USA Legacy Express vol.146 -『ラヴニカのギルド』の戦利品-

Kenta Hiroki

 みなさんこんにちは。

 グランプリ・名古屋2018の併催イベントとして日本レガシー選手権・秋が開催されていましたが、みなさんはご参加されましたか? 来月には日本国内でもレガシーのプレミアイベントであるグランプリ・静岡2018も開催されるのでレガシー熱が高まっている時期だと思います。

 今回の連載ではSCGO Columbus日本レガシー選手権・秋の入賞デッキを見ていきたいと思います。

SCGO Columbus
安定のGrixis Control

2018年10月6日

  • 1位 Grixis Control
  • 2位 Twelve Post
  • 3位 Grixis Delver
  • 4位 Death and Taxes
  • 5位 Mono Red Prison
  • 6位 Punishing Abzan
  • 7位 Grixis Control
  • 8位 Miracles
Logan/Parson/Shoopman

Logan/Parson/Shoopman

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 チーム戦で競われたSCGO Columbusは、チーム戦らしくGrixis ControlやMiraclesといった安定した成績が期待できるデッキが中心でした。

 ほかには定番のDeath and TaxesやUB Death’s Shadowといったデッキや、青いフェアデッキに強い12 Postも少数ながら見られ、その内1名は準優勝と健闘していました。

 『ラヴニカのギルド』がリリースされた直後に開催されたイベントでしたが、プレビュー段階から注目されていた《暗殺者の戦利品》を採用したデッキも早速上位入賞していました。

SCGO Columbus デッキ紹介

「Four-Color Control」「Miracles」

Four-Color Control

 《死儀礼のシャーマン》が禁止カードに指定されて以来、4色のマナ基盤を支えるのが困難となり、前環境に存在した4C Leovoldは緑をタッチすることを諦めて今大会でも最大勢力だったGrixis Controlへとシフトしていきました。しかし、『ラヴニカのギルド』の期待の新カードである《暗殺者の戦利品》を使うために新環境用に再調整を施した4C Leovoldを選択したプレイヤーもいました。

暗殺者の戦利品

 色を足したことで《基本に帰れ》《血染めの月》《不毛の大地》といったカードには弱くなりましたが、緑を足したことで置物や《最後の望み、リリアナ》など青くないプレインズウォーカーにも触りやすくなり、今大会でもトップメタだったGrixis Controlとのマッチアップではデッキパワーが上がった分有利に立ち回れるようになっています。

☆注目ポイント

 《暗殺者の戦利品》によってこれまで《突然の衰微》では触れなかった《グルマグのアンコウ》《精神を刻む者、ジェイス》《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》といったパーマネントにも対処できるようになりました。しかし相手に基本地形を与えてしまうデメリットは思いのほか大きく、カウンターもされてしまうので、基本地形を多めに採用しているMiraclesの《相殺》《基本に帰れ》対策には《突然の衰微》の方が確実性があるため使い分けていきたいところです。

突然の衰微トレストの使者、レオヴォルド

緑を足すメリットは万能除去の《暗殺者の戦利品》《突然の衰微》以外にも《トレストの使者、レオヴォルド》が使えることで、Grixis Controlよりもコンボとのマッチアップが有利になります。ドロースペルやハンデス対策になり、除去されてもカードアドバンテージが約束されているのでGrixis Controlとのマッチアップでも有力な勝ち手段となります。

Miracles

 Grixis Controlなど消耗戦に強いデッキとのマッチアップに対応するため、Miraclesのデッキリストにも変化が見られます。

 ミラーマッチやGrixis Controlなど青いフェアデッキの増加に伴い《紅蓮破》(《赤霊破》)のために赤をタッチしたバージョンが再び主流になりつつあります。

☆注目ポイント

 《予報》と異なりあらかじめキャントリップで仕込んでおく必要がなく、2枚目以降からはドローできる枚数が増加される《蓄積した知識》長期戦を見据えたこのデッキにフィットしたドロースペルです。ハンドアドバンテージを稼ぐことで《思考囲い》《トーラックへの賛歌》などハンデスにも耐性が付くので、Grixis Controlとの相性もある程度までは改善されています。

予報蓄積した知識

 《暗殺者の戦利品》の登場により《精神を刻む者、ジェイス》のフィニッシャーとしての信頼性が前環境よりも低下しているので、ほかのフィニッシャーも必要となります。《天使への願い》はGrixis ControlやAggro Loamなどミッドレンジやコントロールとのマッチアップでは劣勢時でも「奇跡」誘発から一発逆転を狙うことができます。《暗殺者の戦利品》によってマナが伸ばしやすくなることも考慮した選択だと思われます。

天使への願い

 アンチ特殊地形カードをケアしてGrixis Controlなどの多色デッキも最近は基本地形を多めに採用してきているのもあり、以前のような劇的な効果が望めなくなった《基本に帰れ》はサイドに落とされています。

日本レガシー選手権・秋
Grixis Delverが秋の日本レガシー選手権を制する

2018年10月13日

  • 1位 Grixis Delver
  • 2位 Salvager Combo
  • 3位 Goblins
  • 4位 Grixis Control
  • 5位 Burn
  • 6位 Lands
  • 7位 Miracles
  • 8位 Sneak and Show
塩見 泰久

塩見 泰久

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 グランプリ・名古屋2018と併催して開催された日本レガシー選手権・秋は参加者が100人を超えるイベントで、『ラヴニカのギルド』リリース直後にもかかわらず新カードの《危険因子》《ゴブリンのクレーター掘り》といったカードを早速採用しているリストが見られたのが印象的でした。

危険因子ゴブリンのクレーター掘り

 《死儀礼のシャーマン》《ギタクシア派の調査》が禁止カードに指定されて以来特定のデッキが環境を支配し続けることもなくなり、多種多様なデッキが結果を残していましたが、今大会も例外ではなくGrixisやMiraclesといった青いデッキやSneak and Showのようなコンボデッキ、Lands、Goblinsといった非青デッキも結果を残していました。

日本レガシー選手権・秋 デッキ紹介

「Salvager Combo」「Goblins」「Burn」

Salvager Combo

 今大会でプレイオフ進出を果たしたデッキの中でも最もオリジナル色の濃いコンボデッキで、惜しくも優勝は逃したものの準優勝という好成績を残していました。

オーリオックの廃品回収者ライオンの瞳のダイアモンド

 《オーリオックの廃品回収者》《ライオンの瞳のダイアモンド》を活用したコンボデッキで、《堀葬の儀式》で墓地に落ちた《オーリオックの廃品回収者》などを釣る手段も用意されており、《アンティキティー戦争》によってロングゲームにも強く、青いフェアデッキとのマッチアップにも強くなります。

☆注目ポイント

 「《オーリオックの廃品回収者》《ライオンの瞳のダイアモンド》のコンボによって無限マナを発生させる」ところまではエターナルに存在する他のSalvagersコンボと同様ですが、フィニッシャーには《黄鉄の呪文爆弾》ではなく《歩行バリスタ》《小悪魔の遊び》《練達飛行機械職人、サイ》が選択されています。

歩行バリスタ小悪魔の遊び練達飛行機械職人、サイ

 《直観》《堀葬の儀式》によってコンボも決めやすくなり、GrixisやMiraclesにとっては対処が困難な《アンティキティー戦争》《アズカンタの探索》《軍勢の集結》も採用されており、《オーリオックの廃品回収者》《ライオンの瞳のダイアモンド》の無限マナコンボ以外にもアドバンテージ獲得手段、フィニッシャーに恵まれています。

 サイドには墓地対策である《虚空の力線》とコンボになる《Helm of Obedience》も忍ばせてあり、コンボ対策をされるサイド後のゲームに備えています。特定のデッキに刺さる《罠の橋》《窒息》の他にも、《相殺》などを対策できる《突然の衰微》も用意されており、よく調整されたリストです。

Helm of Obedience窒息In the Eye of Chaos

 ほかにも《In the Eye of Chaos》という見慣れないカードも採用されています。カードテキストをご存知でない方のためにご紹介すると

In the Eye of Chaos (2)(青)

ワールド・エンチャント

プレイヤー1人がインスタント呪文を唱えるたび、それを、そのプレイヤーが(X)を支払わないかぎり打ち消す。Xはその点数で見たマナ・コストの点数である。

 というもので、《意志の力》など打ち消し呪文もキャストすることが困難となるので、青いデッキとのマッチアップで劇的な効果が期待できそうな1枚です。ANTなどコンボデッキにとっても厄介な置物となります。

Goblins

 レガシーというフォーマットが設立されて以来存在し続けたGoblinsは、《死儀礼のシャーマン》が禁止カードに指定されたことで復権を果たしたデッキの一つです。多くのデッキがこぞって採用していた1マナ1/2のマナ加速にもなるクリーチャーが退場して《不毛の大地》《リシャーダの港》といったマナ拘束も相対的な強さが増し、《ゴブリンの従僕》の攻撃も通りやすくなったことが復権の主な理由です。

ゴブリンの従僕

 このデッキが苦手とするコンボデッキも減ってきており、《霊気の薬瓶》《ゴブリンの女看守》《ゴブリンの首謀者》など青いフェアデッキに強いカードが多く採用されていることから、現環境では有力な選択肢となり得ます。

☆注目ポイント

 《ゴブリンのクレーター掘り》《ゴブリンの女看守》でサーチしてこれる除去で、《石鍛冶の神秘家》デッキだけでなく《引き裂かれし永劫、エムラクール》なども破壊できるので、Sneak Showとのマッチアップでも使えます。最近のセットでは一部を除いてレガシーで実践レベルのゴブリンが登場しなかったので貴重な新戦力です。

ゴブリンのクレーター掘り

 《フェアリーの忌み者》《トーモッドの墓所》《墓掘りの檻》といった墓地対策が多めに採られており、Reanimatorなど墓地を使ったコンボデッキの対策をしっかりしています。《アメジストのとげ》《紅蓮光電の柱》などはコンボデッキに効果的であることはもちろん青いデッキにも効果があり、こちらにはあまり影響が出ないので、このデッキを使う際はぜひとも採用したいカードです。

Burn

 『ラヴニカのギルド』の新カードである《危険因子》が採用された赤単色のBurn。単色なのでデュアルランドを採用する必要がなく、レガシーのデッキの中では安価で組めることもあり、それなりに人気のあるアーキタイプです。また、レガシーでは特殊地形に頼ったデッキが多数存在するので《発展の代価》を無理なくメインから採用できるのもこのデッキの強みです。

発展の代価

 相性の悪いコンボデッキ、特にReanimatorやSneak Showに対しては、墓地対策として《虚空の力線》を、Sneak Show対策に《灰燼の乗り手》が採用されているなど徹底しています。

☆注目ポイント

 《危険因子》はプレビュー段階から注目されていたスペルです。インスタントスピードで相手に困難な選択を2度迫ることは《怒鳴りつけ》にはできなかった芸当であり、《危険因子》歴代最高の懲罰者スペルと評価されている理由でもあります。青いデッキにとっては2度打ち消しを使う必要が出てくるので非常に厄介な火力スペルで、Burnだけでなく今大会を制したGrixis Delverのサイドボードにも採用されており、赤いデッキの息切れ防止のスペルとして今後もよく見られそうです。

 赤単のこのデッキではサイドに4枚採用されている《灰燼の乗り手》を普通に戦場に出すことは不可能ですが、相手の《実物提示教育》を利用して戦場に出し、《全知》《引き裂かれし永劫、エムラクール》といったパーマネントを対策することが可能です。その後も5/5飛行というフィニッシャー級のスペックのクリーチャーが残るので、速やかにゲームを終わらせることができます。

総括

 『ラヴニカのギルド』リリース前から注目されていた万能除去の《暗殺者の戦利品》や、競技レベルの懲罰者スペルと話題だった《危険因子》などが早速使われていました。

来月にはアメリカではEternal Weekend2018が、国内でもグランプリ・静岡2018が開催される予定でプレミアイベント以外でも年末に開催されるThe Last Sun 2018の予選などもありレガシーのイベントが充実しているので、レガシーファンの方はお見逃しなく。

USA Legacy Express vol.146は以上です。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!

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