴェンディリオン三人衆》
2 《解呪》
1 《狼狽の嵐》
2 《外科的摘出》
1 《議会の採決》
2 《至高の評決》
2 《アズカンタの探索》
1 《真髄の針》
-サイドボード (15)-
《僧院の導師》をメインから採用し、基本地形を多数採用したMiracles。ちなみに今大会優勝者のBrian CovalはSCG Invitational Season one 2017で優勝した際に自身のSCG Invitationalトークンをモンク・トークンにしていました。
2色にすることで基本地形を多数採用する余裕ができ、《不毛の大地》に耐性が付くのと同時にメインから《基本に帰れ》を採用することによりGrixis Delver、4C Leovold、Landsなどとの相性が良くなっています。他の青いデッキ対策に《紅蓮破》のために赤をタッチしたバージョンが主流でしたが、最近の青いデッキは同型よりも多色のGrixis Delverや4C Leovoldが多く、基本地形をほとんど採用していないそれらのデッキ相手には《紅蓮破》よりも《基本に帰れ》の方が有効です。
デッキ名はMiraclesですが奇跡スペルはメインの《終末》3枚のみと少なめで、「青白Mentorコントロール」といった感じです。
☆注目ポイント
従来のMiraclesと異なりゲームをコントロールして《天使への願い》で勝つ戦略ではなく、相手の行動を妨害しつつ《僧院の導師》や《基本に帰れ》、《精神を刻む者、ジェイス》 によって速やかにゲームを終わらせるスタイルに変化しています。
合計9枚もの基本地形が採用されており《Tundra》もわずか1枚と、可能な限り相手の《不毛の大地》や自分の《基本に帰れ》、最近流行りのMono Red Prisonの《血染めの月》による被害を最小限に抑えられるように構築されています。《Tundra》が1枚しか入っていないため、特にダブルシンボルである《予期せぬ不在》や《議会の採決》をキャストする際の白マナの確保が難しくなることがあるので、フェッチランドの使い方には少し注意が必要です。
追加の除去として《流刑への道》の 代わりに採用されている《予期せぬ不在》は、マナは少し重くなりますがGrixis Delverのサイドでも最近見られるようになった《最後の望み、リリアナ》にも触れる、インスタントスピードの除去として重宝します。
Grixis Delverや4C Leovoldなどフェアデッキが幅を利かせているメタなため、《狼狽の嵐》を2枚メインから採用しているとはいえ、メインでのコンボデッキとの相性はかなり厳しくなります。Reanimator・ANT・Sneak and Showといったコンボデッキを対策するために、サイドには追加の《狼狽の嵐》、《真髄の針》、《封じ込める僧侶》、《外科的摘出》、《ヴェンディリオン三人衆》と多めに採られています。《アズカンタの探索》は《基本に帰れ》との相性の悪さからメインでは不採用になっています。《基本に帰れ》の効果が薄いコンボやミラーマッチなどで入れ替えでサイドインすることになります。
総括
チーム戦のSCG Openと個人戦のClassicsの結果を見ていきましたが、どのイベントもGrixis Delverが最多で、優勝こそは逃していますがコンスタントにプレイオフに入賞しているなど相変わらず高い勝率を出しています。スタンダード以外のフォーマットでも活躍するポテンシャルがあると噂されていた新カードの《ウルザの後継、カーン》も早速Mono Red PrisonやEldraziで採用されていました。
筆者もGrixis Delverのテンプレリストをチーム戦とClassicsで使用しましたが、デッキ自体は完成しているため、今後もメインはそのままでサイドを少し調整するぐらいになりそうです。MiraclesやDeath and Taxesが追加の1マナの除去として《流刑への道》を、Landsは追加のランデスとして《幽霊街》を、Miraclesは《基本に帰れ》をメインから採用しており、《流刑への道》と《幽霊街》は相手にとってはほぼデメリットなしの妨害手段となっているので、今後はDelverもサイドに基本地形の《島》を19枚目の土地として採用することも考慮に値します。
以上USA Legacy Express vol.140でした。それでは次回の連載でまた会いましょう。
楽しいレガシーライフを!